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復活


バンッ!


急いでいたために、大きな音を立てて扉を開けてしまった。

ティアさんが一瞬ビクッっとなってしまっていた。申し訳ない。


「お、お帰りなさいませ。」


「ごめん、急いでたもんで、ビックリしたでしょう?」


「少し驚きましたが、大丈夫でございます。」


「ほら、ハル君早く早く。」


「何を勿体ぶってるんじゃ!」


ナタリーさんはニッコリと微笑むだけで、シャルは今か今かと落ち着かないみたいだ。

そうだな、さっさと済ませちゃおうか。


「ティアさん、これを飲んで下さい。」


俺はエリクサーをティアさんに渡した。

ティアさんは震える手でエリクサーを受け取った。


「こんなにも高い物を…本当に私めが頂いても宜しいのでしょうか?」


俺も1億5千万円ほどの薬をポンと手渡されて飲めと言われたら躊躇しちゃうから、気持ちは良く分る。

でも、この薬はティアさんの為にみんなで協力して得た物だ、飲んで貰わないと困る。


「ええ、是非飲んで下さい。じゃないとこちらが困ってしまいますよ。」


「本当に、本当にありがとうございます。」


そう言ってティアさんは覚悟を決めたのか、一気にエリクサーを飲み干した。

すると、ティアさんの体が光り出し、光の塊がティアさんの足を作っていく…

良かった、ピッ〇ロさんみたいに生えるのでは無くて、本当に良かった(切実)

光が収まると、そこにはケロイド状になっていた肌は綺麗な肌に戻っており、右足がしっかりと生えているティアさんが居た。


「あ、足が、足が有ります!」


そう言ってティアさんが立ち上がった。


「「「「おお~!!」」」」


何の支障も無く立ち上がることが出来たみたいだ。


「では、頭の包帯も取りますので、一度座ってください。」


「あ、はい。」


ティアさんが据わったので、ナタリーさんが包帯を外していた。


スル…スルスル…ストン…


「ブッ!!」


「ハルさん、失礼ですよ?」


ナタリーさんに怒られてしまった。


「ごめん、想像して無かったから、意表を突かれちゃってさ、もう大丈夫。」


いやさ、初めて包帯を取ったのを見たから知らなかったんだけれど、おそらく炎で焼かれてケロイド状になっていたため、髪の毛が生えていなかったのだろう。

おでこから頭頂部にかけてツルツルだったのだ。さすがにエリクサーでも髪の毛までは生えてこなかったみたいだ。

とりあえず、これを初見で吹かない人は少ないのでは無いだろうか?

ナタリーさんは知っていたから問題無いみたいだが、アイリさんとビアンカさんは声には出して無かったけれど、肩は震えていた。


「もしかしたらと思って用意しておいて良かったです。」


そう言ってナタリーさんが、ニットの帽子をティアさんに被せた。

お耳の部分に穴が空いていて、上手い具合に外に飛び出せるみたいだ。

見た目も普通になったので、これで問題無く対応できるようになった。


「ティアさん、目を開けられますか?」


俺はそう言うと、ティアさんは恐る恐る目を開けた。


「あぁ! 見えます! もう二度とこの目では見ることは出来ないと思っていたのに…

 ハル様、本当に、本当にありがとうございます!!」


目を開けたティアさんの瞳の色はシャルと同じエメラルドグリーンの瞳だ。

ただ、シャルは少し吊り目に対し、ティアさんはタレ目に泣き黒子が付いていて少し色っぽい感じだ。

正に、The 未亡人って感じの美人さんだった。


ティアさんがシャルを見た。

シャルはティアさんを大きな目で見つめたまま止まっていた。

ティアさんが優しく微笑むと、導かれる様に1歩、1歩と近寄って行く。


「シャル…おいで? もっと近くで顔を見せて頂戴?」


そう言って手を広げた。


「…ぉ…かぁ…さ…ん?」


「そうよ。」


「お母さん!!」


そう叫んでティアさんい抱き着いた。


「お母さん! お母さん! お母さん!!」


「うん、うん、うん。」


ティアさんも頷きながらシャルをしっかりと抱きしめていて、目から涙が流れていた。

俺はみんなに目配せて、部屋の外へと退室させた。


パタン…


「ハル君、シャルちゃん声出てたね!」


「ああ、俺も驚いた。」


「やっぱりお母さんって偉大ですよね。」


「あたい…あたいは、う、嬉しいのじゃ…」


ビアンカさんはボロボロと大泣きしていた。


「とりあえず今は2人っきりにさせてあげよう。」


「そうですね。」


俺達は自分の部屋に移動したのだった。


・・・・


コンコン…


暫くして扉がノックされた。


「どうぞ。」


俺が答えると、扉が開きティアさんが入ってきた。

シャルはティアさんに抱っこされたまま眠っていた。おそらく泣きつかれたのだろう。


「お見苦しい所をお見せしてしまい、申し訳有りませんでした。」


そう言って頭を下げた。


「お体の方はどうですか? 何か違和感とか有りますか?」


「特には有りません。いえ、それよりも以前より良くなった感じがします。」


もしかしたら何かしらの体調不良や疾患を持って居て、それも治ったのかもしれないな。


「それは何よりです。今日はもう何の予定も有りませんのでゆっくりしていて構いませんよ。

 ただ、夜だけは何かしらお祝いしたいと思っていますので、時間を空けておいて下さい。」


「さすがにそこまでして頂く訳には…治して頂いただけでも十分すぎるくらいです。」


「嫌です。開けておいて下さいね?」


「…わかりました。ありがとうございます。」


そう言ってからティアさんは2人部屋の方へ移動して行った。


「ハル君、嬉しそうな顔してる~」


「うむ、良い笑顔じゃ。」


「そうですね。」


「何言ってるんだよ、皆も同じ顔してるぞ?」


「そっかな? そうかもね。」


「そうじゃの。」


「当り前じゃ無いですか。」


みんなのこの笑顔が見れただけでも、本当に頑張って良かったな。


シャルも復活!!

おめでと~! どんどんぱふぱふ~♪

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読んでいる途中だけど、主人公がメッチャ、チートと言うわけじゃなく、少しずつ強くなっていくところやがいい。文章が読みやすいからストレスなく読んでいけます! [気になる点] ◇シャルの母親がエ…
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