金額達成
あれから毎日HPポーション改を作り続けている。
みんなも協力してくれている御蔭で全ての作業を一人でやる訳じゃ無いので順調だ。
最初の1日目以降は時間的余裕も有るため、300本のHPポーション改作りが終わった後は自由にさせている。
ナタリーさんも何か別の仕事をしているみたいだ。
時間に余裕が有るなら400本とか作ってもと思ったことも有ったが、冒険者ギルドの在庫の関係でこれ以上は勘弁してくれと言われてしまったので仕方無いよね。
そしてポーションを作り始めてから22日目、今日でいよいよエリクサーの金額に達成する予定だ。
「ハルさん、いよいよですね。」
「ああ、みんな今まで手伝ってくれてありがとう。」
「何を言ってるのじゃ、当然じゃろ?」
「そうだよ、それにまだ終わりじゃないんでしょ?」
「まあね、ただ、ずっと働き詰めだったし、ティアさんを治したら少し休んでも良いかなと思ってる。
シャルと、ティアさんにはもうしばらく窮屈な思いさせてしまいますが。」
「いえ、奴隷の私にここまでのことをしていただいただけでも十分なのに、これ以上はさすがに悪いと思っています。
ハル様は、一度も私に酷い命令等はしませんし、十分な食事と綺麗な寝床も与えてくれています。
全然窮屈だと思ったことは有りませんし、これ以上望むのは贅沢と言う物です。」
「そうは言ってもなぁ…じゃあ、シャルとティアさんを解放するのは命令ってことで。」
「…ありがとうございます。たとえ奴隷から解放されたとしても、ハル様には尽くしたいと思います。」
「いや、そんなに気しなくて良いからね? やりたいことを見つけて自由にして良いんですよ?」
「でも! …そうですね、その時はやりたいことをやらせてもらおうと思います。」
ティアさんが何かを思いついたらしく、優しく微笑んだ。
「そうそう、それが良いですよ。」
やりたいことが有るみたいだし、その方が絶対良いに決まってる。
「よし、未来のための第1歩として、まずはエリクサーの入手に行くぞ~!」
「「「「おー!」」」」
俺達は冒険者ギルドへ向かうことにした。
・・・・
ナタリーさん達は毎日来ていたが、俺は久々の冒険者ギルドだ。
とりあえず叫ぶのは自粛しようと思う。うん。
早速、販売・買取カウンターの列に並ぶことにした。
「何かドキドキするね~」
「楽しみで仕方ないのじゃ。」
「早くシャルティアさんの元気な姿が見たいです。」
シャルもウンウンと頷いている。
「そうだな。」
ようやく俺達の順番になった。
「こんにちは、トルネラさん。」
「お、今日は坊主も来たのか、初日以来か、久しぶりだな。」
「お久しぶりです。
今日の納品で約束の金額になるのでやってきました。」
「ほぅ? キッチリ約束を守るたぁ~凄いじゃないか。
そうだな、奥の部屋に行くか。」
「わかりました。」
物が物なので考慮してくれたみたいだ。
そして、案内された部屋は小さな会議室みたいな所だった。
「今持ってくるから座って待っててくれ。」
「分かりました。」
空いている椅子に各々座り待つことにする。
数分後、トルネラさんが戻ってきた。
「まずは、納品を先に済ませちゃうか、それが無いと足らないだろ?」
「ええ、そうですね。」
今日の分のHPポーション改300本を取り出し、トルネラさんに渡した。
トルネラさんはHPポーション改の状態を確認している。
「間違い無いみたいだな、じゃあ今日の分の代金だ。」
俺は料金を受け取り、代わりに白金貨150枚を揃えて渡した。
「約束のお金になります。」
「どれ、揃ってるとは思うが一応な。
1、2、3、4…」
トルネラさんが白金貨をキチンと数えている。ま、金額が金額だし当然だよな。
「…147、148、149、150っと、よしピッタリだな。
ほら、こいつがエリクサーだ。」
トルネラさんが懐から瓶を取り出してテーブルに置いた。
----------------------------------
【エリクサー】
品質:S
効果:完全回復
死亡以外の怪我(部位欠損を含む)、病気、あらゆる状態異常から回復する
----------------------------------
うん、間違いなくエリクサーだ。
まさかギルドで詐欺も無いとは思うけど一応ね。
「ありがとうございます。」
「確認しなくても良いのか?」
「鑑定で確認しましたから大丈夫です。」
「なんだ鑑定持ちか、なら安心だな。」
「それじゃ、俺達はこれで。」
「引き続きHPポーション改は売りに来るのか?」
「そうですね、次は奴隷解放のために稼ごうと思ってます。
ただ、少し頑張り過ぎたので、休もうとも思ってます。」
「そうか、休みも大事だもんな。」
「折角なので相談良いですか?」
「何だ。」
「魔石の入手方法を教えて貰えますか?」
「残念ながら魔石の在庫は無いな、自分で取って来るかオークションになるが、確実に出るとは限らないぞ?」
「そうですか、ならとりあえずのんびりオークション用のお金を稼ぐことにします。」
「そうするといい。」
「それでは失礼します。」
「おう。」
俺達は冒険者ギルドを後にすることにした。
そして、ティアさんを治すために急いで宿に帰ることにした。
シャルティアさんのやりたいことって…




