HPポーション改作り
全ての用事が済んだので宿屋に帰ってきた。
「お帰りなさいませ、お早いお帰りですね。」
「ただいま。ケリーはお店番かい? 偉いね。」
「いえ、僕が出来る事なんて限られてますから…」
「そうだ、部屋で調合ってやっても大丈夫かな?
お湯を沸かす程度の火も使うんだけど。」
「えっと、僕じゃ判断付かないので、父さんに聞いてきますね。」
「駄目な時は外でやるから、場所を教えてくれると助かるよ。」
「わかりました。」
ケリーはそう言って宿の奥へ行ってしまった。
「大丈夫でしょうか?」
「そればっかりは宿の運営によるから何とも言えないな。
最悪、家を借りるってのも考えないといけないのかもしれないな。」
「そうですね。」
少ししてケリーが戻ってきた。
「聞いてきました。調合は宿内でやっても良いそうです。」
「おお。」
「ただ、宿泊部屋では無く、1階にある空き部屋でやって欲しいって言ってました。」
「それは構わないぞ。」
「えっと、その部屋を使用するに1日銅貨1枚払って欲しいって言われてのですが…」
「いや、その程度の料金で使わせてもらえるんだったら、こっちとしても大助かりだよ。頼んだ。」
文句を言われると思っていたのに、しっかり払うとの返事を貰えたので、ケリーは嬉しそうな顔をした。
「よかった~、それじゃあ、ここの廊下の一番奥にある部屋を使って下さい。鍵は掛かってないので自由に使って良いそうです。」
「わかった、そうさせてもらうよ、有難うな。」
「はい!」
ケリーと別れた俺達は、ひとまず部屋に戻ることにした。
部屋に到着すると、ティアさんが帰ってきたことに気が付き、言ってきた。
「お帰りなさいませ。」
「ただいま。何か変わったことは有った?」
「いえ、特には…」
「そっか、じゃあ早速ポーション作りをやろうと思うんだけど、良いかな?」
「はい、お役に立てられるように頑張ります。」
「よし、じゃあ移動するぞ。」
俺はティアさんを背負い、空き部屋まで移動する。
扉を開けると、四畳半程度の広さのテーブルが1つだけ置いてある小部屋だった。
ただ、しばらく使ってなかったせいか、蜘蛛の巣やら埃が積もっていた。
「…まずは掃除からかな。」
「そうですね。雑巾を借りてきますね。」
そう言ってナタリーさんが雑巾を借りるために行ってくれた。
「ちょっと降ろしますね。」
俺はティアさんを一度降ろし、窓を開けて風の魔法でゴミを外へと追い出した。
そこにナタリーさんが戻ってきた。
「借りてきました。」
桶に生活魔法で水を入れ、雑巾を絞った後は拭き掃除を協力して行った。
もともとそれほど広くないし、みんなで掃除したので30分程度で終わった。
「おわった~」
「お疲れ様です。」
「じゃあ、さっそくやるとしますか。」
俺は調合の道具、薬草、ポーション瓶とかを取り出し準備した。
「じゃあ、アイリは薬草の乾燥をお願い。」
「おっけ~」
「あたいらは?」
「とりあえず今日の所は何も無いかな?
もし、やりたいことが有るなら行ってきても良いぞ?」
「いや、折角だから見ているのじゃ。」
「そっか、ならポーションが出来た後に、ポーション瓶に移す時にティアさんの手伝いをしてもらっても良いか?」
「任せるのじゃ。」
「では、私は食事の用意とか身の回りのお世話をしますね。」
「うん、お願い。」
シャルが私も私も~ってアピールしている。
「シャルは、ビアンカと一緒にお母さんのお手伝いだ。任せたぞ!」
シャルが分かった~と頷いた。
「それじゃ、始めるとするか。」
「「「「はい!」」」」
こうして俺達のポーション作りが開始されたのだった。
・・・・
ごーりごーり…
ぐつぐつぐつ…
「よし、最初の10本分が出来たぞ、後宜しく。」
「は、はい。」
「ティアさん、ビアンカとシャルがサポートしてくれますから落ち着いてやってください。
何回かやれば分量とか重さで分かるようになると思いますので、頑張ってください。」
「わかりました。」
「あたいが見てるんじゃ、安心するのじゃ。
ほれ、シャルはそっち側でサポートじゃぞ。」
どうやら安心して任せられそうだ。次の薬草作りに移るとするか。
・・・・・
「終わった~」
「ハル君お疲れ~」
「お疲れ様なのじゃ。」
「お疲れ様です。」
「ティアさん今日1日やってみてどうでしたか?」
「何とかこぼさずに終わることが出来て良かったです。」
「そうですね、これなら明日からも任せても大丈夫そうですね。」
「こんな私でもお仕事をさせて頂きありがとうございます。」
そこに食事を持ってナタリーさんがやってきた。
「みなさん、夕食ですよ。」
「待ってたのじゃ!」
「う~、お腹ペコペコ~」
「ナタリーありがとうな。」
「いえ、こんなことで役に立てられて良かったです。」
折角の暖かい食事だ、さっさと食べることにしよう。
みんなの前に配膳していく。
「え? 私の分も有るのですか?」
「当然じゃ無いですか、暖かい内に食べましょう。」
「…ありがとうございます。」
食事の後は、後片付けを行い、湯あみを済ませたら明日もまた大変だし、さっさと寝ることにする。
しばらくはティアさんとシャルを同じ部屋で、残りは4人部屋にすることにした。
今まで離れて暮らしていたんだ、このくらいのことをしてあげても良いだろう。
「やった~、ハル君の隣だ~」
「私も勝ちました。」
「うわ~ん、負けたのじゃ!」
うん、仲が良いことは何よりだ。
それでは、おやすみなさい…ぐぅ…
何とかなったみたいだ。




