教会
冒険者ギルドを出た俺達は、次の目的地を、聖水の入手のために教会を目指すことにした。
街の人に聞いた所、この迷宮都市には色んな神様の教会が有るみたいだ。
「アルデの街の時は、創造神の教会しか無かったかけど、ここにはいろんな神様の教会が有るんだな。」
「そうだね~、何処の教会に行くの?」
「一応創造神の教会にするつもりだけど、行ってみたい教会って有る?」
「私は知識と知恵の神の教会とかって興味有るけど、今は後回しで良いかな?」
「そうじゃぞ、あたいだって酒の神の教会に興味有るが、落ち着いてからで問題無いのじゃ。」
「そうですね、教会は何時でも行けますし。」
「そっか、じゃあ創造神の教会へ行こうか。」
・・・・
と言う訳でやってきました創造神の教会なんだが、やっぱり此処もシンボルは『ω』なのね…
とりあえず中に入ることにした。
「うわ~広いですね。」
「アルデの街の教会とは違うね~」
「ほぅ? アイリは教会にお祈り行くのか?」
「まあね~、小さい時に孤児院でお世話になったからね。と言ってもたま~にしか行かないよ?」
「私は定期的に通ってました。」
「ナタリーは何となく分かるのじゃ。」
「え~差別だ~!」
「いや、日頃の行いじゃの。」
「まぁ、事実だけどさぁ~、ハル君、ビアンカがイジメるよ~」
アイリさんが俺に抱き着いてウソ泣き(?)してきた。
「酷い言われようじゃの。」
「まぁまぁ、からかってるだけだろうし。」
「まぁの。」
「へへ~んだ。」
「さてと、お布施をしてお祈りをしたいんだが…誰か居ないかな?」
「ハル君、あそこに人が居るよ~」
アイリさんが指さした方に神父さんが居たので挨拶することにした。
「こんにちは。」
「ショーボン創造神の教会へようこそ。お祈りですかな?」
「はい。これはお布施になります。」
俺は金貨1枚を提示した
「これはこれは、大変な信仰をありがとうございます。
あなたにショーボン神様のご加護が有りますように…」
あ、すでに持ってますんで大丈夫です。言わないけど。
「後、聖水を汲みたいのですが、宜しいでしょうか?」
「はい。この奥に聖水が沸く聖なる泉があります。
今後はご自由に利用して頂いて結構です。」
「ありがとうございます。」
前の神殿の時も同じこと言われたけれど、師匠は金額は安いが毎回払っているんだよな。
もしかして金貨を出すのが条件なんだろうか…
「それでは、また何か有りましたらお声を掛けて下さい。」
そう言って神父さんは離れて行った。
さっそく祭壇の前まで行き、膝をついてお祈りすることにした。
「俺は、シャルティアさんを助けたい! どうか宜しくお願いします!」
(・・・・)
「あれ?」
「どうしたんじゃ?」
「…いや、何でも無い。」
「そうか。」
「んじゃ、お祈りも済んだし聖水汲んで帰ろうか。」
「うん、行こっ♪」
俺は最期に祭壇を見て…
「ぬるぽ。」
(ガッ!)
シャルがビックリしていたので、おそらく聞えたんだろう。
「突然どうしたんですか?」
「いや、ちょっとな。」
もしかしたら、ひょっとしたら、まさかとは思うんだが、たぶんおそらく、ここって普通にお祈りしたらダメなんだろうか?
後で要検証かもしれない…
「ねーねー、ぬるぽって何かな?」
「えっと…ま、まぁ、神様への挨拶みたいな物かな?」
「え~そんなの聞いた事ないけど?」
「試してみればいいじゃろうに、ぬるぽ!」
(ガッ!)
「なっ!」
「どうしたのよ~」
「聞えたのじゃ!」
「何が?」
「誰かの声じゃ、ガッ!って言われたのじゃ。」
「誰も言ってないけど?」
「確かに聞いたのじゃ。」
「ふ~ん、ぬるぽ。」
(ガッ!)
「!! 聞こえた! 何で?」
まぁ、パブロフの犬みたいな条件反射だろうな。
「面白いのじゃ、ぬるぽ。」
(ガッ!)
「ぬるぽ。」
(ガッ!)
「ぬるぽ。」
(ガッ!)
「ぬるぽ。」
(ガッ!)
「ぬるぽ。」
(ガッ!)
(いい加減にして欲しいです。ショーボン…)
「あ、しょげちゃった。」
「やり過ぎたのじゃ。」
「ハル君、この言葉を知ってるってことは、もしかして創造神の加護を受けるのって何か条件が有るのかな? かな?」
「多分だけど、その神様と会話して、お気に入りになるのが条件なんだと思う。
実は、シャルはギーコキャット獣人の神の加護を持ってたりするし。」
「そうなんですか? シャルちゃん凄いです!」
「ハル君、ハル君、私も加護貰えるかな?」
「どうだろう?」
「シャルちゃんの時みたいにやってみてよ。」
「いや、しかし…」
「お願い!」
「わ、わかった。けど、引かないでね?」
「? うん。」
さて、どのネタでやるべきか…よし!
「緊急集合!!
暇な神様集まれ! 5人集まれ! 集まったら大事な話する!!」
(何の用だお?)
(来たぞ?)
(ん? 俺か?)
(俺神ニートだけど、何?)
(呼んだ?)
「働け。」
(・・・・じゃあ、(゜∀゜)o彡゜おっぱい! おっぱい!)
「あっ! 何か聞こえた~」
「あたいには聞こえ無いのじゃ。」
「私も聞こえないです。」
「と言うことは、アイリだけか? ステータスで確認してみたらどう?」
「ちょっと待ってて、ステータス。」
アイリさんがステータスを確認している。
「何よこれ~!!」
そう言ってステータスを教えてくれた。
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名前:アイリ
年齢:24
状態:普通
LV:19(+1)
HP:72/72(+4)
MP:120/120(+7)
STR:13(+1)
VIT:10
AGI:26(+1)
INT:55(+3)
DEX:28(+3)
LUK:10
スキル:魔力操作Lv6(new)、水魔法Lv6、風魔法Lv6(new)、瞑想Lv4、複合魔法Lv3(new)、解体Lv3、棒術Lv3
称号:ジョルシュおっぱい神の加護(new)
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「ジョルシュおっぱい神の加護? そんな神様居るんだ…」
「おっぱい神じゃと!! あたいにもその加護が欲しいのじゃ!!」
ビアンカさんが切実にお願いしている。
「…くっ! 何も聞えないのじゃ!」
(むりぽ…)
あ、神様もサジ投げた…これを教えたら俺は死ぬかもしれない…
アイリさんも聞えたらしく、意味は分からなくても何かを察し、憐みの目でビアンカさんを見ていた。
「と、とにかくアイリにも加護が付いたな。」
「ハル! あたいも加護が欲しいのじゃ!」
「とは言ってもなぁ…今回付かなかったのなら、その時期じゃ無かっただけじゃないかな?」
「そうか…残念じゃ。」
「また次回な。」
「分かったのじゃ。」
俺達は聖なる泉で聖水を汲み、教会を後にした。
私もこんな加護が付くとは思ってもみなかった(笑)




