今日のナタリーさん 81
私はナタリー、冒険者である。
ようやく迷宮都市が見えてきました。
噂に聞いていた高くそびえる壁には圧倒されます。
アイリが壁について聞いてきました。
あれ? これって割と知られている有名な情報ですよね? 彼なら知らなくても仕方ないですが、何でアイリが知らないの?
とりあえず壁について教えてあげました。
迷宮都市に到着した後は、馬を売ったり、宿を探したりと少々色々と有りましたが何とか済ませ、旅の目的でも有るシャルちゃんのお母さん探しのために奴隷商へ向かうことにしました。
最悪ここで見つからないにしても、何か情報が入れば良いのですけれど…
最初に現在ここに残っている狐の獣人さんを紹介して頂きました。
そしたらその内の1人がシャルちゃんの村に居た人でして、シャルちゃんのお母さんの話を聞くことが出来ました。
なんと、ここの奴隷商に一緒に運ばれてきたとのことでした。
ただ、ここでショックな事実が…
おそらくシャルちゃんを連れ去られる時に思いっきり抵抗したのでしょう。
大きなケガを負ってしまったとのことでした。そんな怪我をしたのであれば、おそらくもう…
ガックリと落ち込む私達でしたが、思いがけない所から助けの声が入りました。
な、なんと、シャルちゃんのお母さんは生きて、ここに居たのでした。
ただ、奴隷商人はやっぱり商売人です。絶対売れる物と判断したため、こちらの足元を見てきました。
でも彼は、即決で決めてくれました。うん、彼ならそうしてくれると信じてました。良かったです。
最悪お金が足りなかったら私も出そうと思ってましたが、どうやら杞憂だったみたいです。
シャルちゃんの知り合いのアッシュさんについては予算の都合で助けてあげられませんでした。
金貨50枚は大金です。私も手持ちがあまり無いので、ここにいる全員の分を足しても足りるかどうか…
力不足なので、ごめんなさいするしか出来ませんでした。せめて良い人に出会えますように…
少しして、連れてこられてシャルティアさんは酷い状態でした。
本当にただ、生かされていたけの状態でした。
思わず色々と言いたくなりましたが、彼もシャルちゃんも何とか我慢しているのに、私が下手に言うことで話が拗れてしまうことを考えると、何もしないのが正解なのでしょう。我慢することにします。
何とか奴隷の引継ぎが終了し、シャルティアさんは彼の奴隷になることが出来ました。これで一安心です。
奴隷商を後にし、公園でようやく親子の対面です。
やっぱり親子ですね、シャルちゃんの声が聞えなくてもちゃんとシャルちゃんと判断していました。
思わずほろりとしてきました。
その後は自己紹介を済ませ、宿に戻ることになりました。
安心したことで、彼も余裕が出来たせいか、シャルティアさんを背負っている時に鼻の下が伸びています。
彼が胸が好きなのは良く分っては居ましたが、イラっとしたので思わずつねってしまいました。
うん、スッキリしました(笑)
部屋に付いた私達はシャルティアさんの治療を行うことにしました。
彼がHPポーションを飲ませたことで、化膿していた怪我はすっかり良くなりました。
だけど、火傷の後や、目、右足はさすがに治せませんでした。
彼も私の魔法で治せないか聞いてきましたが、おそらく無理でしょう。
とりあえず試してみましたが、全く変わりませんでした。
こんなことならばもっと練習しておくべきでした。
これからはもっと時間が許す限り魔法の練習をすることを誓うのでした。
現状で治らないことが分かったとたん、シャルティアさんが彼に懇願してきました。
自分はどうなっても良いからシャルちゃんを助けて欲しいと。
もし、私がシャルティアさんと同じ立場になったとしたら同じことを考えると思います。
気持ちは良く分ります。…が、彼がそんなことをするとは思えませんし、実際その通りでした。
うん、やっぱりさすがは彼です!
今日は疲れているだろうとゆっくり休むことにしました。
そして、シャルティアさんとシャルちゃんが2人部屋を使うことが決まりました。
さすがのアイリも今晩は自粛したみたいです。
部屋に連れて行って、湯あみの手伝いをしてあげることになりました。
タライにお湯を張り、シャルティアさんの服を脱がすのを手伝います。
あまり湯あみ等をさせてもらえなかったのでしょう。結構汚れと匂いがします。
奴隷商の扱いに怒りを思い出しましたが、今はシャルティアさんに綺麗になってもらうことだけに専念したいので我慢することにします。
頭の包帯を取ると、目から頭にかけてケロイド状になっており、おそらく火魔法による火傷であろうと思われます。
あまりの酷さに思わず顔をしかめてしまいましたった。
「ごめんなさい。」
シャルティアさんが突然謝ってきました。
「どうしたんですか?」
「私がこんな体で、皆さんにご迷惑をお掛けしかすることが出来なくて、本当に申し訳無いです…」
「気にしないで下さい…と言っても気にしないのは難しいかもしれませんが、私達は迷惑だとは思ってませんよ。とだけ言っておきますね。」
「…ありがとうございます。」
「じゃあ、体を洗っちゃいましょうね。」
「はい。」
シャルティアさんは手は問題無く動くので、私は背中だけを洗ってあげることにした。
直ぐにお湯が汚れてしまったので何度か交換して綺麗にしていきます。
すっかりと汚れも落ち、シッポもシャルちゃんと同じ様な綺麗な毛並みにになっています。
気持ちが良いのでしょう。ゆ~らゆ~らと揺れています。
体を拭いて、着替えさせて、頭に包帯も巻きなおしてあげました。
続けてシャルちゃんの体も洗ってあげた後は部屋に戻ることにしました。
「それでは、今夜はゆっくり休んでくださいね。」
「はい。ありがとうございます。」
扉を閉める際、ふと思いついたことを言ってみることにしました。
「あ、そうそう、シャルティアさん。」
「はい?」
「ハルさんが、きっと助けてくれますから、安心して下さいね。」
「はい…私は本当に良いご主人様に拾われたみたいですね。」
「気が付いてなかったんですか?」
「いえ、改めてそう思っただけです。」
「そうですね。では、おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
シャルちゃん親子と別れた私は、4人部屋に戻ってきました。
2人の様子を説明した後は、今後の相談は明日にすることにして寝ることにしました。
おやすみなさい。
私はナタリー冒険者だ。明日もまた頑張ろう。
ナタリーさんは聖魔法を使う関係上、看護師っぽいイメージも有ったりします。




