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シャルティア

注)ちょいグロ表現有り。


シャルティアさんと思われる女性は台車に乗せて運ばれてきた。


「酷い…」


ナタリーさんが口を押えて憤っている。

それもそのはず、シャルティアさんは顔全体を包帯で巻かれ、鼻と口が出ているだけの状態だ。

包帯には所々染みが出来ており、もしかすると化膿しているのかもしれない。

それと、先ほどの話にも有った通り、右足は無く、体のあちこちにもケロイド状の火傷があちこちに見えて痛々しかった。


「くっ…」


色々と言いたいことは有るが、今は我慢だ。

シャルも母親へと行きたい所を我慢している。


「では、金貨10枚頂きます。」


俺は金貨10枚を支払った。


「確かに、では、奴隷紋の書き換えを行いますのでこちらへ。」


俺が奴隷商の所へ行くと、


「では、この紋章の所に手を当てて下さい。」


言われた通りに手を当てる。

すると、奴隷商の男性はブツブツと何かを唱えると、奴隷紋が一瞬光った。


「これで、この奴隷はお客様の物となりました。

 シャルティア、この方が新しいご主人様だ。挨拶をしなさい。」


「シャルティアと申します。こんな身なりですが、どんなことでも致します。

 末永く宜しくお願いします。」


「ああ。宜しく頼む。」


俺は握りこぶしを痛いほど握りしめていた。


「他に何か御用は有りますでしょうか?」


「いや、大丈夫だ。」


「そうですか、本日はお買い上げありがとうございました。

 またのご利用をお待ちしております。」


奴隷商の男はそう言って頭を下げた。

俺は、シャルティアさんを背負い、奴隷商を後にした。

公園の所まで移動してきた俺達は、シャルティアさんをベンチに座らせた。


「よく我慢したな、偉いぞ。」


俺はシャルの頭を撫でてあげた。

シャルは俺を見て、行っても良い? って懇願した目で見てきたので、


「ああ、行っておいで。」


シャルは恐る恐るゆっくりとシャルティアさんへと歩み寄って、手を握った。


「えっと、ご主人さま…でしょうか? どういたしましたか? 何をすれば宜しいでしょうか?」


「~~~! ~~~~!!」


シャルは一生懸命説明しようとしているが、声が出ないから通じないし、文字を書いても見ることが出来ない。

でも、必死に母親に問いかけている。


「えっと?」


何を言われるでも無い状態にシャルティアさんも混乱しているみたいだ。

シャルはシャルティアさんに抱き着き、泣き始めた。

シャルティアさんも異常な雰囲気に気が付き、オロオロしている。

そして、抱き着いたのが小さな子供と分かり、頭を撫でようとして気が付いた。


「この耳…もしかしてシャルロット?」


シャルがピクリと反応した。


「そうなのね! あぁ、シャル…」


やっぱり母親だから子供が分かったのだろう。

そう言ってシャルを抱きしめた。

少しして2人も落ち着いたみたいだ。

そして、シャルが何も話さないことに疑問を持ったらしく聞いてきた。


「シャル、どうしちゃったの? 何か有ったの?」


でも、シャルは答えることが出来なかった。

そろそろ介入しても良いだろう。


「親子の再会に入り込んですいません。良いでしょうか?」


「あ、は、はい。えっと…」


「先ほど主人になった冒険者のハルと申します。」


「ご主人様ですね。大変見苦しい所をお見せしました。

 何か用事が有るのであれば、ご命令下さい。」


「あ、いえ、特に命令するつもりは無いのですが、とりあえず今の状況を説明させて下さい。」


「は、はい。」


俺はシャルとの出会いから今までのことをシャルティアさんへ説明した。


「そうだったんですね、親子ともども救って頂き、本当に感謝の言葉しか有りません。」


「いえ、俺もシャルのためにしてあげたかったことをしただけですから。」


「…ありがとうございます。でも、これから私達はどうすれば良いのでしょうか?

 こんな体だと何もお役に立てることも…」


「とりあえず一度落ち着きましょう。それから今後のことを話し合いたいと思います。良いでしょうか?」


「はい、」


「あと、呼び方ですが、俺達はシャルロットをシャルと呼んでました。シャルティアさんは何て呼べばいいでしょうか?」


「亡くなった主人にはティアと呼ばれていましたので、ご主人様が宜しければティアと呼んで頂けると嬉しいです。」


「わかりました。では、ティアさんと呼ばさせて頂きます。後、俺のことはハルで良いですよ。

後、俺の仲間のナタリー、アイリ、ビアンカです。」


「ハル様ですね、分かりました。」


「ナタリーです。宜しくお願いします。」


「アイリよ、宜しくね~」


「ビアンカじゃ、宜しくの。」


「ナタリー様に、アイリ様、そしてビアンカ様ですね。宜しくお願いします。」


「様も要らないんだけど…まあ今はいいか。」


とりあえず宿に帰ることにした。

再びティアさんを背中に背負った。

さっきは色々とテンパっていて気にする余裕が無かったから分からなかったが、今は落ち着いて余裕も出てきたので、背中のティアさんの感触が良く分るようになった。

ティアさんってナタリーさんやアイリさんほどでは無いが、中々の物をお持ちみたいだ…ごくり…

いやいや、何を考えている、シャルのお母さんだぞ!


ギュ~~!!! ×4


突然思いっきり脇腹をつねられた。


「痛てえぇぇ~~!! な、何?」


「「「別にぃ~!」」」


「別にって…はい、ゴメンナサイ。」


何か怖かったので謝っておくことにした。

ああ、俺って何てヘタレなんだ…


「うふふふっ、仲が宜しいんですね。」


「そうですか?」


「そうですよ。」


「ま、まぁ、悪くはないですね。」


「ハル様に助けて貰えて本当に良かったです。」


何だか知らんが信用してくれたんだよな?


何はともあれ出会えて良かった。

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