今日のナタリーさん 78
私はナタリー、冒険者である。
目が覚めました。
昨日は久々にアイリと話をして楽しかったな。
「ほら、アイリ、朝だよ。起きて。
シャルちゃんも朝だよ~。」
「うにゅ?」
アイリは相変わらず朝が弱いなぁ~
それに比べてシャルちゃんはスッと目が覚めて、そのままトイレへと行ってしまった。
何とかアイリを起こし、着替えて身支度を整えた後は、朝食を取るために食堂へ向かうことにしました。
彼とビアンカさんも直ぐにやって来たので、挨拶を済ませました。
うん、ビアンカさんは幸せそうなので良かったです。
朝食が運ばれてきたのでさっそく頂きます。
あ、今日もご飯が出てきました。
見た感じ昨日の朝とは全然違いましたので、これは期待できそうですね。
さすがは彼が指導しただけは有りました。とっても美味しいです。
そこに料理長がやってきてご飯の感想を聞いてきました。
彼も十分に満足できる出来だったみたいで、喜んでました。
少し雑談をした後、料理長は挨拶をして戻って行きました。
これからマスターさんの所へ行ってみるとのことでした。
料理長の技術と、マスターさんの料理が合わされば、よりあそこのご飯は美味しくなりそうですね。
今度帰る時が楽しみです。
宿を後にした私達は、道中の情報を聞くために冒険者ギルドへとやってきました。
ギルドの中に入った途端、彼が何かソワソワし出しました。
あれ? この様子は何かやりだしそうな雰囲気が…
やっぱり…確か前にもこんなことやってましたよね? 思わず睨んでしまいました。
すると、彼は言うのを止めてくれたみたいでした。もしかして私が睨んだのを気にしてくれたのかもしれません。
その後、落ち着いた彼が窓口に並ぶのですが、やっぱりそこに並ぶんですね…
順番になり、シャルちゃんの故郷の場所を聞くと、その村は無いとのことでした。
前に彼の説明で村が襲われたことを聞いてはいましたが、どうやらその後に滅んでしまったみたいです。
とりあえず行ってみるみたいですが、何か手がかりでも有れば良いのですが…
詳しい場所と街道沿いの情報を貰った私達はギルドを後にしたのでした。
次にやってきたのは道具屋さんです。
さすがは王都の道具屋さんです、かなり大きなお店で、従業員も沢山居ました。
従業員に案内され、4人用のテント売り場へ案内してもらいました。
そして、最新式のテントをお勧めされました。
確かに簡単に設置できそうですし、良いかもしれません、もっと大きなものも有るのかな? と思い周りを見てみましたが、これ以上大きなものになると、強度的に問題が有るのでしょう。普通のテントしか有りませんでした。
結局最新式のテントを購入することになり、会計を済ませた所で、聞きなれた名前を聞くことが出来ました。
確かアルデの街の道具屋さんも、そのような名前だったみたいな記憶が…どうやらそのお店の王都本店だったみたいです。
彼が主人と話がしたいとのことで私達も案内されました。
そこに居た人は確かにアルデの街でも見たことありますね。向こうも私のことを知っていました。
それにしても彼とゴードンさんはすごく仲が良さそうです。ちょっと羨ましいと思ってしまったのは内緒です。
その後はビアンカさんとの約束のお酒を買い、アイリとの約束のアクセサリーを買いにお店へと向かいます。
ここはアイリの買い物に来たんだし、私はその間少し商品を見させてもらおうかな。
「あ、これ可愛い~」
「ほぅ、ナタリーに似合うのじゃ、買うのか?」
「ん~、でも結構高いですよね、今は旅の途中ですし、我慢します。」
「だったら、ハルに買って貰って貰うのも良いかもしれんの。」
「それはハルさんに悪いですから。」
・・・・
「みんなーちょっと調整するから集まってくれ。」
「は~い。」
彼に呼ばれたので行ってみることにしました。
でも、調整? 何を調整するのでしょう?
「え? 指輪…ですか?」
「ああ、俺から皆へのプレゼントだ。
もちろん俺の分も有るから気にしなくて良いぞ。」
シルバーのリングに宝石が付いているこれってもしかして…!?
彼は、カップル、もしくは夫婦が同じリングを着ける意味って知っているんでしょうか?
「ハルよ、これってそう言う意味なのかの?」
すると彼は照れた顔をしながら答えてくれました。
「まぁ、みんな俺の大事な嫁さんだからな。」
う、嬉しいです! 一生大事にします!!
私はグリーンのエメラルドが入った指輪を頂きました。
もちろん、しっかりとお礼を言っておきました。
全ての用事も済んだことなので、少し時間は遅くなってしまいましたが、何とか王都を出発することが出来ました。
途中で分かれ道の先についての質問が有ったので、知ってる範囲でお答えしました。
すると、彼は同郷らしい賢者の国に行ってみたそうでしたので、もちろん着いて行くことを言いました。
安心した感じで喜んでくれました。
モスフィールドの村へと到着したのは日も暮れかかった時間でした。
何とか宿を見つけはしたのですが、すでに満員で泊まることが出来ないとのことです。
仕方が無いので野営することになりました。
最初は村の外でと思ったのですが、どうやら広場でテントを張っても問題無いとのことでしたので、村内での野営になりました。
やっぱり村の外よりは中の方が安全なので、良かったです。
さて、夕食を作るのですが、ここ最近は彼に任せっぱなしになっていました。
ここは頑張る時です。任せてもらうことにしました。
材料は小麦粉、オーク肉、丸ネギ、キャベスリー、キュロット、トゥメイトゥにレトゥース、後は調味料です。
う~ん…何を作りましょうか…たまには彼をあっと驚かせてみたいです。
そうですね、彼はお味噌汁が好きと言うことは、出汁系の味が好きなのは分かっています。
なら、いつもの野菜スープを工夫してみるのも良いかもしれません。
シャルちゃんが好きそうなハンバーグと、いつもパンばかりなので、パスタも良いかもしれません。
「よし! やりますか!」
・・・・
「…出来た。」
我ながら良い出来だと思います。特にこの野菜スープは自信作です。喜んでくれるかな?
みんなに夕食が完成したことを伝え、配膳していきます。
さて、彼の反応はどうでしょうか…
「旨い!」
ナポリタンとハンバーグを食べた彼の反応は上出来、ここからが本番です。
野菜スープを口にした彼は、驚いた顔をした後に嬉しそうな顔でスープを飲んでいます。
これは…成功ですね。
食事の後に彼が作ったプリンを出してくれました。
相変わらず美味しそうです。先ほどの自信が少し揺らぎそうです。
それなのに、ここで終わらずにさらに手を加え、ますます美味しそうなデザートに…
ぱくり…すこしほろ苦甘いタレにふわふわな白い塊と、プリンのプルプルが…まだまだ彼には手が届きません…もっと頑張ろう。
見張りの順番も決まり、後は寝るだけです。
もちろん彼の左隣を勝ち取ったのは私でした。ふふん♪
今夜は良い夢が見られそうです。
私はナタリー冒険者だ。明日はまた旅が続きます。頑張ろう。
がんばれ!




