王都を出発
何だかんだで時間を取られてしまったため、王都を出発したのはお昼を過ぎた後になってしまった。
とりあえず王都周辺は半日くらいで次の街やら村へと到着するみたいなので、とりあえずそこを目指すことにする。
王都を出てから1kmほど進むと分かれ道が見えてきた。
「あそこが最初の分かれ道だな。」
設置してある看板を見ると、迷宮都市行きと、サンリツ帝国行きに分かれているみたいだ。
「ここを行くとサンリツ帝国に行くんだな。サンリツ帝国ってどんな所なの?」
「知らな~い。」
「あたいも知らんの。」
こういう時こそのナタリー先生だな。
「先生、お願いします。」
「また先生ですか? 恥ずかしいです。
えっと、私も大したことは知らないのですが、サンリツ帝国を治めているのは『ショウリバー・スプリトゥリー3世』です。
もともとは小国が集まった場所でしたが、100年前の戦争で一つの国としてまとまり出来たのがサンリツ帝国になります。
有名な賢者ユウキ様は、初代帝王の宮廷魔導士として活躍してたんですよ。」
「流石は先生! 良く分りました。」
もと同郷が居た所か、いつかは行ってみたいものだな。
「何、ハル君行ってみたいの?」
「ん? そんな顔でもしてた?」
「何となくかな~」
「ハルが行きたいんじゃったら、着いて行くぞ?」
「私が行く所は、ハルさんの行く所ですよ。」
シャルもシャルも~って感じにアピールしている。
「そうだな、シャルの件が済んだ後にでも考えても良いかな。」
「楽しみじゃの。」
とりあえず今はシャルの故郷を目指すため、迷宮都市方面へと馬車を進ませた。
道中は特に変わったことも無く、無事に最初の村へと到着した。
とりあえず宿を探すために、門を過ぎた所で休憩していた老人に聞いてみることにした。
「すいません、お聞きしたいことが有るのですが。」
「やあ、ここはモスフィールドの村だよ。」
「どこか泊まれる宿を探しているのですが。」
「やあ、ここはモスフィールドの村だよ。」
「あれ? もしもし?」
「やあ、ここはモスフィールドの村だよ。」
これって…もしかしてRPGの世界に迷い込んでしまったのか!?
住人に声を掛けても同じことしか話してくれないって奴だな。
俺がそんなことを考えていると、
「あ~!! こんな所に居た! また他の人に迷惑かけてる~!!」
そこには10歳くらいの女の子が居た。
「どういうことなの?」
「ごめんなさい、家のおじいちゃんなんですけれど、ちょっとボケちゃってて、門番だった時の名残で同じことを繰り返しちゃうんですよ。」
「な、なるほど。」
良かったRPGの世界に迷い込んだんじゃなかったんだな。今いる所がRPGの世界っぽいと言うのは言わない約束だ。
「ほら、おじいちゃん、帰るよ。」
「ばあさんや、飯はまだかいの?」
「はいはい、今からだからね。」
ずいぶんと手慣れているな、おそらく毎日同じことやっているんだろうな。
そして女の子は老人を連れて帰って行った。
「あ、宿…」
暗くなってきた御蔭で人通りも無く聞ける人も居ない。仕方が無いので自力で探すことにする。
なんとか見つけた宿に入ってみたが、
「すいません、満員です。」
「そうですか…」
こうして今日は野営することに決まったのだった。
ようやく出発出来た…
ショウリバー・スプリトゥリー3世は元になった人物が居ます。誰とは言わないけど(笑)
当てることが出来たのなら素直に凄いと思う。




