今日のナタリーさん 77
私はナタリー、冒険者である。
目が覚めました。
起きた早々から彼の顔を見れたなんて幸せです。
あれ? これって…
そこからの内容はご想像にお任せするとしますね。
体を洗い、着替えた後は朝食へ向かうことにしました。
挨拶の後に皆にからかわれています…どうやらバレているみたいです。
さて、朝食ですが、なんとご飯が出てきました。しかも私達だけみたいです。
おそらく昨日のジェニファーさんのお弁当が原因と言うか、対抗したのかな?
さっそく食べてみることにしました。
…何でしょうか、色々と残念な味です。
私はご飯の炊き方をマスターさんから教わりましたので分かりますが、おそらく色々間違っていると思われます。
一口食べたビアンカさんも、彼も秒な顔をしていたので間違い無いと思います。
確かご飯は彼が好きな食べ物の一つでした。それ以外は普通に美味しかったので、非常に残念です。
朝食を食べながら今日の予定を話し合います。
とは言っても、料理を学ぶのですけどね。
それを聞いたアイリとビアンカさんが料理を学びたいと言ってきました。
ビアンカさんは分かりませんが、アイリは孤児院に居るときから料理はしていなかったのですが、大丈夫なのでしょうか?
でも、いい機会かもしれません。応援することにします。
キッチンへ向かい、声を掛けました。
アイリ、ビアンカさん、シャルちゃんは初心者と言うことで別れの作業となりました。
彼の料理のレベルを聞かれた際、彼は趣味程度のレベルと言いました。
あれで趣味レベルですか? あれで趣味レベルだったら、私は…(涙)
とりあえず彼の料理が上手なことを教えることにしました。
さて、始めようとした所で、彼がご飯について質問しています。
すると、作った料理人に対して突然豹変しました。
ご飯大好きな彼がここまで言うってことは、本当にご飯が大好きなんですね。
確かに昨日の朝に食べたご飯は最高でした。
でも、おそらくご飯の炊き方を知らなかったんだろうと思いますので、その辺で許してはどうでしょうか?
そう言ってみたのですが、彼は鬼になるそうです。
鬼? オーガのことでしょうか?
混乱している私を他所に彼は変わってしましました。
軍曹? それにその言葉使い、いつもの彼では有りません。
どうしちゃったのでしょうか?
私はぼーぜんとしていまいましたが、料理人は従っています。
とりあえず私の言葉も届かなくなってしまったみたいなので、様子を見ることにします。
勉強にもなりますからね…
ご飯が炊きあがり、なんとか彼も元に戻ることが出来ました。良かったです。
さっそく試食することになりました。
うん、この味です。さすがは彼です。
しかも、昆布を入れたり、調味料を入れたりすると他の料理になるんですね、勉強になります。
ご飯の次は、今日の目的でも有った茶碗蒸しと言う料理を作ります。
知らない食材だらけでした、彼が用意してくれたのを見ると、普通の食材でしたので安心しました。
なるほど、彼の国ではそんな名前なんですね。
彼が説明をしながら茶碗蒸しを作っていきます。
料理長が色々質問していましたが、彼は一つ一つ丁寧に説明してくれて、かつ実際比較するために失敗作も作ってみるみたいです。
そして蒸すと言う調理法、初めて聞きました。マスターさんの所では習うことが有りませんでしたから。
茶碗蒸しが完成したので試食をすることになりました。
彼が言った通りの順番に食べることにします。
1つ目を試食…つるんとしたのど越しと卵と材料の風味、これは美味しいですね。
でも、彼はこれを旨味が無い状態で作ったと言ってましたが、十分じゃ無いでしょうか?
2つ目を食べたら、彼が言っていた理由が良く分りました。
味が段違いに美味しいです。先ほどの自分が言ったことが恥ずかしいです。これで充分? 先ほどの私を無かったことにして下さい…
最後のも試食をして、彼が言っていた意味が良く分りました。
同じ味付けにも関わらず、ここまでの変化が有るとは…
食感がいかに大事だと言うことが良く分る物でした。
彼が材料を変えると甘味にもなると言ってました。
甘味? 黄色くてプルプルしていて何処かで見た様な気がしていたのですが、器から出してひっくり返せば、シャルちゃんが好んで食べていたプリンに似ていました。
どうやら正解だったみたいです。
材料が違うだけで、作り方は同じなので、今回は料理人たちが作るみたいです。
一度教えただけで、あっさり作ってしまうとは、さすがはプロの料理人です。
私も出来るとは思うのですが、あそこまで上手に出来るかはやってみないことには分からないです。
完成したプリンを私も頂きましたが、確かに食感は茶碗蒸しに近いです。
でも、味が違うとこうも変わる物なんですね。全く別の料理に思えてしまいます。
その後は、料理長から昨日では終わらなかった技術を教えて貰いました。
こうして教えてもらうと、私もまだまだだと思うことが出来ました。
もっと頑張って、彼に美味しいご飯を作ってあげたいな。
すべての作業が終わった所で、アイリ達の様子を見に行ったのですが、あの調子だと料理は作らなそうかな?
まぁ、私は料理するのが嫌いじゃ無いし、私が作った物を彼が食べてくれる喜びも有るし、それに、彼と一緒に料理することが有ると思うと…うふふふっ♪
明日の予定を決め、今夜はビアンカさんが一緒なのが決まったので。
部屋に帰って寝ることにします。
各自湯あみを済ませ、ベットに横になります。
シャルちゃんがお休みになった所で、アイリが小声で話しかけてきました。
「あ~あ、今晩はハル君と一緒に居たかったな~」
アイリがぼやいています。
「次はアイリかシャルちゃんだからね、楽しみにしていたら良いんじゃない?」
「そうだけどさぁ~、そうれでも一緒に居たいと思うのは仕方ないんじゃないかな?」
「そうだね。それは同意かも。」
「でしょ?」
「でも、何時もアイリが独占とかになったら、私もビアンカさんも困るよ?」
「だよね~、さすがに私しか居ないんだったら別だけど、そうじゃないからね。
私もそこまで言うつもりは無いよ。
…あっ! ナタリーさ、今度2人で一緒にハル君と寝るとかも良いんじゃない?」
「寝るだけ?」
「何をかまととぶってるのよ、ハル君を2人で一杯愛してあげようって話よ。」
「うっ…そうだよね、そっちの意味だよね。
2人でかぁ~ アイリと比べられると自信無いなぁ~」
「何言ってるのよ、ナタリーの方が肌白いし、形良いし、羨ましいんだからね!」
「お互い羨ましいってことなんだね。」
「そうかもね…
ねぇ、こうしてナタリーと2人っきりで話すのも久しぶりだよね~」
「孤児院に居た頃は、よく一緒に寝てたのにね。」
「別に喧嘩した訳じゃ無かったけど、冒険者になった辺りから、こう一緒に寝ることも無くなったよね。」
「うん。多分私がアイリを羨ましがったのが原因かもしれない。」
「何言ってるのよ、ナタリーの方がギルドで人気も有ったし、私の方が羨ましかったんだから。」
「お互い様なのかな?」
「だね。こうしてまた一緒に居られるのもハル君の御蔭だね。」
「そうだね、これからはお互い仲良くやって行こうね。」
「もちろん♪」
私達は少し夜更かしして久々に語り合いました。
私はナタリー冒険者だ。明日はまた旅が始まります。頑張ろう。
3(ぴ~)フラグが経ちました!?




