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料理教室 2


「じゃあ、当初の予定の茶碗蒸しの作り方教えますね。」


「宜しく頼む。」


「材料は、4人分の分量で、卵2個、鶏肉20g、かまぼこ4枚、しいたけ1個、三つ葉適量、ぎんなん4個、たけのこ一口サイズ4個、鰹節、昆布、水360g、塩少々。」


「すまんが、幾つか知らない材料が有るんだが。」


「あ、代替品で行けますんで、かまぼこは白身魚をすりおろして塩と一緒に練ったのを蒸したもので、しいたけはしぃたけとか。

 とりあえず、今回はこっちで材料を用意しますね。」


全部アイテムボックスに入っていたのでこっそり出しておく。

名前は違うが同じ様な材料ってこの世界にも有るんだな。


「まずは出汁を作ります。

 鍋に水、鰹節、昆布を入れて火にかけます。

 沸騰したので火から外し、鰹節と昆布を取り出し、冷まします。」


「これは何だい?」


「旨味の成分になります。」


「旨味?」


「上手く説明出来ないのですが、辛い、甘い、しょっぱいとかと同じ味覚の一種です。」


「ふむ。」


「舐めてみます? これだけだとそれほど味はしないですけれど…」


料理長は指に付けて舐めてみた。


「ほんのりと、魚と海藻の味がついているな、当然か。

 だけど、大して美味しい物でも無いな。」


「これが有ると無いでは味がずいぶん変わるんですけどね。

 そうですね、一つだけ水で作ってみましょうか。」


1個分だけ水を用意した。


「次に卵を溶きます。この時泡を立てない様に気を付けて下さい。」


「立てるとどうなる?」


「滑らかさが失われて味が落ちます。」


今一つ理解できてないみたいだ。


「そうですね、これも試しましょうか。」


1個分だけ乱雑に混ぜて泡を立ててみた。


「そろそろ冷めたので、塩を加え、溶いた卵と混ぜます。

 混ぜましたら、ザルで越します。」


水のと泡の分を別けているので、3回も同じことをやるのは面倒だ。


「材料を切ったのを器に入れ、先ほどの汁を入れます。

 後は蓋をして蒸すだけです。」


「蒸す?」


「沸騰したお湯の蒸気で作ることですよ。」


「どうやるんだ?」


「蒸し器が有ればいいんだけど、知らないってこと無いよな。

 大きくて深い鍋って有ります?」


「これでどうだ?」


寸胴みたいな鍋を出してきた。


「大丈夫です。これに水を入れて、台座…これでいいか、これを入れてお湯を沸かします。」


「お湯が沸いたぞ。」


「そしたら、小皿を蓋代わりにして台座に乗せてと、後は鍋の蓋に布を巻いて水滴が堕ちるのを防いでと…

 後は弱火で3分じゃわからないか、数を180ほど数える時間蒸します。」


「よし、1,2,3…178、179、180!」


「そしたら火から外して少し予熱で蒸します。

 さっきと同じくらいで良いですよ。」


3分ほど経ち茶碗蒸しが完成した。


「この2つが完成品です。こっちが水で作った物、こっちが泡立てた物になります。

 そうですね、水、完成品、泡の順に食べると分かりやすいですね。」


「そうか、では試食してみよう。」


料理長は最初に水で作ったものを手に取り食べてみた。


「つるんとした食感に卵の風味、鶏肉の味がして旨いな。」


「では、次にこれを食べてみてください。」


次に完成品を食べてみると、目を見開いた。


「こ、これは…なんと言う旨さだ…

 繊細な味にも関わらず、味に深みを醸し出している…

 大した味では無いと思っていた物がこうなるとは…これが旨味か…」


「最後に泡立った物を食べてみて下さい。」


泡立てて作った茶碗蒸しを食べてみた。


「…言っていた理由がよく分かったよ。

 お前たちも食べてみろ。」


弟子たちが茶碗蒸しを試食している。

料理長と同じ様な反応を示していた。


「作り方は単純にも関わらず、ここまでの料理になるとは…さすがは伝説の料理人ジェニファーと言うことか…」


いえ、これは一般家庭料理ですとは言えないな。


「参考にだけど、作り方は同じなんだが、卵、ミルク、砂糖で作ると甘味になるぞ。」


「あ、プリンってそうだったんですね、確かに似てますね。」


「プリン?」


「どうせだから作ってみたらどうだ? やり方はもう分かっただろ?

 分量は卵1個に対し、ミルク100ml、砂糖15gくらいだ。

 本当はバニラエッセンスなどが有ったら良いんだけど、無いだろうなぁ…」


「バニラエッセンスとは?」


「甘い匂いがする植物から取れる液体なんだけど、口で説明するのは難しいな。

 無くても問題無いから気にしないで作ってみれば?」


「そうだな、やってみるか。」


作り方さえ分かれば、後はプロだ。問題無く作っていた。


「出来たぞ。」


みんな各自手に取り試食を行う。


「これは女性に人気が出そうだな。」


「ええ、子供も行けますね。」


「いや、男でも好きな人は居ると思う。」


さっそくメニューに取り込むみたいだ。

さすがは料理人だな。


「色々と勉強になった。ありがとう。

 では、次は私の料理の技術を教えよう。」


「お願いします。」


・・・・


「こんな感じだな。時間も無いことだし、ここまでにしよう。」


「「ありがとうございます。」」


思った以上に濃い内容だったな。

食材の切り方だけでもあれほどの工夫があるとは…目からうろこだったよ。


「それじゃ、皆の所へ行ってみようか。」


「はい。」


皆の所へ行ってみると、目が死んでいるアイリさんとビアンカさんが居た。


「どうしたんだ?」


「ハル君ゴメンね、私に料理は無理だったよ~」


アイリさんが涙目で訴えてきた。


「あたいはまだマシじゃったが、お勧めはしないのじゃ。」


どうやら2人とも似たり寄ったりみたいだ。


「料理は私が頑張りますね。それにハルさんも居ますしね♪」


ナタリーさんは何故かご機嫌だ。


「苦労掛けるかもしれないけど、宜しくな。

 俺も出来るだけ手伝うから。」


「はい♪」


こうして王都での料理教室は終了したのだった。


(^q^)<茶碗蒸し美味しいです


Ω<それはプリンです

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