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今日のナタリーさん 73


私はナタリー、冒険者である。


今朝は彼の声で目が覚めました。

起きて早々彼は着替えて洗濯を始めてしまいました。

洗濯なら言ってくれれば私がやったのに…

でも、彼の魔法での洗濯は凄いです。あっという間に綺麗になってしまいました。

私もあの魔法は是非使ってみたいです。


洗濯を済ませた彼が朝の挨拶をしています。

何かいつもの彼とは違いさわやかさんです。

こんな彼も新鮮でカッコいいです♪

…と思ったのもつかの間、いつもの彼に戻ってしまいました。

やっぱり慣れ親しんだこっちの彼だと安心ですが、さきほどの彼ももう少し見て居たかった…残念です。


さて、今日の予定ですが、この先の説明を行った後、次の村で泊まるか、野営にするかで話し合うことになりました。


「そうだね~やっぱり安全策を取って次の村に泊まるのがいいんじゃないかなぁ~」


「いや、魔物が少ない安全な内に野営を経験するべきじゃと思うんじゃがどうじゃろうか?」


シャルちゃんもコクコクと頷いています。


「ナタリーはどう思う?」


「私は…泊まりですね。」


まだ彼が居る側でのトイレはちょっと恥ずかしいです。

もう少しだけワガママさせて下さい。


「じゃあ、私とナタリーが止まりで、ビアンカとシャルちゃんが野営と、見事に分かれたねぇ~

 じゃあ、ハル君に決めて貰おおっか♪ ねぇ、ハル君どっちがいい?」


彼に意見を聞いたが返事がありません、どうしたのでしょうか?

彼の方を見ると、何か上の空で何かを考えているみたいです。

もしかして泊まりか野営かで悩んでいるのでしょうか?」


「ねぇ、ハル君、ハル君? ハル君!」


アイリが呼びかけて彼が戻ってきました。

どうやら違うことを考えていたらしく、野営については何も聞いて無かったみたいでした。

とすると、何を考えていたんでしょうか?

とりあえず彼もビアンカの意見と一緒らしく、今日は野営することに決まりました。

そうですね、安全な内に経験をするのも必要ですよね、そろそろ覚悟を決める必要が有りそうです。


朝食時にまた少し嫌なことが有りましたが、彼の機転で楽しい食事を済ませ、出発することになりました。

街を出て再び馬車の旅となりました。

しばらく進むと、前方にホーンラビットらしき魔物が居るとのことです。

彼がどうするか意見を求めて来た所、シャルちゃんが立候補してきました。

え? シャルちゃんが一人でですか!? 大丈夫なんでしょうか…

ビアンカさんが言うには問題無いとのことでしたので、イザとなったら手伝うとのことなので、見守ることにしました。

出来ればケガしないで欲しいです。


驚きました。

シャルちゃんはホーンラビットの突進にも慌てず、獣人さんらしく素早い動きで避けての一撃で倒してしまいました。

私が同じことを…やれる自信がありません。

でも、出来ないと冒険者としてやっていけませんし、私も頑張らないといけないですね。


・・・・


お昼頃になり、ようやくメニーハーガ村へと到着しました。

今日はここで泊まらないため彼がそのまま通り過ぎようとしました。

え? トイレ休憩しないんでしょうか?

まだ余裕は有りますが、行ける時に行っておきたいので、彼にお昼ご飯を食べることを提案してみました。

アイリもビアンカも同意してくれたってことは同じ考えだったのかもしれません。

休憩することが決まり、宿と兼用している食堂へと到着した私達は、用を済ませるために店の中へ入って行きました。


「いらっしゃいませ、本日はどの様な要件でしょうか?」


「すいません、お食事と、後、トイレ貸してください。」


こちらの切羽詰まった様子から納得したのか、


「ここの突き当りを左に有りますので。」


「ありがとうございます。」


私達は無事用を済ませることが出来ました。

それにしても、余裕が有ったと思ったのですが、いざトイレに向かうと、突然したくなるのは何ででしょうね?

やっぱり安心するからでしょうか? 何はともあれ間に合って良かったです。


トイレを済ませて食堂へ向かうと、すでに彼が食事を注文していました。

本来私達がするハズでしたのに、その節は大変申し訳ありません。

そして、彼が何の用事が有ったのか聞いてきました。

あぁ、どうしましょう、恥ずかしくてトイレに行っていたとは言えません。

なのに、ビアンカさんが彼にバラしてしまいました。

…そうでえすよね、そんなこと言ってられないですよね、そろそろ本気で覚悟を決めなくては駄目ですよね…


私がそんな覚悟を決めるために葛藤している所で、彼が何処でも使えるトイレが有ると言ってきました。

え? そんなものが有るんですか!?

さすがは彼です。どんな物かは後での楽しみらしいですが、これで問題が解決するみたいなので、ホント良かったです。


食事を済ませ、再び馬車での移動になりました。

先ほどのトイレの話を聞いてみることにしました。

どうやら彼も私達が困ることを見かねて用意してくれたみたいです。

こうして女性のことを気にしてくれる冒険者はあまり聞いたことがありません。

ホント彼は優しいです。ありがとうございます♪


しばらく馬車が街道を進みます。

前方に再びホーンラビットらしき魔物が居るとのことです。

今度は私が立候補してみました。

シャルちゃんに負けてはいられませんし、彼の旅に着いて行くにも弱いままでは居られませんからね。


馬車を停止し、彼が偵察のためにホーンラビットらしき魔物に向かって行きました。

少しして、彼が戻ってきたのですが、なんとホーンラビットを生きたまま捕まえて来たでは無いですか! 凄いです!

彼の話によると、トイレ中だったのことで、用をする際の危険性について納得していました。

あの警戒心の強いホーンラビットが捕まえられたってことで私も納得し、絶対一人で行動はしないことを誓いました。


余談ですが、捕まったホーンラビットは私が止めを刺すことにしました。

こんなに簡単に倒せちゃって良いんでしょうか?


・・・・


夕刻前で明るいですが、アイリの提案で野営の準備をすることになりました。

暗くなる前にって確かに言われて気が付きました。確かにそうですよね。

丁度開けた場所が有ったので、そこを野営地として馬車は停止しました。


そこで最初に彼が用意してくれたトイレの説明をしてくれました。

思っていた以上の大きさに少し驚きましたが、この広さなら余裕を持ってできそうです。

中は地面が剥き出しでしたが、彼の説明を受けなるほど~と思いました。

これで今後のトイレ事情は安心することが出来ました。


さて、彼がテントを作る間に私は夕食の準備をすることにします。

彼から食材と調理器具を受け取り、私は私の仕事をすることにします。

さて、材料からすると、ステーキとスープが無難かな?

下ごしらえをしちゃいましょうか…


下ごしらえが出来た所でかまどに火をつけてもらい調理を行います。

おいしくな~れ、おいしくな~れ♪

うん、良い匂いです。

簡単な料理ですが、野営ですからこんなものでしょう。

ぱくり…味付けも悪くないし、これで完成です。


夕食が出来たのでみんなで頂くことにします。

みんな美味しく食べてくれたので、頑張った甲斐がありました。


夕食が終わり、後片付けをしようとした所でビアンカさんの声が聞こえてきました。

どうやらトイレが使えなかったみたいです。

壊れたとかではなく、彼がお風呂を用意したからでした。

お風呂と言えば、お金持ちの商人、貴族や王族が入っているのを聞いたことがあります。

大量の薪を使うのであまり一般には普及していません。

聞いてみたら、それに間違いなさそうです。


大きなお風呂ですから、2人で入れそうです。

そんなことを考えていたらアイリが提案してきたので、私も恥ずかしいですが他の人に譲る訳にはいられません!

…が、体験と言うことで一人ずつとなりました。ほっとしましたが少し残念です。


アイリ、ビアンカさんとシャルちゃんが入り、いよいよ私の番になりました。

扉を閉め、体を洗った後にお風呂に浸かります。

先ほどシャルちゃん達が遊んでいたためお湯が少ないし、ぬるいですが、仕方ないですよね。

これでもタライで体を洗うよりは随分マシですし、野営ではせいぜい濡れたタオルで体を拭くのが関の山と聞きますしね。


そこに彼がやってきて声を掛けてきました。

もしかして覗きでしょうか? 覗くのならば堂々と入ってきてくれた方が嬉しいのですが…


違いました。

どうやら減ったお湯を足してくれるみたいです。

私ったら何を考えていたのでしょうか、恥ずかしいです。

彼に扉を開けることを了承しました。

扉を開けて彼の顔が見えました。

一度全部見られてるとは言え、やっぱり裸を見られるのは恥ずかしいですので、隠れます。

そしたら彼は向こうを向いてお湯を入れてくれました。


暖かいお湯が注がれ、体が温まってきて気持ちが良いです。

お風呂ってこんなにも良い物なんですね、身も心もとろけそうです。

お湯も一杯なった所で彼が戻ろうとしたので、つい手を握ってしまいまいました。自分でもびっくりです。

何だかんだで私も彼と2人っきりになりたかったのかもしれません。

少し一緒に居たいことをお願いしたら彼も了承してくれました。嬉しいな♪


思い切った行動を取ったせいか心臓がドキドキしています。

彼にもこのドキドキを教えるために、心臓に手を当ててみました。

ほら、ドキドキしてるでしょ?

そしたら彼が私の胸を触っていることを言ってきました。

胸? 視線を下ろすと確かに彼の手は私の胸を触っている形でした。

きゃああ~~~私ったら何を…慌てて彼の手を離します。


恥ずかしいです。恥かしさついでに彼に私の胸のことを聞いてみると、2人っきりだったら我慢が出来ないとのことでした。

それって、あんなことや、こんなことをしたいってことですよね?

私は前の彼とのふれあいを思い出し…きゅう~


…気が付くと、アイリが呆れた顔をしていました。


「ナタリー何やってるのよ…」


「迷惑かけてごめんね…ハルさんは?」


「お風呂入ってるわよ。」


「体は何ともない? もしかして疲れてた?」


「大丈夫、ちょっとのぼせただけだから。」


「そっ、ならいいわ。

 ほら、ハル君が出てきたみたい、行こ~」


「うん。」


彼に先ほどのことを謝り、この件は終わりとなりました。

見張りの順番を決めることになったのですが、朝食の件も有りますし、提案してみたら問題無く決まりました。

ありがと~ 美味しい朝ごはん作るからね。

順番も決まったので寝ることにします。

おやすみなさい。


私はナタリー冒険者だ。明日もまた旅が続きます。頑張ろう。


ふと、他の小説でもあまり女性側のトイレ事情の話って見かけないよな…

たぶんアイドルなんでしょうね(謎)

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