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魔物のお勉強


「はあっ、はあっ、はあっ…もう追ってこないかな?」


「そうみたい、でも、楽しかったね~」


町中での抜刀を注意された俺達が逃げた先に忍者屋敷が見えた。


「あ、ハル君、ハル君、あそこ行こうよ。」


「おう。」


中はアスレチックみたいなアトラクションだ。


「ハル君、この階段上れないよ~」


「ああ、それって目の錯覚を利用している階段だからな。多分本当の忍者じゃ無いと登れないんじゃない?」


「ん~、忍法壁歩きの術! …って駄目かぁ~」


「それで歩けたら苦労しないよね。」


「ハル君、ハル君、見て~

 どでんでんでんでんでんでん…」


亜紀ちゃんが印を結んで隠し扉へと入って行く。


「…でんでんでんでん…ってあれ?」


亜紀ちゃんが回り過ぎた御蔭で1周したみたいだ。


「あははははっ、周り過ぎ。」


「ハル君、そこは曲者め! 出会え! 出会え! だよ?」


「こりゃまた失礼。」


「じゃあもう一回ね。

 どでんでんでんでんでんでん…」


ガバッ!


「…あれ? 何だっけ?」


よく覚えていないが、某ホテルに行き、今はめずらくなった(無くなった?)回転扉に入ったは良いが、出られなくなってぐるぐる回ったような気がする。

あれってタイミング良く出ないと出られないんだよね、おかげで恥をかいてしまったのは良い思い出だ。

おはようございます。


さて、馬車が完成するのは明日だし、今日も何も予定は無い。

今日もギルドに行ってから考えることにしようと思う。


「ほれ、シャル朝だぞ、起きて。」


俺がシャルをゆすると、シャルは、目をくしくしとして起きる。

目が覚めたシャルは、トイレに向かって行った。

そーいえば、ここ最近おねしょとかしてないな、もしかして心が安定したことで出なくなったのかな?

シャルの成長に喜ぶ俺であった。

着替えた俺達は朝食を食べに行くことにした。


「麻呂は、朝食を希望するでおじゃる。」


「はぁ? 麻呂って誰だ?」


「あーうん、気にしないでくれ…」


「そうか…」


どうやら、このネタは不発に終わってしまったようだ。

せめてジェニファーが、ジェニファーが居たなら、あるいは…


「ほれ、朝食だ。」


今日はマスターが朝食を持ってきた。


「ナタリーさんは居ないの?」


「居るぞ? 他の客の朝飯を作らせている。」


「そっか、マスターから見てナタリーさんはどうよ?」


「普通の店なら十分主力としてやっていけるだろうな。俺には敵わんがな。」


「おーおー言うねぇ~、ジェニファーには?」


「くっ…坊主、分かって言ってるだろ。」


「さてね~? でもいつかは勝つんだろ?」


「ふん…当然だ。」


そう言ってマスターは戻って行った。


今日の朝飯はっと、パンにベーコンエッグにサラダとオレンジジュースだ。

シャルはすでに美味しそうに食べていた。

じゃあ俺も食べるとするか…ぱくり。

ジュワっとベーコンの油が染み出たのが卵に付いて旨い。


「いつものマスターの味だな。」


良くも悪くもマスターの料理は旨い。

でも、ナタリーさんが愛情を加えた味には正直敵わないと思う。

ジェニファーみたいに料理の腕プラス愛情が加わったら無敵だろうな。

ただ、ジェニファーの愛情は加えないで欲しいと思ってしまうのは仕方がないと思う。


「ごっそーさん。」


朝食を食べ終えた俺達は、氷を作った後に宿を出るのだった。


「さて、シャルは何かやりたいこと有るか?」


首を振ったので無いみたいだ。


「さすがに2人で森には行かないからね?」


シャルがえ~って顔をしたけれど、こればっかりは許しませんので、諦めて下さい。

例えシャルが俺より強いとしてもだ、せめて後10歳は歳を取ってからだ。


と言う訳で、冒険者ギルドへとやってきたのだった。

早速シャルと一緒に依頼を探してみることにする。


「う~ん、今一つ良い依頼が無いなぁ…」


つんつん…

何かと思ってみると、シャルが1枚の依頼を出してきた。


「ん? 良い依頼でも有ったのか?」


----------------------------------

目的  :ドラゴンの鱗入手

期限  :なし

成功報酬:1枚につき(白金貨1枚)10枚まで

依頼失敗:入手失敗、依頼放棄

----------------------------------


「却下!」


ワイバーンよりも危険度が上がってるじゃないですか、やだー

シャルさんは一体何を考えているのでしょうか?

シャルは、しぶしぶながら依頼を戻しに行った。

ふと思ったことが有る、もしかしてシャルは魔物を良く知らないのではないのかと言うことだ。

戻ってきたシャルに聞いてみることにした。


「シャルは、ドラゴンを知っているのか?」


シャルは首を振って否定したので知らないらしい。

ドラゴンがどんな魔物か知らないから金額だけで選んできたってのが正解っぽいな。

これは、少し魔物のお勉強をするのも良いかもしれない。文字を読む勉強にもなるしな。


「よし、シャル資料室へ行くぞ。」


俺達は2階の資料室へと移動した。


「えっと、魔物が分かる本は…っと、まずはこいつかな。」


【アルデの街周辺の魔物について】を手に取り、シャルと一緒に読んでみる。


・・・・


「…これで、この街周辺の魔物は分かったよな。それ以外の魔物となると、物語くらいしかないが、まあいいか。」


俺は【ドラゴン英雄伝】という本を手に取った。

この本は、アリがちな内容で、ドラゴンに捕らわれたお姫様を英雄が助けるために退治しに行くお話だ。

何でお姫様をドラゴンが捕らえるのか疑問は有るが、物語だしな、そう言うもんだと思うことにする。


そーいや、某土管工に出てくるお姫様も、何度も化け物に捕らわれていたよな。

ケモミミ程度ならまだしも、種族的にも容姿的にも合わないと思うんだけど、何で捕らえるんだろうな。

世の中には爬虫類的な生物に興奮を覚える方々も居るので、それと逆パターンの同類なのかもしれない…

もちろん、俺はノーサンキューだ。ただ、ドラゴンが人化して角とシッポが有る程度ならカモン! OKベイベー! だ(笑)


とりあえず物語を読み終わったのだが、英雄がドラゴンを倒してしまったのは失敗だったのかもしれない。

ドラゴンは倒せるものだと、シャルもやる気になってしまった…勘弁して欲しい…

これは物語で有って、現実には無理だからね?


思い込みは最強って言葉もあるし…

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