配達依頼を受けてみた
ギルドに到着した。
丁度朝のピーク時間なので、物凄く混んでいる。
まずは掲示板の方へ向かうことにした。
「相変わらず凄いよね~」
「朝は仕方ないさ、うし、いざ突撃~!!」
すっかりこの混雑にも慣れてしまったな、結構余裕で掲示板を確認出来る様になった。
お、またこの依頼出てるな、一度受けてみたいとは思っているんだが、問題はカルデの街が何処に有るのか知らないのと、おそらく1日で終わらないことなんだよなぁ~
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【配達依頼】
目的 :荷物をカルデの街の冒険者ギルドまで運搬
期限 :2日
成功報酬:(銀貨2枚)
依頼失敗:荷物の紛失、期限の超過
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「ハル君、何か良い依頼有った?」
「そうですね、この依頼を受けてみたいんですけど、迷ってるんですよね。」
「どれどれ? 配達依頼? 私はやったことないな~
ハル君は何でこの依頼受けてみたいの?」
「俺ってこの街しか知らないし、他の街ってどんな感じなのかな~って思ってさ、まっ、単なる興味本位かな。」
「ふ~ん、なら私も一緒に行こうかな。」
「え? この依頼ってPTで受けられるものなの?」
「受けられるけど、受けると依頼料が半分になっちゃうよ?
だから、私はただ付いて行くだけになるかな。」
「それは、さすがにアイリさんに悪いよ。
俺もお金に困ってる訳じゃないし、行くならPTで受けるぞ! 嫌ならこの依頼は受けない。」
俺がそんなことを言うと、アイリさんが嬉しそうな笑顔になった。
「やっぱり、ハル君のそういう所って好きだなぁ~」
「なっ…と、突然そんなこと言われると、何と言うか、その、照れるな…」
「あははっ、じゃあ依頼料半分貰うから、一緒に行こ~」
「そうだな、じゃあこの依頼で決まりだ。」
俺は依頼表を取り、ナタリーさんの所に並ぶことにした。
列に並んでいると、ビアンカさんがギルドにやってきた。
「何じゃ、何か依頼でも受けるのか?」
「ああ、この依頼を受けようと思ってな。」
俺は依頼表をビアンカさんに見せた。
「アイリも一緒に受けるのか?」
「うん、そうだよ~」
「そ、そうか…」
ビアンカさんが仲間になりたそうにこちらを見ている。仲間にしますか?
→はい(ピッ)
いいえ
「ビアンカさんも一緒に行きますか?」
「良いのかの?」
「はい、ただ、依頼料は3分の1になってしまいますが、良いですか?」
「いや、お金は要らんのじゃ。
ハルと一緒に行けるだけで、あたいは満足なのじゃ!」
「なら、この依頼は受けません。
アイリさんにも言いましたが、行くならPTで受ける、嫌ならこの依頼は受けない、どうする?」
「わ、分かったのじゃ、あたいも一緒に行きたいのじゃ、だから、PTでお願いするのじゃ。」
「うし、決まりだな。」
なんとビアンカさんが仲間になった!(笑)
そんなことを話している内に、俺達の順番になった。
「次の方どうぞ~」
「ナタリーさん、おはようございます。」
「はぁ~い、ナタリー」
「おはようなのじゃ。」
「ハルさん、アイリ、ビアンカさん、今日は揃ってどうしたのですか?」
「実は、PTでこの依頼を受けようと思っているんですけれど。」
俺は依頼表をナタリーさんに提出した。
「えっと、配達依頼ですね…って、これをPTで受けるんですか?
そうなると、依頼料が一人銅貨6枚鉄貨6枚で、余りが鉄貨2枚になりますので、馬車とか使ったら赤字になりますよ?」
「まぁ、主な目的が観光と言うか、他の街を見てみたいって理由なので、依頼料はおまけです。
なので、問題ありません。」
「ハルさんと観光…アイリもビアンカさんもずるい~!」
「ふふ~ん、だったらナタリーも一緒に行ったら良いじゃない。」
「私、最近休んでばっかりだから無理…ずるい…」
「受付嬢ってのも難儀な仕事じゃの。」
「ま、まぁ、ナタリーさん、今度また機会作りますから、その時は一緒に行きましょう!」
「…分かりました、今回は諦めることにします。
えっと、依頼の説明を行いますね。
配達してもらう荷物を夕刻までに用意しますので、それを明日から2日以内にカルデの街の冒険者ギルドまで運んでください。
この内容で問題無ければ、手続きを行いますので、ギルドカードの提示をお願いします。」
「宜しくお願いします。」
俺達はカードを提出して、手続きを完了させる。
「それではナタリーが承りました。
ハルさん、また後でね♪」
「そうそう、ナタリー、私達向こうで少し観光してくるから~
大丈夫、4日後のアレまでには帰ってくるから~
あ、ハル君には私から説明しておくので、安心して♪」
ナタリーさんがショックを受けた顔をしてぼーぜんとしている。
「アイリの馬鹿~!!」
「うふふっ、ナタリーじゃあねぇ~♪」
「そ、それじゃ、ナタリーさん、夕刻にまた来ます。」
「じゃあの。」
俺達は逃げるようにギルドを後にするのだった。
ようやく違う街に行けるぞ!