戦闘講習 1
「人類の未来のため、魔王覚悟!!」
新たな勇者が魔王様に切り掛かった。
「魔王様危ない!!」
ブシュ!
「うわああぁぁ~~!!」
俺は瀕死の重傷を負った、だが、ここで倒れる訳にも行かない!
俺は全ての魔力、力を出し切り、勇者を追い返すのに成功するのだった。
「くっ…覚えてろ!」
「はぁ、はぁ、はぁ…」
だが、力を使い切った俺は、その場で崩れ落ちるのだった。
魔王様が俺に近寄り、涙目で俺を見ている。
「魔王様、大丈夫ですか? ケガは有りませんか?」
魔王様は涙目でコクコクと頷いている。
「そうですか、良かった…
それにしても、ずいぶんと長い時間戦っていたみたいですね、もう夜になっちゃいました。
こうも暗いと、魔王様の素敵なお顔が見れないので、残念です。」
魔王様が握っている手の力が強くなり、何かか叫んでるみたいだが、疲れて眠くなってきたのか、よく聞こえない。
「ははっ、魔王様、どうやら疲れてしまったみたいです。
少し眠っても良いでしょうか? 出来れば魔王様のお膝枕だと嬉しいです。」
頭の下にに柔らかい物が敷かれ、頭を撫でられる様な感覚が有る、気持ち良いな…
時折、頬に暖かい何かが落ちてきているみたいだが、これは何だろう?
あまりの気持ちよさに、どんどん意識が…
ガバッ!
「……、あれ? 何だっけ?」
よく覚えていないが、アニメの最終回を見ていた様な気がする。
愛と感動の名作だったため、最終回の後はお祭り騒ぎだったな、この世界だと無理だが、もう一度見たいものだ。
おはようございます。
今日は、戦闘の講習を受ける予定だ、まだ時間に余裕が有るとは言え、遅れないようさっさと行動することにする。
「マスターはよ~、飯よろ~」
「おう」
席に着き、飯が来るのを待つ
「ほらよ」
マスターが朝食を持ってきたので、聞いてみる。
「マスターも聞いてたから知ってると思うんだが、ジェニファーがビールは無いって言ってたが、やっぱり無いのか?」
「そうだなぁ、前に坊主に聞いた時から調べてはいるが、見つかってはいないな。
ヤツが言ってたのも有るし、おそらく無いのだろう。
代わりにって言うのもアレだが、ホップとビール酵母だっけか?
そっちは今知り合いに探して貰ってる。」
「さすがマスター、頼りになる~」
「なに、俺も坊主がそこまでこだわる酒ってのに興味が有っただけだ、これは俺の問題だから気にすんな。
作り方も分かったし、もしかしたら、物凄い儲け話になるかもしれないしな。」
相変わらずだな、もっともらしいこと言ってるが、おそらく俺のために探してくれているに違いない、マスターらしい。
「その時を楽しみにしてるわ、完成して飲むときは、是非呼んでくれ。」
「おうよ。」
さて、朝食を食べるとするか、今日の朝食は、パンに、オムレツ、サラダにスープだ、パンにはリンゴーンのジャムが付いている。
ぱくり…うん、旨い、前にも食ったが、微妙にレベルが上がったんじゃないのか?
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【オムレツ】
品質:B
効果:HP回復+3
ケッコー鳥のひき肉と丸ネギを炒めた物をケッコー鳥の卵でくるんで焼いた物
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品質は変わらないみたいだが、微妙に効果が上がっている、おそらくマスターの料理のレベルが上がったからなんだろう。
この調子で頑張って行って欲しい。
「ごっそーさん」
朝食を食べ終えた俺は、氷を作ってから、ギルドへ向かうことにした。
・・・・
ギルドに到着した。
結構早めに来てしまったため、丁度ピーク時に重なってしまったので、混雑している。
時間まで資料室でスカウト系の本でも探してみるとしよう。
久々に資料室へ来た、さっそく探してみることにする。
…参考になりそうな良さそうな本は無いなぁ…ってこれは!!
ある本の背表紙が目に入った『ピッチ一世物語 第3章』だ、早速手に取り読んでみることにする。
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イヌとサルをお供に付け、ピッチ一世は、オーガを倒すべき旅を続けている。
「なあ、主よ、腹減ったんだが。」
「何だサル、もう腹が減ったのか?」
「ああ、腹が減って死にそうだ。」
「サルよ、お主は我慢が足りないんじゃないのか?」
「へーへー、おイヌ様は相変わらずだな…ってあれは!?」
サルが指をさした方角を見ると、炎に包まれた鳥が岩場の上で寝ていた。
「へへっ、ラッキー、あそこに肉が有るじゃねーか、ちょっくら取ってくる。」
「おい、サル、待たんか、って仕方ない、主よ、我も行ってくる。」
「いや、私も一緒に向かおう。」
ピッチ一世一行は、炎に包まれた鳥に向けて歩き出した。
あと10mほどって所まで近づくと、鳥が起き上がり、声を掛けてきた。
「我は不死を司るフェニックス、貴様たち、何しに来たのだ。」
「昼飯に答えるつもりはねーな。」
「おろかな、そんなに死に急ぐ物でもないだろうに。」
「へへっ、覚悟しやがれ!」
「おい、サル、向こうは穏便に話し合いを…って遅かったか。」
サルはフェニックスに飛び掛かり、戦闘を始めてしまった。
「イヌよ、どうしたら良い?」
「非はこちらにある、何とか止めるしか無いだろうな。」
「それしかないか…」
とは言え、サルとフェニックスの戦闘は物凄い物だった。
激しさもモチロン有ったが、フェニックスの攻撃は見る物の心を奪われそうになるくらい美しい戦いだった。
「…はっ、つい見とれてしまった。」
その時、サルがバランスを崩し、転倒してしまった。
「覚悟!」
「いかん!」
ピッチ一世はとっさに飛び出し、ロングソードでフェニックスの攻撃を受け止めた。
「ほぉ、我の攻撃を受けるか、貴様もなかなかの腕の様だ。」
「フェニックス、聞いてくれ、私達は、貴殿と戦うつもりは無い。」
「何を言う、そのキングエイプは襲ってきたではないか。」
「それについては、私の管理不行き届きのゆえ、許してもらえないだろうか?
それに、サルよ、お前の負けだ、潔く負けを認めろ。」
「…俺の負けだ、好きにしろ。」
「良い主を持っているみたいだな、良いだろう、この件は無かったことにしてやる。
それで、お主らは何しにここへ来た。」
ピッチ一世はフェニックスに旅の目的と、これまでの旅の状況を説明した。
「なるほど、オーガの討伐か、確かに最近の有奴らの行動には目も当てられぬな。
よし、ならば、我もオーガ討伐にお供しようではないか。
すまぬが、我は契約無しにはここを動くことが出来ん。
契約のために、何か貰うことは出来ないだろうか?」
ピッチ一世は老夫婦から頂いたキュピダンプリングを取り出し、フェニックスへ与えた。
「これはまた美味な…我はお主と契約された。
何か名前を付けては貰えないだろうか?」
「ならば、お前は「キジ」だ。」
「キジ…良い名だ、我はキジである。存分に使うと良いだろう。」
「俺はサルだ、へへっ、さっきは悪かったな、宜しくな。」
「我はイヌだ、宜しく頼む。」
「私はピッチ一世だ、頼むぞ!」
新たな仲間、キジを従えたピッチ一世は、イヌ、サルと共に、オーガの国に向け旅立つのだった。
第三章 完
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「…ふぅ…やっぱり凄いな、それにしても。フェニックスの〇イザーフェニックスって技、無敵じゃねーか。
相変わらず魅せる話を書ける、この作者はスゲーな!」
早く続きが読みたいもんだ。
おっと、そろそろ時間か、俺は窓口に向かうことにした。
「次の方どうぞ~」
「ナタリーさん、おはようございます。
戦闘講習を受けに来ました。」
「はるさん、おはようございます。
戦闘訓練は修練場で行います。講師の方はすでに待機していますので、向かって下さい。」
「はい、わかりました。
それじゃあ、行ってきます!」
「いってらっしゃい、頑張ってね♪」
ナタリーさんの応援を受けて気合も入ったことだし、修練場へ向かうことにした。
いよいよ次は鬼が島!?




