初めての戦闘
ガサッ!
草むらが揺れた音がしたと思ったらわき腹に衝撃が襲い、俺は吹っ飛ばされた!
ゴロンゴロンと2回転して止まった
「痛って~!」
吹き飛ばされるた方を見ると中型犬の大きさの何かが突っ込んで来るのが見えた
ヤバイ!死に物狂いで回避する…成功!何とか回避し、立ち上がった
そして、突っ込んできたヤツを見ると角を持った大きなウサギだった
「あれがホーンラビットか…
痛っ…ヘルメ…じゃなくて鎧が無ければ即死だった…」
薬草を採取するためにしゃがんでいたため、角が当たる位置に鎧が有って助かった、ホントマジで!
じゃなかったら今頃、お腹に穴が空いていてあぼーんしている所だったよ…ゴードンさんありがとう! マジ神!
余裕ぶっこいているようだが、実は一杯一杯だったりする
そんなことを考えていると再びホーンラビットは襲ってきた
「あぶねっ!」
立っているし、相手を認識しているため、先ほどよりは余裕で避けることができた
剣を抜きホーンラビット…めんどうくさいウサギでいいや!に向けて剣を構えた
確か避けて切りつけるか、盾で防御が主流だっけな、盾は無いから前者だ!
様子を見ていたウサギだが意を決し向かってきた
マジ怖ええって!!地球でも中型犬が思いっきり突っ込んで来たら恐怖を感じるよね?
今は何とかしないと死ぬから必死に避けてるけどさ、でも、避けてから切るって無理じゃね?俺には無理だと理解した
せめて牛くらいの大きさなら切る余裕もあるのかもしれないが(闘牛みたいに)
中型犬くらいの大きさとスピードだと、避けた後に剣を振っても、その時はすでにウサギは通り過ぎていた
「くっそ、他の異世界転生者の戦闘能力はどうなってるんだ?
みんな簡単に倒してるじゃんか、不公平だ~!!」
そうこうしているうちに、ウサギの角が俺の右足を掠った
「痛っ!」
切り傷程度だが、じんわり血が滲み、動くとズキンと痛みが走った
やべっ、次来たら避けられるか?
ウサギはニヤリとし(そう見えた)、勝てると思ったのか勢いを付けて突っ込んできた
「こうなったら一か八か返討ちだ!!」
思いっきり剣をウサギの頭を目掛けて振り下ろした…
ガキン!
ウサギが首を振って、剣に角を合わせてきた
「嘘だろ!」
そしてウサギはそのまま今度は俺の左足を掠って行った
「痛ってえぇ~!!やりやがったなこのくそウサギ!」
両足がやられてはもう避ける自信は無い、剣も弾かれるしどうしよう…
ウサギは勝てると思っているらしく余裕ぶっているのが憎たらしい、ぜってーぼこぼこに〆る
後、俺が出来ることと言えば投擲か…そういやリュックに石を入れっぱなしだったな
俺は急いでリュックから石を取り出し、構えた
それを見たウサギがフンと鼻を鳴らした後に突っ込んできた
ピッチャー第一球、振りかぶって投げた!…ミス!
続けて第二球、振りかぶって投げた!…ミス!
最後の第三球、振りかぶって投げた!…よし!真っすぐウサギへ行った!
Lv1程度の投擲では勢いがあまりなく、それを見たウサギは角で弾き返そうと石を打ち返し…
パキャ!
何とウサギの角が折れた!
「えっ?」
「キュ?」
俺とウサギはお互い折れた角を見て固まった…
何とか先に我に戻ったのは俺だった
「え? マジ? 剣でも折れなかったのに?
だが、固まっている今がチャンス!
ちぇすとおおおぉぉ~~~!!」
剣を持ちウサギへ切り掛かった! ウサギもさすがに気が付いて避けようとしたが、もう遅い!
ザシュ!
俺の剣は、見事ウサギの首を切り裂いたのだった!
首が無くなったウサギは、最初ぴくぴくしていたが、しばらくすると動かなくなった…
「ホーンラビット!討ち取ったり~!!」
ふぃ~マジで死ぬかと思った…
コイツってホントに初心者が刈る獲物なのか?
何はともあれ勝てて良かった~!!
落ち着いたためか、突然震えがやってきた…
恐怖から来ているのはもちろんのこと、生き物を殺した罪悪感による震えが押し寄せてきた
「マジで生き物殺したんだな…」
料理で肉を切ったことは有ったが、生きているものを殺すために切るってのは初めてだった
胸の奥でもやもやしたものがあるが、さすがに吐くようなことは無かった
「ま、この世界で生きてかなきゃならないし、慣れないとな…
そういえば、肉って血抜きをしないとダメなんだっけ?」
ウサギの所まで行き、足を持って吊り下げる
「重っ、10kgくらいか?持てなくはないがこの体勢は辛い…」
なんとか維持し、上下に振っても血が出なくなったので降ろすことにした
「腕がプルプルしてる、明日は筋肉痛だな。
ケガしてるし、これ以上は物も持てないから帰るか…っと忘れるところだった」
剣で切り付けても問題なかった角だが、投げた石で折れたってことは、何か特別な石なのかもしれない
後で調べるにしてもとりあえず回収だけはしておくことにする
無事石の回収を済ませ、ウサギを担いだ俺は、アルデの街へ向かって歩きだした
・・・・
冒険者ギルドへ到着した俺は、窓口へ並ぶことにした
幸いピーク前だったため、ちらほらと人は居るが、行列ほどではなかったため、すぐに順番が来た
「次の方どうぞ~」
「ナタリーさん、こんばんは。
常時依頼の買取をお願いしたいのですが」
持っていたウサギと、薬草47束(余り4本)をカウンターへ提出した
「こんばんは、ハル様。
それでは確認させてもらいます…薬草47束、とホーンラビット1匹、状態も特に問題在りません。
報酬は、銅貨5枚と鉄貨7枚になります。
余り4本分の薬草に付きましては、束ではないので買い取ることが出来ません、ご了承下さい」
「わかりました、4本分はこちらで回収します」
報酬のお金と、余った薬草を受け取った
微妙に赤字になってしまったが、こればっかりは仕方ないか
「ところで、依頼の方はどうなりましたか?」
「…1名、申し込みがありました」
「おお! さっそく見つかったんですね!
それで、いつ師事できるのでしょうか?」
「…相手は明日にでも大丈夫とのことでした。
ハル様の都合が良ければ、明日行うこともできますが、いかがでしょうか?」
「是非お願いします」
「わかりました。
それでは、明日の朝の9の鐘が鳴る時間に、こちらへ来て下さい」
「朝9の鐘の時間ですね、了解しました。
それでは明日また来ます」
そう言ってギルドを後にするのだった
それにしても、ナタリーさんが気持ち落ち込んでいた様な気がしたのは、気のせいだろうか…
戦闘を書くのは難しいです