戦闘講習の予約が取れた
「で、亜紀ちゃん何処に向かえば良いの?」
「秘密~、あ、そこの道を左ね♪」
「了解~」
「今日ね、こうして出かけられるのすっごく楽しみにしてたんだよね~」
「うん、俺も凄く楽しみで、昨日はなかなか寝られなかったよ。」
「大丈夫? 辛かったら言ってね? 運転変わるから。」
「平気平気、ほら、お目目もばっちり、可愛い亜紀ちゃんが、よく見えるよ。」
「やたぁ、何言ってるのよ、もぉ、恥ずかしいなぁ。」
「だって本当のことじゃん、ほら、その服だって、亜紀ちゃんにスゲー似合ってるしな。
今日は、そんな亜紀ちゃんを独り占めできる、俺様、超ラッキーって感じだしな。」
「そうなんだ、私と居ると超ラッキーなんだ、へぇ~」
「そうだぞ、信じてくれるんだったら、空を飛べるし、湖の水も飲み干せると思うぞ?」
「それって、アレでしょ? それにラッキー違うし~」
「あははっ。」
「で、続きは?」
「はい?」
「飲み干せるの次は?」
「…ああ! えーっとどうしよう、そうだ!」
俺は手探りでカバンの中を漁り、目的の物を取り出す。
「今はこれが精いっぱい。」
「お子様ランチの旗? どうしたのよこれ。」
「食べた。」
「はい?」
「だから食べた。」
「え? あれって大人でも食べられるの?」
「大衆レストランだとどうだろう? 駄目かもしれない。
でも、探すと結構あちこちで食べられるお店って有るぞ?
他にも、学校給食が食べられるところとかも有るし。」
「へぇ~、そうなんだ、じゃあ、今度連れて行ってよ、私も食べた~い!」
ガバッ!
「いいとも~! ってあれ? 何だっけ?」
よく覚えて無いが、今は無き〇って〇いとも!の番組を見に行ったような気がする。
懐かしいな、タ〇リさんの掛け声と共に、叫ぶのはお約束と言うか、一体感が有って楽しかった気がする。
おはようございます。
今日は、まずは、昨日申し込んだ講習についての確認にしに行こうと思う。
その後は、その時考えれば良いか。
それじゃ、起き上がって、朝飯を食べに行くとしよう…って、あれ?
何か背中に違和感が、つーか何かが貼り付いている。
毛布を取って、背中を確認すると、そこにはビアンカさんが寝ていた。
そうだった、すっかり忘れてたよ、このままの状態で居るってのも悪くは無いが、もしかして何か用事が有るかもしれないし、起こすことにする。
「ビアンカさん、起きて下さい。」
「んー」
「ビアンカさん?」
「ああ、ハルか、おはようなのじゃ。」
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「御蔭さんでな、ぐーっすりと寝れたのじゃ!」
「何かトゲが有るような言い方だなぁ、何か有ったのか?」
「何を言う、このヘタレが、せっかく襲い易そうにしてやったと言うのに…」
「え? アレって寝たふりだったのか?」
「さあの、自分で考えるが良い。」
どうやら襲わなかった俺が悪いらしいみたいだ。
なら、おっぱいくらいは揉んでおくべきだったのだろうか?
「ほれ、まだか?」
「何をだ?」
声を掛けられたので見てみると、ビアンカさんは目をぶつって座っている。
「?」
「もういいのじゃ! あたい…泣いても良いじゃろうか?」
「何でそうなる。」
「う、うわあぁぁ~~ん!」
ビアンカさんが泣きながら部屋を出て行ってしまった。
「何だったんだ?」
ちょっと考えてみる、ビアンカさんは起きたのにも関わらず、目を閉じてこちらを向いて座っていた。
眠かったから目を瞑っていた訳じゃないよな、むしろ何かを待っていた?
今、思い出したんだが、もしかすると、ドラマは漫画とかで言っている、朝チュンで目覚めた恋人同士が、おはようのキスをするアレか?
女性との経験が乏しい童〇に、そんな高度な乙女心なんぞ、わかるかあぁぁ~~!!
例え分かったとしても、恥ずかしくて出来なかったかもしれない…
でも、これは完璧に俺が悪いな、会ったときに謝っておこう。
とりあえず朝飯を食べに行くとするか。
「マスターはよ~、朝飯ぷり~ず。」
「昨夜はお楽しみでしたね。」
「ブ~~~!!
な、なんでマスターがそのセリフを…つーか、お、俺は、な、何もしてないぞ?」
「ハニーおはよ~
宿に女の子と泊まった時のお約束でしょ?
ハニーのは私が最初に貰うんだから、やってないって知ってるわよ。」
「な、なんだジェニファーか、ジェニファーならそのネタ知っててもおかしくは無いのか、納得した。
だけど、誰がお前とやると言った! 全力で拒否させてもらう。」
「あ~ん、ハニーのい・け・ずぅ~
そんなに照れなくても良いのにぃ~」
「照れてない、ったく相変わらずだな。
それにしても、いつもの変な恰好はどうしたんだ? おかげで最初気が付かなかったよ。」
「分からないなんてひどいわ~! ジェニファー悲しい!
服は、キースが処分したのよ、酷いわよね、ぷんぷん。」
「やっとそのことに気が付いたんだ…
正直、嫌々言っていてもマスターの趣味でも有るのかと思ってたよ。
そうだ、ジェニファーに聞きたいことが有ったんだが、良いか?」
「なぁに?」
「この世界にビール、もしくは、それに近い飲み物って有るのか?」
「無いわよ。」
「早っ、つーか、無いのかよ。」
「私が生きている時には無かったわね、死んだ後に出来た可能性も有るかもしれないけど、知らないわね。」
「そっか、そうだよな…」
「でも、造り方なら知ってるわよ?」
「何! 本当か!?」
「ただ、この世界に清澄剤はともかくとして、ホップや、ビール酵母って有るのかしら?」
「名前は聞いたことあるな、どんなのだ?」
「そうねぇ、ホップはビールの苦み、風味、泡を付けるのに必要な植物ね、使うのは毬花の部分よ、形は松ぼっくりに近いかしら。」
「ふむふむ。」
「で、ビール酵母は、麦の糖分を発酵させて、アルコールと炭酸を作るんだけど、お店で売ってるのしか知らないから、どんなものかはちょっと分からないわね。
本来、エールは上面発酵、ラガーは下面発酵で同じ酵母で造ることが出来るんだけど、この世界のエールは地球でのエールとはちょっと違うから、多分無理ね。」
「くっ、そ、そうか。」
「で、清澄剤だけど、これは、出来たビールの濁りを取るために使う物ね、澄んだビールを造りたいのなら必要な物ね。
確か魚や、海で捕れる藻とかから取れるゼラチン質の物質がそれになるわね。」
「これは簡単に手に入りそうだな。」
「で、造り方なんだけど、日本だったら法律違反になるから作るのは禁止されていたけれど、ここは法律関係ないからね、造っても問題ないでしょうから。」
俺はジェニファーからビールの造り方の詳細を教えてもらった。
「造り方は、わかった、後はホップとビール酵母さえ手に入れられれば、出来るかもしれないってことが分かっただけでも収穫だな。」
「ハニー頑張ってね♪」
「おう、任せろ!」
「それじゃあ、朝ごはん持ってくるわね。」
ジェニファーが食事を取りにキッチンへ入って行った。
しかし、ビールの作り方を知っていたとは、もしかして昔作った事でもあったのか?
まぁ、そうだったとしても時効つーか、警察もここまでは来れないから問題無いか、つーかもう死んでんじゃん。
「はい、ジェニファー特性ラブラブ朝食で~す。」
「お、来た来た。」
今日の朝食は、キノコの雑炊、卵焼きに、おしんこ、味噌汁だ。
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【きのこ雑炊】
品質:A
効果:HP回復+5
ケッコー鳥のささみ、しぃたけ、Myたけ、米を土鍋に入れ、だし汁、塩魚汁、塩を入れで味を調えた後に煮込み、完成間際に溶き卵を入れて混ぜたもの
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これは旨そうだ、さっそく、食べるとしよう。
ふぅ~ふぅ~ぱくり…ん~!!
これはしいたけを一度干してから作ってるんじゃないのか? キノコの味が濃くて風味が口いっぱいに広がって旨い!
そして、マイタケは、この歯ごたえと、旨味がたまんね~!!
このだしが、ご飯に染み込んでて、箸が止まらん! 最高である。
この卵焼きも、お寿司屋での厚卵焼きと同じで、甘くて、出汁が聞いていて、旨い。
おしんこで口直しをしてから、味噌汁をひとすすり、ん~最高!
「ごっそーさん。」
俺は、氷を作り、ギルドへ行くことにする。
宿を出て外に出た所で、ビアンカさんの声が聞こえてきた。
「変態じゃ~!!」
うん、知ってる、頑張ってくれ…
・・・・
ギルドに到着した、相変わらず混んでいるな。
さっそく列に並ぶことにする。
それにしても、ナタリーさんの列、いつもより多くね? 何か有ったのか?
何気なく、ナタリーさんのこと見てみると、何か凄く良い笑顔で対応している。
確かにあの笑顔が見れるなら、この列になってしまうのも分かるな、うん。
だけど、泣いて喜んでいるヤツや、手を握って感謝しているヤツもいるな、おい、その手を放せ!
…って強く言えない自分が情けない(涙)
「次の方どうぞ~」
「ナタリーさん、おはようございます。
例の講習の件は、どうなりましたか?」
「ハルさん、おはようございます♪
はい、先方の了解は得られましたので、日程の調整を行いたいと思います。
ハルさんの都合は、いつが宜しいでしょうか?」
「特に無いですね、出来れば早めに受けたいくらいでしょうか?」
「では、明日の9の時間にしておきますね。
ただ、先方と連絡を取って確認してからになりますので、場合によっては、その次の日になってしまいますが、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。とりあえず明日ですね、その時間に来るようにしますね。」
「はい、お待ちしていますね。
それでは、ナタリーが承りました。
…それで、ハルさん、ちょっと良いでしょうか?」
ナタリーさんがちょいちょいと呼んでいる、どうやら内緒話みたいだ。
顔を近づけると、背筋がゾクゾクとした、何だ?
いや、それよりナタリーさんの話が優先だ。
「何でしょうか?」
「今度、アイリと、ビアンカさんと、私で狩りに行きませんか?」
「ええ、もちろん良いですよ。でも頻繁に窓口業務を休んでしまっても大丈夫なんですか?」
「うっ…そ、それは…だ、大丈夫です。」
「そ、そうですか、問題無ければ良いんですけれど、明日以外なら良いですよ、あ、延期になった場合はそれ以降で。」
「わかりました、日程が決まりましたらお知らせしますね。」
「はい、楽しみにしています」
「こちこそ、楽しみにしています。
それじゃ、ハルさん、また明日♪」
「はい、また明日です。」
さて、今日の用事は終わってしまった。
講習は明日だし、今日は何をしようかな。
手造りビール工房で実際ビール作りの体験をしたことがあります。
ビールとラガーの指摘があったので修正しました。
ありがとうございます。