ナタリーさんの初戦闘
索敵を行いつつ、草原を歩くと、ようやく反応を見つけた
確認すると、かすかに茶色いのが動いて見える、ホーンラビットで間違いなさそうだ
「居ました、準備は良いですか?」
「はい!」
ナタリーさんのやる気は十分だ
「やり方は前と同じです。
まずは誘い出します、そして手前で転ばすので、すかさず殴ってください」
「はい!」
俺は石を拾い、ホーンラビット目掛けて投げる
ガサッ
顔を出してこちらを確認し、敵とみなしたため、こちらに向けて走り出した
タイミングを合わせて、穴を掘り、見事に転ばすことが出来た
「今です!」
ナタリーさんの足元に転ぶように来たホーンラビットの頭を目掛けて、メイスを振りぬいた
「ごめんなさい!」
ドカッ!
重い一撃が見事に当たり、角が崩れたことで、ホーンラビットは息絶えたのが分かった
「や、やりました! ハルさん見てくれました?」
「見てましたよ、頑張りましたね」
「うんうん、ナタリーえらいえらい♪
それにしても、初心者でも、こんなに簡単に狩れるもんなんだね~」
「まぁ、このパターンを覚えるまでは、結構苦労しましたが、覚えた後は楽に狩れるようになりましたけどね」
「さすがはハルさんです」
「そうだね~」
「解体は後でまとめてやるにして、次探しましょうか」
「え? 解体しなくても良いんですか?」
「前回はクリストさんが居ましたから、今日はアイリさんとナタリーさんだけですから、俺のスキル教えますね」
俺はホーンラビットに触り、アイテムボックスへと収納する
「消えた!?」
「アイテムボックスのスキルです。
収納していると重さも感じないし、時間も停止しますから、血抜きも後でで大丈夫です」
「すごーい、あれ? アイリはこれ知ってたの?」
「へへ~ん、前に狩りに行った時に教えて貰ったからね~」
「うぅ、アイリズルイ…」
「まぁまぁ、ナタリーさんも特別ですから、教えますよ」
「ハルさんの特別…」
ナタリーさんが何か言っているが、俺はステータスをナタリーさんに教えた
「ハルさんってレベル3だったんですね、でも、スキルが結構高いの多いし、称号も多くて凄いです!
でも、ケモナーLv2って何なんでしょうか?」
何故、ピンポイントでそれを聞く
「あ、私もそれ気になったんだよね~、結局ハル君教えてくれなかったけど」
「ダメなんでしょうか?」
うるうる瞳でお願いされている…くっ! 耐えろ! 耐えるんだ!
「だ、ダメです」
「…そうですか」
そんな悲しそうな顔してもダメな物は駄目なんだああぁぁ~~~~!!
「ごめんなさい」
「仕方ないですよね、でも、ハルさんのだけ知るのは、不公平だと思います。
はい、これ私のです、恥ずかしいので内緒にして下さいね」
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名前:ナタリー
年齢:24
状態:普通
LV:1
HP:14
MP:20
STR:5
VIT:7
AGI:5
INT:20
DEX:12
LUK:5
スキル:魔力操作Lv2(new)、聖魔法Lv2(new)、礼儀作法Lv4、接客Lv4、料理Lv3(new)、家事Lv2
称号:冒険者ギルドの受付嬢、アイドル
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ほほぅ、ナタリーさんは支援特化みたいだな、聖魔法って事はヒーラーってことかな? ちょっと羨ましい
称号のアイドルって、やっぱりナタリーファンクラブのアイドルだからだろうな
「ありがとうございます。ナタリーさんは支援特化なんですね」
「そうなの、ナタリー聖魔法持ってるんだもん、凄いよね~」
「そ、そうかな? えへへっ」
「お姉さんのは、前回見せた時と変わってないけど、ハル君、お姉さんの秘密、見る?」
「いえ、大丈夫です」
「そっか~まあ、見ても仕方ないか
それにしても、ハル君って苦労してるっぽいよね、恐怖耐性ってどうやったら取得するの?」
「いつの間にか取ってたので…たぶんオークと戦ったときかなと思ってるんだけどね」
「え? またオークと戦ったの? 大丈夫だった?」
「2回ほど逃げましたが、3回目でようやく倒せるようになりました」
「…ハル君ってレベル3だったよね? どうやったらオークなんて倒せるのよ!?
普通オークを倒すのに最低でもレベル10は必要って言われているのに…」
「そうなんですか? もしかして結構無茶しちゃってます?」
「無茶も何も、普通はそのレベルでは森に入らないって」
「でも、アイリさんに連れて行かれましたよね?」
アイリさんが、向こうを向いて音の出ていない口笛を吹いている…
「ま、まぁ、ハル君の戦闘見てると、とてもレベル3には見えないけどね~
多分無茶もしないでしょうから、大丈夫じゃないかな?」
「そう言ってくれると嬉しいです。
とりあえずアイリさんと、ナタリーさんを、イザという時に守れるくらいにはなりたいです」
「「…」」
二人を見ると真っ赤になって照れているみたいだ
言った俺も俺だが、見ていて恥ずかしい…
「さ、さてと、次行きましょうか」
「「そ、そうですね」」
俺は引き続き索敵を行った
あれから4匹ほど見つけ、同じパターンですべて倒した
「本当に全部パターン通りに狩れましたね、ビックリです」
「もう少し知恵が有ると違うのかもしれないですけどね」
「もしかすると、ゴブリンやオークもパターンが有るのですか?」
「オークはまだ分からないけど、ゴブリンは決まってるみたいだね」
「パターンが有るなら、私でも狩れるでしょうか?」
「多分大丈夫だと思いますが、何か有ったら怖いので、レベルが上がってからにしましょう」
「そうですね、頑張ります」
次の獲物を探して索敵していると、反応を2つ見つけた
「2匹見つけました、どうしますか?」
「どうすれば良いでしょうか?」
前回2匹に会ったときは、目くらましで土埃を発生させて倒したんだっけな
今回はどうすれば良いだろうか?
「すいません、2匹のパターンはまだ無いです。
確実性は有りませんが、おそらく同じ感じで倒せると思います。
それかアイリさんに倒して貰っちゃうのも手です。
どうしますか?」
「アイリやる?」
「そうね、私も良い所見せないとね、やるわ!」
アイリさんは、ホーンラビットが居る辺りに向けて魔法を唱え始めた
『我求めるは静かなる水、荒れ狂う吹雪で相手を凍らせ、ブリザード』
ホーンラビットが居る辺りに吹雪が荒れ狂い、吹雪が止んだ後にヨロヨロとしていたが、ホーンラビットが出た来た
「あれ? 生きてる?」
倒せないとは思って居なかったらしく、アイリさんはビックリしていた
「多分、毛皮が有るから、効果が今一つだったんじゃないのか?
おそらくですけれど、魔法の相性って有るんじゃないのかな?」
火属性には水属性が有効とかそんな感じ、ただ魔物に属性が有るかとかが分からないから、言えないけどね
ただ、オークは毛皮が無いし、腰ミノだけだったから、単純に寒さに弱かっただけっぽいから効果が有ったのかもしれないしね
おっと、そんなことを考えてる余裕なんか無いよな
近づくのは悪手だろう、遠距離で対応することにする
「アイリさん、右側お願いします、俺は左をやります」
「はいは~い、まかせて」
アイリさんは呪文を唱え始めた
俺は、アイテムボックスより石を取り出し、スリングショットを回し始める
アイリさんの呪文の完成と同時に、俺もスリングショットを発射させる
ドカッ!
ブシュ!
見事命中、寒さで動きが悪かったから外しようも無かったけどね
角が崩れたのを確認、見事に倒せたようだ
「ハルさん、アイリ、お疲れ様です」
「いや~一撃で倒せなかったから焦っちゃったよ~
敵に有効な魔法が有るって分かったし、勉強になったかな」
「そうですね、俺も魔法を使う時の参考になりました。
ホーンラビット程度の敵だったのは幸いでした」
「今回の2匹の場合、ハルさんだったらどう戦ったのですか?」
「そうですね、2人居たなら、同時に転ばせて倒すのが楽で良いと思います。
一人だったら、1匹を死角からスリングショットで倒して、もう1匹は転ばすパターンかな。
もし、2匹同時になった場合は、1匹を足止めしつつ、もう1匹を倒す感じでしょうか? でも、あまりやりたくは無いですね」
「そー言えば、ハル君はゴブリンを倒した時も、1匹づつだったね」
「立ち回りする自信なんて有りませんから…」
「そんなこと無いです! 冒険者は命が有ってこそですから、安全を取る方が良いに決まってます!」
「うん、お姉さんもそう思うよ~、ハル君と一緒に居るときって、何か安心感あるもん」
「そう言ってくれるのは有難いです。
でも、複数に対して立ち回れる技術も欲しいとは思いますね」
「それなら、ハルさん、今度その辺りの講習でも受けてみませんか?」
「そうですね、わかりました、今度受けてみることにします」
「はい、受付で待ってますね」
一区切りがついたので、辺りを確認すると、もうすぐ夕刻になる時間だ
「そろそろ良い時間なので、戻りましょうか?」
「そうだね~、丁度良い時間だね~」
「そうですね、暗くなる前に帰りましょう」
「じゃあ、半時ほど時間下さい、ちゃちゃっと解体しちゃいますから」
「お願いします」
俺はアイテムボックスからホーンラビットの死体を出して、首を切って血抜きを行ってから
順次解体をしていった、血抜きの時間を計算していなかったため、1時間ほどかかってしまったのはご愛敬で(汗)
「すいません、遅くなりました。
じゃあ、帰りましょうか」
俺たちはアルデの街に向けて、帰ることにした
オーク「恐怖耐性? ちゃうちゃう、おいらじゃないってば」
某人物「なんだ? 誰かに呼ばれたような…気のせいか?」




