マッサージ
仕事を終えた俺は、冒険者ギルドへ戻ってきた
時間的にも丁度ピーク時だったため、混雑していた
そしてナタリーさんの所は、相変わらず大人気である
まぁ、並ぶんだけどね…
「よぉ…」
なんか力ない声が聞えたので、振り向くと、死にそうな顔をしたクリストさんが居た
「あ、クリストさん、ちーっす」
「なぁ、俺何かしたか?」
「はい? 何の話です?」
思い付くことが沢山あるので、何についてなのかが絞れない(汗)
「ナタリー嬢が、俺を様付けに戻ってしまったし、態度も前と同じに戻って…いや、もっと酷くなっちまったんだよ」
それは…この前の狩りが原因じゃないのかなーと思うんだが
「ナタリーさんは、何か言ってなかったですか?」
「あ? ああ、何か高ランク冒険者さんには失礼だからとか言ってたな」
「じゃあ、それなんじゃないですか?」
「どうやら俺にだけに対して、変わったみたいなんだよな…」
「まぁ、俺にはその辺については、分かりかねるので何とも言えませんが、頑張ってください」
「あぁ、そうだな…」
クリストさんがふらふらとギルドから出て行った
うん、自業自得だと思う、でも、それでも普通に対応してくれているだけ、ナタリーさんは優しいと思うんだが、どうなんだろうか?
そうこうしている内に、順番が回ってきたみたいだ
「次の方どうぞ~」
「ナタリーさん、こんばんは。
依頼が終了しましたので、対応をお願いします」
俺は、カードと一緒に依頼表を提出した
「ハルさん、こんばんは♪ いつもお疲れ様です。
依頼結果ですが、特に問題はありませんので、処理をしちゃいますね。
こちらが、報酬の銀貨1枚になります」
「ありがとうございます。
…そう言えば、クリストさんが落ち込んでましたが、やっぱり、この前のアレが原因ですか?」
「あっ、い、いえ、違うんです、あれは…そ、そう!
ギルドとして、高ランク者に対して、失礼が無いようにしないといけませんから、だから、あの、そう言う訳なんです!」
「あ、はい、わかりました」
「ホントですよ?」
「はいはい、分かってますよ」
「信じてませんよね?」
ぷく~と脹れたナタリーさんが可愛いです
「信じてま…(ぞくっ!)」
背後からの殺気を感じた俺は、周りを見渡すと、入り口から血涙を流してこっちを見ているクリストさんが居た
「お、俺、用事思い出したので、帰りますね! それじゃ!」
「あ、ハルさん!」
ナタリーさんが呼びかけたが、俺は話を切り上げ、帰ることにする
入り口を抜ける際に、クリストさんの殺気が突き刺さったが、なんとか耐え、ギルドを後にした
殺されなくて良かった…
・・・・
何とか無事に宿に帰ることが出来た
「ナンシーちゃん、夕食とエール貰えるかな?」
「はいは~い、直ぐにお持ちしますね~」
今日は、ナイチ様にクリストさんにと、色々と係わった御蔭で、正直凄く疲れた…
空いている席に着き、夕食を待つ
「お待たせしました~、本日の夕食とエールです♪
それにしても、ハルさん、何か疲れてませんか?」
「正直言って、凄く疲れてる…
理由は言えないと言うか、言いたくないと言うか…」
「ふ~ん…なら、ナンシーちゃん特別マッサージでもしましょうか?
これでも、お父さんには好評なんですよ?」
「ほぅ? 電気屋さんの各メーカーのマッサージチェアを全制覇し、店員さんの冷たい目にも屈せず。
メーカー毎の違いや差、善し悪しをレビューすることが出来る俺に対する挑戦と見た」
「あのー、ハルさんが言っている意味が良く分らないんですけど、マッサージするで良いのかな?」
「いや、さすがにナンシーちゃんに頼むのはさすがに悪いし、遠慮しとくよ」
「えー私は構わないんですけど、嫌なんですか?」
「嫌じゃないけど、ナンシーちゃんも仕事大変だし、疲れてるだろうから、さすがに頼むのはちょっとね」
「嫌なんですね…」
「是非! お願いします!!
いや~嬉しいな、楽しみだな~」
「じゃあ、仕事が終わったら、部屋に行きますから、待っててくださいね♪」
「は、はい!」
断れなかった…マッサージチェアマスターの俺は機械以外のマッサージって受けたことが無いんだが、正直恥ずかしい
特に可愛い女の子にしてもらうなんて、俺の精神的に大丈夫なんだろうか?
だけど、頼んでしまったのは仕方がない、なるようになれだ
「ごっそーさん」
これからのことで緊張した俺は、何を食ったのか良く分らなかった…
とりあえず氷を作り、部屋に戻ってナンシーちゃんが来るのを待つことにする
・・・・
そろそろ食堂も終わる時間だ…
やべー緊張してきた…
コンコン…
キタ!
「は、はい!」
「ハルさん…ナンシーです。
入っても良いですか?」
「ど、どうぞ」
「おじゃましま~す」
「仕事で疲れているのに悪いね」
「いえ、良いんですよ、気にしないでください。
でも、夜にハルさんの部屋に入るって、変な感じしますよね」
「そ、そうだね」
やべー、そんなことを言われたら、心臓が口から出そうなくらいに緊張してきた
「それじゃマッサージ始めますね」
「よ、よろしく」
ナンシーちゃんは、肩を撫でる様な感じでマッサージをしてくれているが、何か物足りない…
「もう少し強くても良いよ?」
「いえ、これ以上強くすると、揉み返しが来るので、このくらいが丁度良いんですよ」
「そうなんだ」
ナンシーちゃんがじっくりと揉み解していく…
なるほど、なんか肩がポカポカしてきて、軽くなってきて気持ちが良い
「肩はあまり凝ってないみたいなので、これで終わりです~
じゃあ、背中と腰をやりますから、ベットにうつ伏せになってください」
俺は言われたとおりに、ベットにうつ伏せで寝転ぶ
「それじゃ、失礼しま~す」
ナンシーちゃんが俺の太ももの裏辺りに跨り、座った
むにゅ♪
おお! ナンシーちゃんの柔らかいお尻が太ももの裏に当たって気持ちいい!
むにゅ♪ むにゅ♪
ナンシーちゃんが一生懸命に力を加えるたびに、お尻ががが
しかも、背中から腰に向けて移動するに伴い、お尻が膝裏へと移動していく
こ、これは、た、たまらん…
マッサージも、もちろん気持ち良いが、お尻の感触の方が気持ち良い!
俺は凄く元気になってしまった(汗)
「ハルさん、気持ちいいですか?」
「う、うん、気持ち良いよ」
「えへへ~ 頑張りますね♪」
むにゅ♪ むにゅ♪
俺はきっとだらしない顔をしているに違いない、ナンシーちゃんに見られるのはマズイので、顔を伏せて、この快感を楽しんだ
それにしても、ナンシーちゃん、キミはこのマッサージを父親にやっているのか? 物凄く羨ましいのも有るが、嫉妬している自分もいた
「よし、終わり!
ハルさん、起きても良いですよ~」
どうやらマッサージは終わったみたいだが、正直に言うと、起き上がることが出来ない(汗)
今起き上がると、マジで洒落にならない状態だ、どうする? 仕方がない、寝たふりで誤魔化そう…
「あれ? ハルさん寝ちゃいました? おーい、もしもーし…」
俺は寝ている、俺は寝ている、俺は寝ている…ぐーぐー
すると、ナンシーちゃんが近づいてくる気配がする
チュ…
「おやすみなさい、ハルさん♪」
パタン、ガチャ、パタパタパタ…
ガバッ!
い、い、今、俺、ナンシーちゃんにチューされた!? 軽く触れた程度だが、多分間違い無いと思う
アイリさんに続いて、女の子にチューされた、ヤバイ、めっちゃ嬉しい
前世(?)の時なんて、仕事と、レジのバイト以外に女の子との縁なんて全然無かったのにな(涙)
嬉しい反面、正直、3人に対し、俺はどうすれば良いのか、ますます分からなくなってしまった
悩み過ぎて、俺、将来禿げるのかもしれない…
さてと、そろそろ寝るとするか…
おやすみなさい…ぐぅ
おい、その場所代われ!




