配達依頼
ホワイトキャット急便に到着したので、中に入ることにする
「すいません~、冒険者ギルドの依頼を受けに来ました」
「お待ちしておりました、私、ここの代表のスティーブと申します…あれ? 前にも依頼受けてくれた方ですよね?」
「はい、確かに受けましたね」
「やっぱり、丁寧に対応してくれたから覚えてます。
君なら安心ですね、宜しく頼みます。
配達する荷物はあそこに置いて有りますが、質問は有りますか?」
「壊れやすい物は有りますか?」
「今回の荷物に壊れやすい物は無いのですが、10番の荷物だけは丁寧に扱ってくれと、先方より指示があるくらいでしょうか」
「わかりました、10番、あの大きな荷物だけですね、了解しました」
「それでは、後は宜しくお願いします」
「はい、任せてください」
スティーブンさんは、奥へ入って行った
キョロキョロ、周りを確認する…誰も居ないな?
荷物を全部アイテムボックスに仕舞い、地図を持ってホワイトキャット急便を出た
「さて、今回は効率を考える必要が無いから、近い所から運ぶとするか」
商業区域へ向かうことにする
「ちわ~ホワイトキャット急便です、サインお願いします」
「はい、ごくろうさま」
「まいどあり~またのご利用をお願いします」
「よし、次だ」
「ちわ~ホワイトキャット急便です(以下略)」
次は工業区域だ、あれ? ここって前にも来たところだ、荷物を取り出すと重い、やっぱりな…
「ちわ~ホワイトキャット急便です、サインお願いします」
「おう、ご苦労様、重かったろ?」
「えぇ、確か鉄のインゴットですよね?」
「おう、正解だ、前にも持ってきたこと、有るのか?」
「はい、重かったからよく覚えてますよ」
「そうか、でも、平気そうに見えるな」
「まぁ、あれから力を付けましたらね(付いてませんが・汗)」
「そうか、また頼むこともあるし、その時は宜しく頼む」
「はい、任せて下さい」
さて、次は…師匠の所だ
「ちわ~ホワイトキャット急便です、サインお願いします」
「おや、良い所に来た、手伝いな!」
「あ、はい…じゃない! 師匠、俺、依頼中なんだけど?」
「なんだい、老人を働かせようと言うのかい?」
「師匠は見た目はともかく、体は十分若い気がするけどなぁ…」
「ほぅ、なら試してみるかい? 布団は敷いて有るぞ?」
「そっちの若いじゃねーよ!」
「冗談じゃ、ほれ、サイン書くから出しな」
「ったく、はいよ」
「これでよしと、ほれ」
「じゃあ、俺行くぞ、またな~」
よし、次だ
「ちわ~ホワイトキャット急便です(以下略)」
「ちわ~ホワイトキャット急便です(以下略)」
「ちわ~ホワイトキャット急便です(以下略)」
残りは貴族区域だけだ、いちいち戻る必要が無いし、持ち歩く必要も無いし、時間も余裕がある、楽勝だな
貴族の館に到着、扉に着き、ノッカーを叩いた
コンコン…ガチャ
「どちら様でしょうか?」
やっぱり、リアルメイドさんは最高だ
俺もいつかは、メイドさんを…
「ホワイトキャット急便です、お荷物をお届けに参りました」
「こちらですね、はい確認できました、問題ありません」
「それでは、こちらにサインをお願いします」
「はい、これで」
「確かに、ありがとうございました、またのご利用をお待ちしております」
次だ
「ホワイトキャット急便です、お荷物をお届けに参りました(以下略)」
最後の荷物だが、ここってナイチ様の屋敷じゃんか、そして、この荷物の大きさにも覚えが有るぞ?
嫌な予感を感じつつ、荷物を運ぶ
扉に着き、ノッカーを叩き
「ホワイトキャット急便です、お荷物をお届けに参りました」
すると遠くからどんどん近づく音が聞こえてきた
ドドドドドドドドドドドド…
「あー間違い無いな、こりゃ」
バン!
「遅い!いったいいつまで待たせれば気が済むんだ…って貴様か」
「ナイチ様、ち~っす! サインよろ~」
「ふん、これで良いか?」
「あざーっす、それでは俺はこれで…」
「ちょっと待て、貴様はこの荷物が気にならないのか?」
帰ろうとしたらナイチ様に止められた、またかよ
「全くもって、これっぽちも思いませんが?」
「くっ、命令だ、荷物を持ってちょっと来い!」
「へいへい」
俺は、おそらくエミリー人形が入っているであろう箱を背負い、ナイチ様の部屋に向かった
「で、何処に置けばいいっすか?」
「箱を空けて、そこの椅子に座らせてやってくれ」
はい、確定~
箱を空けると、そこにはメイドさんエミリーが居た
俺は箱から出して、椅子に座らせた
「これでいいすか?」
「…貴様は、何も思わないのか?」
「無いっすね…あー、それなら1つだけ」
「そ、そうか、何だ?」
「前に運んだのはどうしたんですか?」
「ふふふっ、そうか、貴様には知る権利がある。
教えてやろう、付いて来るが良い」
ナイチ様が、扉を開けて他の部屋に向かうので付いていく
着いた扉を開くとそこには大量のエミリー人形が有った、バニーさん、ギルド職員、給仕服、ドレスと色んなコスプレをしたエミリー人形だ
しかもよく見ると、微妙に顔や体形が違うっぽい、何でだ?
「ナイチ様、微妙に顔が違う気がするんだけど?」
「流石は我が強敵だ、よく気が付いたな、左から順に1ヵ月毎のエミリー嬢の成長記録でもある。
先ほどのを入れて、丁度10年分だ、凄いだろう」
「えぇ、本当に凄いですね…」
もう何も言うまい…
「では、俺は仕事が有るので、失礼します」
「お、おい、待て、まだ話が…」
部屋を出た俺はダッシュで帰るのだった
・・・・
ホワイトキャット急便に戻ってきた俺は依頼主に報告した
「ご苦労様、相変わらず丁寧に対応してくれたみたいだね、ありがとう」
「いえ、仕事ですから」
「それにしても疲れているみたいだけど、そんなに大変だったのかな?」
「ちょっと色々とありまして…
大丈夫ですので、依頼完了のサインをお願い出来ますか?」
「はい、これで終了っと」
「ありがとうございます」
終了印を貰った俺は、冒険者ギルドへ向かうのだった
ナイチ様…あなたはいったい何処に向かっているんでしょうか?




