今日のナタリーさん 45
私はナタリー
冒険者ギルドの受付嬢である
朝、出勤した時に、リリアに昨日のことを聞かれたので、話をした
クリストさんの話は、何故か納得していた
リリアが言うには、クリストさんは、元々そういう雰囲気は持っていたらしい、逆に知らなかったことに驚かれたくらいだった
さて、今日もお仕事頑張りますか
お昼頃、中年の男性が窓口に来たので対応する
この方は、確か下水道の管理をされている方でしたね、何度か依頼を受けたことがあるので覚えてます
「本日は、どうされました?」
「下水道の清掃の依頼を出したいのですが」
「分かりました、いつものですね、処理しておきます」
「あ、いえ、ある冒険者をお願いしたいのですが」
「それでしたら、指名依頼と言う形になりますが、どなたでしょうか?」
「前に清掃に来ていただいた、ハルさんと言う方なんですが、いらっしゃいますでしょうか?」
彼ですか? そう言えば、前に下水道清掃の依頼を受けてましたね、1kmも清掃したので覚えてます
確かに彼でしたら、仕事もしっかりやってくれますし、頼みたくなるのも分かります
「指名となりますと、通常の依頼より、割高になってしまいますが、大丈夫でしょうか?」
「え? そうなんですか?
予算ギリギリしか用意できなかったからなぁ、参ったな、どうしよう…」
「一般の募集では駄目なんでしょうか?」
「それでも構わないんですが、ハルさん以外だとどうしても丁寧さと、時間がね」
わかります、わかりますとも、さすが彼に目を付けただけは有ります、出来れば協力してあげたい
でも、規則を破る訳には行きません、どうしましょう…
ふと、アイデアが浮かびました
「ちなみに依頼の条件はどうなるのでしょうか?」
「前回と同様に1kmまでを考えています」
「なら、こういった依頼で出したらどうでしょうか?
掲示板に張り出すことは出来ませんが、ハルさんに聞いてみることなら出来ます」
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【下水道の清掃】
目的 :メインストリート地下にある下水道の清掃(1km)
期限 :なし
成功報酬:(金貨10枚)
依頼失敗:依頼放棄
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「私としてはありがたいですが、良いんでしょうか?」
「おそらく、ハルさんならやって頂けると思いますが、断られた時は諦めて、通常の依頼に戻りますが、良いでしょうか?」
「私としては願ったりですので、お願いします」
「分かりました。
なら、いつもと同じく、距離は1kmまでで、結果による請求の変更で対応します」
「お願いします」
「私、ナタリーが承りました。
本日のご利用ありがとうございました」
指名依頼にすることが出来なかったのは残念でしたが、彼が評価されているのは、素直に嬉しいです
ただ、あまり評価が上がり過ぎると、色々な女性が近寄ってきてしまうかもしれないから、悩ましい所です
・・・・
夕刻になり、そろそろ混み始めると思われる時間に、彼がやってきた
挨拶を済ませ、依頼の処理を行う
今日もゴブリン退治、お疲れ様です♪
それにしても一人で10匹以上倒しているのは凄いです
下級冒険者クラスなら1対1なら問題ありませんが、1対複数になると、危険なので戦わない様に注意されています
なのに、彼は無傷で倒しているんですから、さすがです
この前の狩りで分かりましたが、用心深くて、色々と知っていて、戦う姿は見ることが出来ませんでしたが、おそらく中級者クラスの実力は持っているんだと思います
私も彼の実力に追いつけないにしても、足手まといにならないくらいに成長しないと、一緒に狩りに行けなくなってしまいます
私も時間を見つけて頑張らないと…
そうそう、忘れるところでした
ハルさんへの依頼を説明しなくてはいけませんね、本来のルールから少し外れてしまいますが、あくまで本人の意思を尊重するので、ギリギリセーフです
なので、依頼を彼に聞いてみると、了解を得られました、よかった…
ただ、依頼の関係上、5日掛かると言っても5日で終わるのも凄いんですが、中間報告には来られないのは、仕方がないですが、寂しいです
少しだけ彼にお願いしてみましたら、やる気が出たと言ってくれました。嬉しいです
用事も済んだので彼は帰って行きました
次に会えるのは5日後か…
私は受付嬢、ギルドの顔だ、明日もまた頑張ろう
ナタリーさんは、主人公のことになると盲目になるのは良いんだろうか?




