今日のナタリーさん 40
私はナタリー
冒険者ギルドの受付嬢である
朝のピークが終了し、受付業務に余裕が出来たので、昨日考えていたことを実行してみることにした
席を立ち、窓口のリリアの所に向かう
「ん? ナタリーどうしたの?」
「冒険者の登録に来ました」
「はぁ? ごめん、もう一回言って?」
「冒険者の登録に来ました」
「私の耳がおかしくなった訳じゃなかったのね…
何でまた急に? 受付嬢の仕事はどうするのよ」
「あ、今の所、辞めるって訳じゃなくて、登録するだけなんだけどね」
「ふ~ん、まぁ、冒険者は誰でも登録できるから良いけどね」
「じゃあ、はい、これでお願いします」
私はすでに書き込み済みの書類をリリアに渡す
「内容は問題なしと、じゃあちょっと待ってて」
リリアが奥に行く、いよいよ私も冒険者だ
大丈夫、きっと出来る
「はい、お待たせ~
じゃあ、これに血よろしく」
針を指に指し…「いたっ」カードに垂らす、カードが光り登録が完了した
「はい、ナタリーのカードね、それで、説明って要る?」
「ううん、大丈夫」
「だよね、聞かれたらどうしようかと思った(笑)」
「ありがとう、リリア」
「どーいたしまして、冒険者さん、頑張ってね♪」
私は席に戻り、カードを確認してみる
そう言えば、私って自分のステータスって知らなかったな
「ステータス」
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名前:ナタリー
年齢:24
状態:普通
LV:1
HP:14
MP:20
STR:5
VIT:7
AGI:5
INT:20
DEX:12
LUK:5
スキル:魔力操作Lv1、聖魔法Lv1、礼儀作法Lv4、接客Lv4、料理Lv2、家事Lv2
称号:冒険者ギルドの受付嬢、アイドル
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え? 私って魔法が使えたの? しかも聖魔法ってことはケガを治したり、支援魔法が使えるってこと!?
やった! 私は戦うことが出来ないかもしれないけれど、彼を支援することが出来るかもしれないと思うと嬉しい
でも、聖魔法を持っている人は珍しいため、内緒にしないといけない、気を付けることにしよう
それにしても称号の受付嬢はわかりますが、アイドルとは何なんでしょうか?
・・・・
夕刻になり、それなりに人が増えてきた所で彼がやってきた
そして彼の順番になったので対応することにする
今日はゴブリンの討伐だった、ずいぶん頑張ったみたいで18匹分の討伐証明を持ってきていた
頑張ってるみたいだけど、ケガだけはしないでね? だって私はまだ彼を癒すことが出来ないから…
支払いを済ませた所で、アイリからの伝言を彼に伝え終えた所で、彼が説明がしたいからと、夕食を誘ってきた
え? ホント? 嬉しい…行く! 行きます! 絶対行きます!! 私は速攻で返事を返す
そして、約束を取り付けることが出来た、やった!
彼がギルドから出て行ったので必死に仕事を終わらせる
「ナタリー、後は私達でも問題無いし、今日は帰っても良いよ~」
確かに今日はそれほど忙しくなかったので、有難い言葉です
「ありがとう、じゃあ、後は宜しくお願いします」
「がんば!」
リリアが励まして送ってくれた、行ってきます!
・・・・
宿屋に到着し、中に入るとナンシーさんが居ましたので、声を掛けると、奥の部屋に案内されました
奥の部屋に到着すると、そこに彼が居ました
こ、こ、こ、こんな所で二人っきりですか? 私の心臓大丈夫でしょうか?
とりあえず話をする前に夕食を食べることになった
う~ん、美味しいです♪ やっぱりここのご飯は最高です
ふと、彼を見ると、寂しそうな、辛そうな顔をしているため、声を掛けてみた
どうやら故郷に居る、彼のお母様を思い出してしまったとのことでした
もしかしたら亡くなっているのかな?と思ったが、生きているとのことでした、良かった
でも、もう会えないとも言っていたので、先ほどの顔はそれが原因なんでしょう
母親か、私は物心が着いた時には、すでに親と言う人は居なかったので、よくは知りません
一応シスターが母親代わりをしてくれたので寂しくは無かったんですけど、実の親になると、また違うんだろうな…
話の流れから孤児院の話をすることになった
彼が私の子供のころを知りたがっていたが、あの頃の私はお転婆で、よくシスターに怒られていた問題児だったんですよね…
だから、恥ずかしいので彼には絶対に内緒です
彼が伝えたいことが有ると言ってきた
それってまさか、こ、こ、こ、告白とか!? え? ま、まだ、こ、こ、心の準備がまだです
でも、待たせてはダメですよね、返事をすることにします
彼の心の問題について教えてもらいました
告白では無かったのが残念でしたが、彼の昔のことが聞けて嬉しい反面、彼のことを貶した女性たちに腹が立ちました
済んだことと言われましたが、納得いかないですが、彼も望んでないみたいだし、どうしようもないため諦めることにしました
ただ、私は彼を裏切らないことを、再度決意し、彼に伝えたら、嬉しそうな顔をしてくれた。良かった…
そして待っててくれと言ってくれた…はい、待ってます…
雑談ついでに、彼の居た国のことを聞いてみた
魔物が居ない? 魔法が無い? そんな国が有ったんですね
それに「かがく?」それって何なんでしょうか?
聞いてみたら馬の無い馬車? 空飛ぶ鉄の鳥? 何かの魔道具でしょうか?
よくは分かりませんでしたが、なにやら凄い魔道具が発展している国みたいです
いつか行ってみたいですが、遠くて行けないとのことです
そっか、だからお母様にも会えないから寂しそうな顔をしたんですね
そして私達が居るから大丈夫と言ってくれました
そ、それって、私が、か、か、か、かぞ、家族にってことでしょうか? ひょっとして奥さんとか? きゃ~~~~vv
ナタリー焦ってはダメよ、落ち着くのよ、まだ彼はそんなことを言ってないじゃない
よし、落ち着いたので。お礼を言っておいた
その後は色々と雑談して楽しい時間を過ごすことが出来たが、時間も遅くなったので解散になりました
彼は送ってくれると言ってくれましたが、そこまでお世話になる訳には行きません
家も近いですし、断り、帰ることにしました
今日はとても良い日でした
明日も良い日になりますように…
私は受付嬢、ギルドの顔だ、明日もまた頑張ろう
とうとうナタリーさんが冒険者に!?




