今日のナタリーさん 39
私はナタリー
冒険者ギルドの受付嬢である
今日は、目が回るほどの忙しさは身を潜め、いつもの忙しさに戻った
別に人が減った訳ではない、単に依頼が無いからだ
何故なら、塩漬けされていた依頼は全て対応済みだからである
なので、新しく入った依頼しか無いため、通常の業務に戻ったって訳です
あ、彼がやって来ました、依頼を確認しています
早く来ないかな~
そんなことを考えていたら、アイリがやってきて彼に声を掛けている
ず、ずるい…私はここから動けないって言うのにぃ~
そして、アイリはハルさんの腕に抱き着き、そのままギルドを出て行った
ア、アイリ?
どうして彼を連れて行ってしまうの?
まだ、挨拶も、お話しもしていないのに…
追いかけたい気持ちは有るが、仕事中だ、泣き寝入りをする…
お昼ごろ、アイリが一人でやってきた
あれ? 彼は何処?
そして、アイリが窓口に来て
「ハル君と今後のことを話したんだけど、10日に1度、一緒に狩りに行くことが決まったから。
日にちが決まったら、ナタリー経由で言ってもらおうと思うんだけど、良いかな?」
「…ずるい」
「え? 何で?」
「ずるい、ずるい、ずるい~!!」
「冒険者が一緒に行動するのは普通じゃない」
「だって、1日中、ハルさんと一緒に居られるなんて、ずるい~!!」
アイリはため息を付いて
「だったら、ナタリーも冒険者になったら良いじゃない」
「!!」
私が冒険者? 考えたことも無かったです
だけど、私は戦うことをしたことが有りません、冒険者になっても大丈夫なんでしょうか?
でも、冒険者になったら、一緒に居られる!?
少し考えてみても良いかもしれない
「…リー、ナタリー、聞いてる?」
いけない、考え事をしていて聞いてませんでした
「ごめん、聞いてなかった、それでアイリ、何?」
「とりあえず5日後に狩りに行こうと思うから、ハル君に伝えておいて。
ダメだったら、ハル君の都合のいい日に合わせるからって言っておいてくれる?」
「はいはい、わかりました。
私、ナタリーが不本意ながら受け賜りました」
「じゃあ、頼んだわよ」
そう言ってアイリはギルドを出て行った
それにしても冒険者か、とりあえず登録だけでもして見ても良いかもしれない…
結局、彼はギルドには来なかったため、アイリの伝言を伝えることは出来なかった
明日は来るのかな? 来たら良いな、でも、来なかったら宿へ行ってみよう
私は受付嬢、ギルドの顔だ、明日もまた頑張ろう
ナタリーさんが冒険者に!?