指名依頼 5
目が覚めた、仮眠を取って頭がすっきりしたので、夕食を食べに行くことにする
あれ?夕食時なのに人が居ないな…まあいいや
「ナンシーちゃん!飯ぷりーず」
「ナンシーなら居ないぞ?」
「え? もう帰っちゃったんだ、何か用事でも有ったのか?」
「何寝ぼけたこと言ってるんだか、普通に仕事して時間通りに帰って行ったぞ。
それに、今は朝だ」
「え? 朝?」
窓を開けて外見ると、青空とまぶしい太陽が見えた、どうやら仮眠では無く、熟睡してしまったみたいだ
「まあいいや、腹減ってるから朝飯ぷりーず」
「ほらよ」
マスターはすでに用意していたみたいだ
「飯食ったら、さっさと残りをやろうと思うんだが、どうだ?」
「かまわんけど、昨日の夜氷作ってないから、作ってからで良いか?」
「そうだな、それで頼む」
「了解~」
でわ、さっさおく朝飯を食べるとしますか、今日の朝飯は、ケバブサンドにスープとコーシーだ
ぱくり…おっ!ピリリと豆板醤みたいな香辛料が使われていて旨い
朝に辛いのを食べると、体が活性化すると言うか目覚める感じがするから、体がダルイ時にはお勧めだ
スープを飲んで、食後のコーシーを楽しむ…違いの分かる男、ネ〇カフェ・ゴー〇ドブレンド
頭の中でダバダ~と流れているが、どうでも良い話である(笑)
「ごっそーさん」
朝食を終えた俺は、地下に降りて氷を作って戻ると、マスターが準備を済ませて待っていた
「さっさと終わらせるぞ」
「へいへい、じゃあ読むぞ、まずは、クリームシチューか、とりもも肉200g、ジャガイモ2個、ニンジン1本…」
・・・・
「…で完成っと、よし! 終わった~!!」
「ご苦労だったな、正直助かった。
後は実際に作りながら試してみなくてはならないが、それはこちらの話だし、坊主の仕事はこれで終わりだ。
終了のサインをするから、依頼表を出してくれ」
俺は依頼表をマスターに出した
「…これでよし、報酬はギルドで貰ってくれ。
後は、追加の報酬だが、以前言った通り、宿代、飯代の無料だ。
ただし、酒代は自分で出してくれよ?」
「さすがにそれ位は出すよ、本来なら金貨1枚だけでも十分な報酬なのに、それ以上の報酬貰ってるしな」
「まぁ、前にも言ったが、冷えたエールの効果で、うちの売り上げは、以前の3倍も増えたし、こちらとしても大儲けしてるし問題無い」
「ま、そういう理由なら有難く貰っておくわ」
「そうしてくれ」
「じゃあ俺はギルドに行って報告してくるわ」
俺は宿を出てギルドへ向かうことにした…
ギルドに到着したら、ピークの時間では無かったが、人が沢山居た
混雑しているが、並ばないと報告も出来ないし、仕方ないか、早速並ぼうとした所で声を掛けられた
「おう、坊主、久しぶりだな」
「あ、クリストさん、ちーっす」
「おう、元気みたいだな、それより聞いたか?」
「何がっすか? ここ数日別の仕事受けてたから、何が有ったのか知らないんすけれど」
「そうか、実はな、ナタリー嬢が名前をさん付けで呼んでくれるようになったらしいぞ?」
「あ、それなら俺も昨日、中間報告に来た時に言ってもらったっす」
「なんだ、もう知ってたのか。中間報告?何だそれは…まあ今はその話は良いか。
でだ、その話なんだが、ファンクラブの中では、その話で持ち切りだ。
1日に何度も依頼を受けて、何度も名前を呼んで貰っている強者が沢山でているって話だ。
まぁ、俺の事だけどな(てれっ)」
「はぁ、そうなんですか、ナタリーさんも大変っすね」
「何か言ったか?」
「いえ、何も言って無いっす」
「まぁ、そんなことで、今、ファンクラブの中では、幸せの絶頂になっているって訳だ。
考えても見ろ? あのナタリー嬢が、クリストさんって呼んでくれるんだぞ?
もう俺は、感激の涙で、一瞬ナタリー嬢が見えなくなっちまったぜ」
「それは良かったですね(棒読み)」
「おうよ、またこれから、一つ依頼に行ってくる予定だ。またな」
「こんな時間なのにですか? 頑張ってくださいね(棒読み)」
そう言ってクリストさんはギルドを出て行った
いやマジ、あの人何やっているんだか…ナタリーさんも大変だな
でも、傍から見ると俺も同じように見られているんだろうな、でも、他の列に並ぶと面倒くさいことになりそうだし、仕方ない並ぶか…
「すいません~そちらに並んでいる方は、こちらにずれて貰えないでしょうか?」
どうやら列の整理を行っているみたいだ、リリアさんとエミリーさんの列に誘導しているみたいだ
俺も誘導され、エミリーさんの列に並ばされてしまったが、大丈夫だろうか?
一応ギルドで指示されたんだし、大丈夫だよね?
「次の方」
「指名依頼が終了したので、報告に来ました」
「指名依頼の依頼表と、ギルドカードの提示をお願いします」
依頼表とカードを渡すと、さっさと処理をしてくれた
「ありがとうございます、カードをお返しします。
無事依頼完了なので、報酬の金貨1枚です。
お受け取り下さい」
「はい、確かに」
「それではエミリーが受け付けました。
お仕事お疲れ様でした」
流石はエミリーさんだ、無駄なく終わってしまった
依頼完了の手続きも終わったし、帰るかと思ったら声を掛けられた、またかよ…
「そこに居るのは、我が強敵ではないか」
声を掛けてきたのはナイチ様だ
「ナイチ様ちーす」
「ふん、貴様はとうとう我がちっぱい派に入る決心がついたみたいだな」
「いや、そんなことないぞ?」
「なら、何故ナタリー嬢ではなく、エミリー嬢の所に来たのだ!」
「いや、見ればわかると思うが、あまりの混雑だから移動させられたんだけど?」
「言われてみれば、ナタリー嬢の列は異常だな、何が有ったんだ?」
「何か名前の呼び方を変えたらしく、名前を呼ばれたい人達が押し寄せてるって話らしいぞ」
「そんなので並ぶとは愚かな…
エミリー嬢みたいな麗しき姿(特に一部)を見るだけで充分だろうに」
「いや、その気持ちは分からなくも無いですけどね…」
「まあいい、折角の機会だ、貴様をちっぱい派へご招待しようではないか」
「お断りします。
何で、ちっぱいしか楽しめ無くなる派閥に入らなくちゃならないんですか?
俺はちっぱいもでっぱいも、もちろん普通のも楽しみたいんですよ!」
「くっ…やはり貴様は恐ろしい存在だ。
覚えておけ、我は貴様を諦めないからな」
そう言ってナイチ様は去って行った…
それにしても、何でナイチ様は俺をちっぱい派に入れたいんだろうか、謎である
確かにちっぱいも好きだよ? すらっとした体にほんのりとした膨らみと、頑張って自己主張している突起物のバランスが最高だ
でも、すべてを包み込むマシュマロと、圧倒的な存在感を持った質量兵器のでっぱいも捨てがたい
平均と言うと言い方が悪いが、形、大きさとすべてのバランスが良く、甲乙付けにくい素晴らしい一品も一押しである
要は、オールラウンダーな俺には、ちっぱい派と限られた派閥に入る必要は無いという話だ
「…帰ろ」
宿屋に帰ってきた俺は、氷を作ってから食堂へ向かう
「ナンシーちゃん、飯とエールをプリーズ」
「は~い、ただいまお持ちしますね~」
ふと、先ほどの事を思い出した俺は、ナンシーちゃんをチェックする…
いや、知っていたと言うか何というか、今更なんだが、ナンシーちゃんは普通タイプだった
「はい、夕食とエールをお持ちしました~」
俺は代金を支払う
「ハルさんバレバレですよ? そんなに見たいんですか?
本気になってくれるんだったら、見るだけじゃなく、ハルさんの好きにしても良いんですよ?」
ゴクリ…思わず喉が鳴ってしまった
好きにしていい? マジで? いや、待て待て、これはからかわれているに違いない
本気だから良いよね?と言って触ったら、変質者扱いでタイーホだ、間違いない、危なかったぜ(冷汗)
世の中そんなにうまい話は無いってことだよな、うんうん
ここは日本人特技でもある、笑ってごまかすことにする
「あはははっ、いや~ナンシーちゃんが可愛くて魅力的だったから、つい見ちゃったんだよね、ごめんね」
「・・・・」
ナンシーちゃんは何も言わずに、トレーで顔を隠して行ってしまった
ヤバイ! 怒らせてしまった! 顔を隠したってことは、顔も見たくないって思われた!?
誤魔化さずに素直に謝るのが正解だったかもしれん、もう遅いけど…
次に会ったときどうすりゃいいんだよ…
何を食べたか良く分らなくなっていたが、何とか食事を終わらせ、部屋に戻ってきた
さっきから頭の中では「やっちまった~」って言葉がぐるぐると回る
だが、やってしまったことは取り消せない、次に会ったときは素直に謝っておこう
許して貰えなかったら、宿を変える必要があるのかもしれない、憂鬱である
今はどうしようもないので寝ることにする
おやすみなさい…ぐぅ
ナタリーさん出遅れ、ナンシーちゃん1歩リード…なのか?(謎)