今日のナタリーさん 33
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ありがとうございます。
私はナタリー
冒険者ギルドの受付嬢である
今日もギルドは大忙しだ、何か昨日より増えてない?
でも、頑張ったので、何とか朝のピークを乗り切る
「ナタリーさん、大変みたいなので、少し私の方へ誘導しても良いですよ?
こちらは全然余裕がありましたから」
声を掛けてきたのはエミリーだ
「ありがとうございます。
実は少し大変だなと感じていました」
「まぁ、最近のナタリーさんは変わりましたからね、当然の結果です」
「そうでしょうか」
「前のあなたは、多少ですが、人を寄せ付けない雰囲気を持っていましたからね。
今のあなたは素敵ですよ」
「あ、ありがとうございます」
なんだか褒められると照れてしまいます
でも、彼も同じこと言ってくれたら…えへへっ
夕刻も忙しかったが、エミリーが手伝ってくれたので何とか終わった
結局今日も彼の姿を見ることは無かった
「お疲れ様~」
そして私は帰ることにする
今日は仕事が終わった後も、リリアとエミリーと話し込んでしまったため、すっかり遅くなってしまった
早く帰って明日のために体を休めなくっちゃ
帰る途中、顔見知りの女性とすれ違った、確か『薔薇の宿屋』で働いている給仕の女性だ
「あれ? あなたは確かギルドの窓口の…えーっと」
「ナタリーと申します」
「ナタリーさんね、私はナンシー、知ってると思うけれど、『薔薇の宿屋』で給仕してる」
「はい、存じ上げてます」
私はナンシーさんに何かしたのでしょうか? ジロジロと見られています
「ナタリーさんって、たまにハルさんと一緒に居ますよね、どんな関係何ですか?」
「え?は、ハルさんですか?
一応、受付嬢と冒険者の関係ですけれど、それが何か?」
「それだけ?」
「え、ええ…」
「ふ~ん、それなら良いんですけどね~
なら、私がハルさんと良い関係になっても問題無いですよね?」
何か胸の奥でチクりと痛みが走った
「そ、それは…わかりません」
「何で? 別に恋人とかそんなんじゃないんでしょ? だったら問題ないでしょ?」
「こ、恋人とかでは無いですが、そ、そう、ハルさんの都合もあるじゃないですか」
「でもハルさんが良いって言ったら問題無くなるよね?」
「…どうして、どうしてあなたは私をイジメるんですか?
何でこんなに胸が痛いんでしょうか?」
「あーそこからかぁ~何も知らない天然さんだったとは、意外過ぎる…
私は別にイジメてない、ただ、あなたに宣戦布告をしているだけ」
「宣戦布告…ですか?」
「そう、私から見て、あなたはハルさんが好きに見える、私はもちろん好き、抜け駆けは嫌だったから宣戦布告したって訳」
「私が、ハルさんを…好き…?」
「自覚無かった? はたから見るとバレバレだよ? 言われたこと無い?」
「そう言えば、リリアにも似たようなことを言われたような…」
「だよね、他の人もそう思うってことは、当たりなんでしょ?」
私は少し彼のことを考えてみる、彼が冒険者ギルドに来たばかりの頃は、私の胸ばかりを見ていて、変わった行動をする人だった、いや、今もですね
私は胸にコンプレックスを持っていたので最初は、他の人みたいに見てるな、少し嫌だなと思っていたが、気が付いた時には気にならなくなっていた
彼が休みや仕事の都合で会えない時は、イライラばかりしていたし、会えた時はイライラが収まった覚えも有る
7番街に行った時には、何とも言えない嫌な思いが溢れたんだっけ
彼は一生懸命で、優しくて、落ち込んでいるときは慰めてくれて、胸を見ているときはちょっとエッチな顔をしているけれど、それも可愛いなと思えて、そして話しているときの笑顔を…笑顔が…はにかむような笑顔が…
「あーうん、分かった、その顔見れば言わなくても分かったわ」
どうやら私は真っ赤になっているらしい、彼の笑顔を浮かべた後から顔が熱いし、頭がぼ~っとしている
「まぁ、私は、あなたがどうであれ、彼を本気にさせるつもり、あなたはどうする?」
ふと、ナンシーさんと彼が一緒に手を繋ぎながら歩いているのを想像した
何故か悲しくなり、何故、私がそこに居ないんだろうと思った
「あーごめん、泣かすつもりは無かったんだけどなぁ~
ほら、これで涙を拭きなさいよ」
どうやら私は泣いているみたいだ、ナンシーさんよりハンカチを受け取り、涙を拭った
「ありがとうございます。
ハッキリわかりました、私も彼の事が好きなんだと思います。でも、あなたにも渡すつもりはありません」
「そうこなくちゃ! じゃあお互い頑張りましょ」
ナンシーさんが手を差し出してきたので、私も手を出して握手をした
「ふふふっ、私が勝っても恨まないでくださいね?」
「これはこちらの言葉ですよ~だ!」
お互い笑顔で(若干引きつっていたかもしれません)ライバル宣言を行ってから分かれました
ナンシーさんですが、負けませんよ?
私は受付嬢、ギルドの顔だ、明日もまた頑張ろう
とうとうナタリーさんが自分の気持ちに気づいてしまった…
やべ~こんな話の展開にするつもりはなかったのに、みんな勝手に話が進んでいく…
今後の話の展開ををどうすりゃ良いんだろう(悩)