指名依頼 1
「また出たな! シ〇ッカーめ!
え? シ〇ッカー改め、悪の秘密結社に改名した? そんなことはどうでも良い!
今度はどんな悪さをするんだ!
そ、それは朝飯に食べる予定の目玉焼き、手に持っているのは…ソース…だ…と!?
き、貴様! 俺は醤油派なんだ! や、やめろ~~!!」
ガバッ!
「…ソース? 醤油? 何だっけ?」
よく覚えてはいないが、女の子にモテるには、ソース顔か、醤油顔かで討論をしていたような気がする
おはようございます
今日はマスターが指名依頼を出すとか言っていたな、今日受けられるのだろうか?
まぁ、その辺も踏まえて、聞いてみることにしよう
「マスターはよ~飯ぷり~ず」
「ほらよ」
出された朝食は、パンに目玉焼きとサラダ、そしてミルクだ、目玉焼き?…はて?
塩が置いてあったので、目玉焼きに掛けて食べる、うん旨いんだけど、胸の奥で何かが引っかかるんだよな、何だろう?
「ごっそーさん。
それでマスターよ、例の依頼の件ってどうなるんだ?」
「朝一番に依頼を出しておいた、おそらくギルドに行くと、声を掛けられると思うから、行ってみてくれ」
「ん、了解、じゃあ氷作ったら行ってくるわ」
「おう」
氷を作り、ギルドへ向かった
ギルドの仲はピーク時なので混雑している、折角なので掲示板を確認してからにしよう、面白い依頼があるかもしれない
…今の俺なら、この依頼は良い稼ぎになるかもしれない
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【鉄鉱石の運搬】
目的 :鉄鉱石を目的地まで運搬する
期限 :なし
成功報酬:(鉄鉱石10kgにつき銅貨1枚)
依頼失敗:運搬放棄、荷物の紛失
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まぁ、アイテムボックスのスキルがバレるからやらんけどね…いや、考えようによっては出来るか?
1回で運べる量だけ背負ってアイテムボックスにしまう、目的地付近で出して運ぶ
何往復かの移動の必要は有るかもしれんが、軽いならそれほど辛い訳でもないよな、受けてみるか?
いや、マスターとの約束の方が先か、後で有ったら受けてみても良いかもしれない
さてと、特に受けられる依頼も無いから、指名依頼の方をどうするかなんだが、声を掛けれるのを待つのか? それとも声を掛けた方が良いのか?
窓口の方も空いてきたみたいだし、聞いた方が早いか、並ぶことにする
「次の方どうぞ~」
「ナタリーさん、おはようございます。
マスターから指名依頼が有るって聞いているんですが」
「ハル様、おはようございます。
はい、伺っております。
こちらがその依頼になります。
確認して下さい」
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【レシピ本の解読】
目的 :レシピ本の暗号を解析
期限 :解読完了まで
成功報酬:(金貨1枚)
依頼失敗:依頼放棄、解読断念
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「問題有りません、依頼を受けます」
「わかりました、詳細についての説明はいかがいたしましょうか?」
「マスターとの話し合いで済んでますので、大丈夫です」
「それでは、カードの提示をお願いします」
俺がカードを渡すと、カードを機械に通し、受付作業を行う
「はい、受付完了しました、カードをお返しします。
それにしても、指名依頼ですか、凄いですね。
指名依頼は、技術が有ることはもちろんですが、信頼されていないと依頼なんて出ませんから」
「いやぁ~たまたまです。
そこの宿に泊まっている客だし、顔見知りなのも有りますから」
「例え客だったとしても、やっぱり信頼が無ければ出ませんよ。
それでは、ナタリーが受付しました。
ハル様、頑張って下さいね」
「はい、頑張ってきます」
そう言って俺はギルドを後にし、宿屋に戻るのだった
「マスター、依頼受けて来たぞ」
「おう、ちょっと待っててくれ」
マスターは片付け、掃除と済ませ、戻ってきた
「待たせたな、場所は、そうだな、ここだと誰かに聞かれる可能性も有るし、奥に行くか」
そう言って、マスターは、キッチンの奥の小部屋に移動した
「じゃあ始めるか、やり方はそうだな、坊主が読んで、俺が書き写すか」
「オッケーじゃあ最初から順に読んでいくわ。
最初はチキンカレーだな、材料が鶏肉300gとタマネギ2個、クミン・シードが小さじ1/2で」
「まてまてまて、ちょっと待て、タマネギって何だ? それにクミン・シードとか暗号か?」
「あーそこから説明しないといけないのか、ったくジェニファーもこちらの世界の名前で書いてくれば良かったのに…
マスターよ俺は専門家じゃないから、こっちの食材なんか知らんぞ? まぁ、幾つかは分かるが…」
「そうか、それは仕方がないな、分かる範囲で構わんから教えてくれ。
分からない物については、次にヤツが出てきたときに、スマンが坊主が聞いておいてくれ」
「一応リストにしておいてくれよ?
んじゃ、まずは俺が知ってる範囲での材料を全部言うわ、タマネギは丸ネギのことで、キャベツはキャベスリー、ジャガイモはシャガイモ…」
俺は鑑定で知った名前を憶えている範囲で全部言った
「だいたいこんなものだと思うが、それが同じ材料かどうかは分からんぞ?」
「分かった、一応参考にしておくだけにして、試しながら確認する。
じゃあ、次はレシピを読んでくれ」
「はいよ、最初っから行くぞ?
名前はチキンカレー、材料が鶏肉300gとタマネギ2個、クミン・シードが小さじ1/2で…」
レシピ本の音読を、休憩を挟みながら夕刻まで続けた
「そろそろ夕食の準備をしなくちゃならん、今日はここまでにしよう」
「ふぃ~疲れたし、のどがカラカラだ」
「エールで良いか? それとも別の飲み物が良いか?」
「エールで! ついでに摘むものも!」
「わかった、少し待ってろ」
マスターはキッチンへ入って行った
「今日1日やって全体の5分の1かよ、どんだけレシピを書いたんだ?
逆に言えば、それだけレパートリーが多いって訳でもあるんだが、それはそれで凄いな」
「ほれ、エールと煎り豆だ」
「お、サンキュー」
「じゃあ俺は夕食作るから適当にしてくれ」
「あいよ~」
マスターが仕事に戻ったので、エールを飲む
「ごきゅ、ごきゅ、ごきゅ…ぷはぁ~旨い!
仕事の後のエールは最高だ!」
煎り豆をポリポリと食べる
「なんかこれ食べてると、節分を思い出すな」
ポリポリポリ…
「美味しいから止まらなくなるんだよね」
ポリポリポリ…
「食べ過ぎると、お腹壊すんだっけか? でも、止まらん」
ポリポリポリ…
喉が渇くので、エールで潤す
ポリポリポリ…
「あ、無くなってしまった…
久々に食べたが旨かったな、たまにでも良いから作って欲しい…」
最後のエールを飲み干した所で、ナンシーちゃんがやってきた
「あれ? ハルさんがこんな時間から居るなんて珍しいですね、しかもお酒飲んでるし」
「今日は、ここでマスターの依頼で仕事していたからね、今日の分は終わったから、マスターのおごりで飲んでるんだけど?」
「ふ~ん…お仕事しているんなら良いんですけどね~」
何かトゲの有る言い方だな、何か思う所でも有るんだろうか?
「じゃあ、私は仕事が有りますから行きますね」
そう言って、ナンシーちゃんは仕事に行ってしまった
「…まあいいや、夕飯にはちょっと早いが、何かをするには中途半端な時間だな、ちょっとだけ散歩でもしてこよう」
俺は宿を出て、少し散歩をすることにする
大通りに出てから、いつも通っている道とは違う道を通ってみる、何か面白い発見でも有ると良いんだが…
・・・・
特に何も無かった…
だけど、気分転換になったし、少し地理も詳しくなった、良しとしよう
「ナンシーちゃん、飯、頂戴~」
「はい、少しお待ちください」
うーん、いつもと違って返事が硬いな、俺何かしたか?…いや、十分してる気がする、やってない自信は無い(汗)
でも、今日はしていないハズだ、気になる…
「お待ちどうさま、ごゆっくりどうぞ」
「なぁ、ナンシーちゃん」
「…何でしょうか?」
「俺、何かした?」
「いいえ…すいません、ちょっと個人的なことでイライラしてました。
次からは気を付けます…でわ」
ナンシーちゃんは行ってしまった
あの態度で何もないってあり得ないじゃんか、くそー気になる…
ナンシーちゃんことが気になり、今一つ夕食が美味しくなかった
マスターに聞いたら何か分かるだろうか?
部屋に戻った俺はさっきのことを考えてみる
やべー思い当たることしかないから原因が分からん…
分からないので寝ることにする、おやすみなさい…ぐぅ
ナンシーちゃんの機嫌が悪いのは、きっと女の(文章が省略されました)