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ギルドマスター


冒険者ギルドへやってきた、ちょうどピークの時間だったから物凄く混雑している

最近、街中での依頼ばかりで体を動かしていない、このままでは中年太りに直行してしまう、と言うことで討伐依頼を探してみることにする

いざ! 鎌倉へ!! 突撃~!!

ウオオオオオオォォォ~~~~!!(以下略)


何とか勝ち取った依頼は…無かった

つーかオークとか倒せる気がしないし、ほとんどがパーティ推奨依頼しかない

いや、パーティで無くても受けることは出来るんだが、生きて戻れる自信は無いので却下だ

それ以前にパーティってどうやって組むんだ?

俺が知ってる冒険者ってクリストさんとナイチ様、そしてアイリさんだけだ、あれ? 少ない?

…俺ってもしかして、いや、もしかしなくてもボッチか? さ、寂しくなんかないやい(大涙)

特に受けられる依頼も無いため、森に行って、ゴブリンに八つあた…げふんげふん、討伐に向かうことにしよう


森にやってきたが、中に入るなんて愚かなことはしない、俺は慎重な男だからだ(臆病とも言う)

なので、森から5mくらいの位置で索敵を行いつつ、森に沿って移動をすることにする、もちろん後ろ対策もバッチリだ、抜かりはない

30分ほど移動した所で、森の中に気配を感じたので、草むらに隠れた

意識を集中して索敵をしてみると、どうやら2匹居るみたいだ、距離は森に入って約20mほどか


戦う前に戦闘の方法を決めておくことにする

とりあえず1対2での戦闘は、以前のホーンラビットの件でも懲りたので却下だ

ならどうすれば良い? それは簡単だ、1対1に持ち込めば良い

なら、どうやって1対1に持ち込めば良いかって問題になるが、方法は2つ

1つは、1対1でしか戦えない場所に誘い込む、だが、その方法は壁等が有る街中みたいな細い道が必要なので却下

もう1つは、1匹を行動不能にしてしまえばいい、毒でも、罠でもかまわないから動けなくしてしまえばいい

俺の場合ならボーリングで穴に落としてしまえば良いと思う、失敗したら何とかしようでは無く、即逃げる、後は臨機応変で対応することにしよう


誘き寄せ用と、攻撃用として石を2つ用意、1つはスリングショットに包んで準備完了

追加で敵が来ているかもしれないから、もう一度索敵を行う…相変わらず2匹だけみたいだ、場所は多少移動しているが、問題ない程度だ

石を投げて木に当てる、コーンと良い音がしたので、隠密を発動し隠れる

しばらく待つと、森からゴブリンが周囲に注意しながら出てきた

ギャッ、ギャッと何かを会話をしながら周りを確認している、そして何も無いことが確認出来たのがギャギャギャと笑いあっていた、イラッ!

くっそーこちとらボッチで寂しい思いをしていると言うのに、ゴブリンのくせにぃ~


異常が無いのを確認できたからか、振り向いて森に帰ろうとした所で、俺は気付かれないようにゆっくりと立ち上がり、スリングショットを回し始める

前も、このパターンだったが、卑怯と思わないでくれ、これも生きるための知恵だ

十分な加速を得られたので、石を飛ばす…命中!

当たったゴブリンの状態を確認せずに、もう1匹の足元にボーリングの魔法を発動!

使用したのは土×土×土だが、穴の幅は1mに変更、深さは確認していないが、おそらく10m以上は有るだろう

仲間がやられて驚いた顔をしたが、すぐに足元に穴が空いて、また違った驚いた顔をしながら落ちて行った


俺は短剣を抜き、石の当たったゴブリンの方へ突っ込んでいく、ピクピクとしているが、生死の確認をせずに首を刎ねる!

そして穴を登ってきているだろうゴブリンに対し、ゴブリンの死体を穴に放り込む

狭い穴場だ、見事に命中! 途中まで登っていたみたいだが、そのまま一緒に落ちて行った


少し余裕が出来たので、次の行動を決める

と言っても穴の近くで隠密を発動し待ち構え、穴から出た瞬間に仕留める予定だ

穴から勢いよく出るってのも考えられるが、ゴブリン程度の敵なら考えにくいだろう

水攻めにしても良いが、時間もかかるし、あまり気持ちの良い方法でも無いから今回は無しにする

失敗したら臨機応変に対応する予定だ、2匹ならまだしも、1匹なら何とかなるだろう


隠密を発動し、穴の近くで待機する

周りに敵の気配が無くなった、さらに、音もしないってことが向こうにも分かったらしく、そ~っと穴から顔を出してきた

少し油断をしていたのだろう、その隙を突いて剣を突き立てる!

気が付いた瞬間にはすでに手遅れだ、見事ゴブリンの首に剣が突き刺さった、もちろん即死だ

そのまま討伐証明の鼻を取り、そのまま穴に落とす、残りの頭を穴に捨て、そのまま埋める、完全犯罪の完了だ

いや、犯罪では無いが、討伐は無事に完了した


それにしても、以前に比べて生き物を殺すことに対しての嫌悪感は、まぁ、全く無くなった訳では無いが、随分減った気がする…

慣れたからだろうか? それともこの世界に染まってきたからだろうか?

まぁ、こっちも生きるためにも必要なことだし、良しとすることにする


「さて、この調子でもう少し頑張ってみよう」


俺は森に沿って移動することにした

途中でホーンラビットに2回ほど会って戦闘になったが、1対1だったため、問題なく対応出来た

そろそろ帰らないと日が暮れる前に街に戻れなくなってしまう、あまり結果は宜しくないが、森に入って無いし、こんなもんか

でも、薬草をそこそこ回収出来たので、儲けとしては十分だな

街に戻ることにした


冒険者ギルドへ到着すると、中は正にピーク時だった、余りの長さに閉口した…まぁ並ぶんだけどね…

その前に掲示板へ行って、HPポーション改の依頼表を取ってから列に並ぶことにする

何かリリアさんの列の方が早く終わりそうだな…そんな誘惑もあったが、ナタリーさんの列に並ぶ


待つこと1時間、今日は何でこんなに混んでいるんだ? 列は終わらない…

同じ時間に、リリアさんの所に並んだ人が先に対応している…正にお店のレジ有る有るだ

何で並んでいる列って遅いんだろうか? 謎である

別にナタリーさんの対応が悪い訳じゃないんだけどね

隣の列から遅れること約10分、ようやく順番が回ってきた


「次の方どうぞ~」


「ナタリーさん、こんばんは。

 今日はホーンラビットの肉の買取、ゴブリンの討伐、この依頼に有るHPポーション改の納品です」


「HPポーション改ですか? まだ実物を見たことが無いので少しお時間頂きますが、大丈夫でしょうか?」


「はい、大丈夫です。

 あ、ちなみに、納品数は何個になるんでしょうか?」


「そうですね、特に数量の指定は無いみたいですが、何本有るのでしょうか?」


今日薬草を取ってきたし、新しく作ることも出来るから、手持ちを全部出しても問題ないな

もしかすると次からは通常の買取になると思うし、今の内に稼いでおこう


「今出せるのは32本ですが、大丈夫でしょうか?」


1本で金貨1枚だ、全部売れたとなると金貨32枚になる

普通に売った場合は、金貨12枚と銀貨8枚なのでかなり違う、ウハウハである

でも、そう考えるともっと作ってからにすれば良かったかもしれない…

ここまで来て、それはさすがにやらんけどね


「とりあえず、物の確認のため一度預からせてください」


俺は32本全部預けた

ナタリーさんはそれらを受け取り、奥へ持って行き、すぐに戻ってきた


「結果が出る前に、それ以外の精査をしてしまいます。

 ホーンラビットが2匹、解体済みなので銅貨2枚と鉄貨4枚、ゴブリンが2匹で銅貨2枚、併せて銅貨4枚と鉄貨2枚になります」


「はい、ありがとうございます」


俺はお金を受け取り、財布に仕舞った所で、奥から男性職員がやってきた


「ハル様、申し訳ありませんが、こちらへ来ていただけないでしょうか?」


ナタリーさんを見ると、何とも言えない顔をしていたが、頷いたので、男性職員へ付いていくことにした

連れていかれた先は、何やら社長室?みたいな扉の所だった

男性職員が扉をノックすると中から「どうぞ」と言われたので入ることにする


「やぁ、よく来たね、私はここのギルド長でもあるエリックだ、宜しく」


「あ、初めまして、冒険者のハルです」


「君をここに呼んだには2つほど理由が有ってね、少し時間取らせてもらうが大丈夫かい?」


「はい、大丈夫です」


「それは良かった、では1つ目だが、先ほど納品で提示してくれたHPポーション改の件だが、何処で手に入れたのかい?」


これって教えても良いのだろうか?お偉いさんに逆らうのも良くないってのは分かるんだが、師匠が庇ってくれているのを無下にする訳にも行かないし、どうすっかな…

そんなことを考えて悩んでいるとギルド長が言ってきた


「いや、無理に聞き出すことはしないし、言わないからと言って何かペナルティーが有る訳でも無いからから安心してくれ。

 情報は冒険者としての飯のタネだってのも理解しているからね。

 ただ、このHPポーション改は存在だけが出回っていて、物が全くなかったから、出来れば知りたいと思ってはいる。

 もちろんここだけの話で秘密にする」


「申し訳ありませんが、お答えすることは出来ません」


「そうか、それならば定期的に納品されることは有るのかな?」


「それも出来るとは約束は出来ませんが、出来るだけ納品するようにはします」


「分かった、それならこの件は終わりだ。

 もう1つは、こちらがメインだったんだが、この前の時計棟の件だ、これは冒険者ギルドとしても有ってはいけない案件だった。

 こちらの手違いって訳では無いのだが、これも信用問題だからな。

 ハル君みたいな冒険者には、安心して働いてもらいたい、そのためにも謝らせてくれ、すまなかった」


そう言ってギルド長が頭を下げてきた

確かに腹は立ったが、これってギルド長まで出てきて謝る案件なのか?

まぁ、信用問題ってのも有るから、トップが謝るのは正しいのかもしれんが…


「いえ、頭を上げてください。

 この件は冒険者ギルドが関係していないのは分かっていますから、大丈夫です」


「この件については相手側に対し厳重注意と再発防止の対応がされない限り、冒険者ギルドは依頼を受けないことが決定した。

 さらに、今回の賠償として依頼金の10倍を支払うことにさせた、おい」


「はい、こちらがハル様の賠償金になります。お納め下さい。」


男性職員が金貨1枚を持ってきたので、受け取り、財布に仕舞った


「ありがとうございます」


「ハル君は、これからも頑張って欲しい。

 話は以上だ、後は窓口でHPポーション改の件は聞いてくれ、時間を取らせて悪かったな」


「はい、それでは失礼します」


俺は部屋を出て、疲れが一気に押し寄せてきた

まさか、ギルド長が出てくるとは思っていなかったな

まぁ、某物語の主人公みたいにSSランクにとかって話も無かったし、これで済んで良かったかもしれない

いや、戦闘能力無いからSSランクなんて有り得んけどさ…

まあいいや、ナタリーさんの所に寄って、さっさと帰るとしよう

窓口に戻ってきた俺は、ナタリーさんの所に並ぶ、さすがにピークは過ぎたみたいなので、少し待てば大丈夫なのは助かった、また1時間とか並びたくない


「次の方どうぞ~」


「あ、ハル様、お待ちしておりました。

 先ほどのHPポーション改の件ですが、例の問題の件も有ったため、全部買い取ることにしました。

 相手が本数を指定していないのも悪いですからね、次からは気を付けるようになるでしょう。

 それでは、HPポーション改が32本なので、金貨32枚になります」


俺は金貨を受け取り、財布に仕舞った

いきなりお金持ちになってしまった…(汗)

それにしても、俺も何か依頼をする場合は、確認を忘れないようにしよう


「それでは、私、ナタリーが承りました。

 またのご利用をお待ちしております」


俺はギルドを後にするのだった

それにしても、随分とお金持ちになったもんだ、強盗にでも襲われたらどうしよう?

昔、車を買うために100万以上を銀行で引き出した時にも、同じ感覚を味わったな

大金を持ち歩くことが無い小市民なんだし、仕方ないんよね?

ふと、今日の儲けだけでも、例のケモミミ達のお店に30回は…いや、割引が無いと15回か

とりあえず、それだけ通える計算だ…少し考えてしまったが、無駄使いは良くないな、うん

でも、1回くらいは行っても良いかもしれない…



すっかり遅くなってしまったが、宿に戻ってきた

今日は頑張って体も動かしたし、さぞかしエールが旨いに違いない

食堂に行き、速攻でエールを注文するのだった


「ナンシーちゃん、冷たいエールだ! ハリー! ハリー!」


「あ、ハルさん、エールですか? 今日の分は全部売切れましたよ?」


「な…ん…だと…!?」


「がははははっ、兄ちゃん、運が悪かったな、俺が全部飲んじまったぜ」

「馬鹿も休み休み言え、俺が飲んだんだ」

「私もい~っぱい飲んじゃった、ごめんね?」


く、悔しくなんか無いぞ(涙)

すると、キッチンからマスターがやってきた、いや、ジェニファーだったか?

メイド服じゃなく、いつものマスターの恰好だから分かりにくいな


「ジェニファーどうしたんだ? 気でも狂ったか?」


「坊主、俺だ」


「あれ?朝はジェニファーだったよな? 何でマスターに戻ってるんだ?」


「俺にも良く分らん、だが、戻る前にコイツを坊主にって置いていったぞ」


マスターが、コトンとグラスを置いた

中には氷と透明な液体が入っていた


「何これ?」


「さあな、俺の分は無いから知らん」


俺はグラスを手に取り、匂いを嗅いでみた


「ほんのりとフルーティと言うか、芋の様な匂いだな…ん? 芋?」


グラスを傾け、少し口に含んでみた…

こ、この口の中に広がる独特の匂いと言うか風味と、そしてぐぃぐぃ行けそうなくらいに、透き通って飲み易くて旨い酒は…芋焼酎か?

しかも、この味は昔奮発して飲んだのとソックリだ、確か鹿児島の酒で、森〇蔵だっけ? 正にそれだ!

森〇蔵はプレミアが付いているお酒で、抽選に当たらないと買うことが出来ない

俺も何度も何度も応募したが、結局当たることは無かった幻の酒だ、酒屋に行くと売ってはいるが、3万も超えるため、なかなか手が出せない高級な酒である


「あぁ、旨い…最高だ…」


俺は感動に浸っていると、それを見たマスターが何か迷う様な顔をしていたが、決心が着いたのか、聞いてきた


「坊主は、にほんって知ってるか?」


「!?」


「その顔は知っているみたいだな、坊主…夜、仕事が終わった後になるが、時間取れるか?」


「あ、ああ、いいけど」


「なら、仕事が終わったら呼びに行く、部屋で待っててくれ」


「分かった」


俺は、とりあえず飯を食べてから、一度部屋に戻り、先ほどの事を思い出してみた

マスターが言っていた「にほん」ってやっぱり日本のことだよな?

するとマスターは同じ地球から来たのか?

今までのマスターの飯に疑問は残っていたが、これでハッキリするんだろうか?

まぁ、話を聞けばハッキリするだろう、待つことにする


ようやく出てきましたギルドマスター

あれ? 謝罪だけで何事もなく終わってしまった…テンプレは?


祝、100話! どんどんぱふぱふ~♪

しかし、真面目に、こんなに続くとは思わんかった…

登場するキャラが、みんなして勝手に動いてくれるので小説を書くのは楽でしたが。

とりあえず出来るだけ続けていってみようと思います。


何人の方には面白いって言って下さり、それを糧に頑張っています。

改めて、この場を借りて感謝の言葉とさせて下さい。

ありがとうございました。

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