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冒険のすすめ  作者: 坂下右上
2/3

冒険者ガット:1

 


『 この世界には国というものが少ない。


 常に魔物の脅威に備えなければいけない故に、大きな国として成長するのが難しいからだ。


 最近では、大陸の北にある『クレー王国』そして大陸の東にある『ヤミナ』などが国として名前を掲げている。


 クレー王国はクレー家の血族が代々統治する国で、ヤミナは民衆の中から代表を選んで統治している。


 それぞれの国が冒険者ギルドとは別に抱えのギルドを『はじまりの樹』から認可されており、世界の経済を回しているといっても過言ではない冒険者ギルド統括本部から認められているといえば、どれだけ力を持っているかは語るまでもないだろう。


 大陸の北と東には強力な国があり、中央には冒険者ギルド統括本部がある。

 その周辺の街や村は支援などが行われているためあまり危険は少ないが、大陸の西などはあまり治安がいいとは言えず、闇ギルドも多いのが現実だ。


 もし一般人が西に行くときは護衛の冒険者を雇った方が

 いいだろう。




 さて、ここからは今人類が知りうる範囲での危険を教えておくとしよう。


 まずは北のクレー王国より、さらに北。


『ダリア山脈』


 この山脈はそもそも寒い。

 麓でも寒いのに山の上に上がるともっと寒い。

 この寒さに加えて『クシュリナ』などの強力な魔物も現れるのでとても危険である。


『 霊峰ゼルト』

 あのクシュリナさえ近づかない、ダリア山脈の魔境。

 竜が住むとも言われているが真偽は不明。


『パング海域』

 東にある海の魔物が多く存在する海域。

 特に注意すべきは『ガラコ』という魔物で、大きな蟹のような姿をしている。

 これだけ海の魔物が多いのは理由があるからだ、と一部の学者が調査をしている。


『ハザマの洞窟』

 大陸の中央付近にあるとても深い洞窟で、最深部に到達したという報告は未だない。

 深部に行くほど魔物が少なくなるという報告もあり、最深部に何があるのかますます興味深い。


『天使の塔』

 西にある登りきると天使に会えると言われている塔。

 真偽は不明。


 ここまでが現在、強力な魔物が多いとされている場所である。

 しかし、突然人の住む領域に強力な魔物が発生する事例やもあるため、弱い魔物の多い地域でも常に警戒はしておくべきであることを伝えておこう。


 さらに、上記に書いたのは『今、知りうる範囲』である。

 そう、南の領域のことだ。


 未だ人類が解明しきれていない領域。


 一年の冒険者の死者は、半数が南の領域で死んだと言われている。


 もちろん危険であることが分かっているため進入には資格が必要である。


 世界から認められるような凄腕の冒険者が、1ヶ月後には死体となって帰ってくる。


 そのような場所であることを忘れてはいけない。



 さて、危険な場所の話を充分した所で今度は筆者のおすすめの観光地を書いていくとしよう。


『モブノの街』

 これはクレー王国の西にある温泉街で、最高に癒しを――――――――――――




 ――――――『世界の歩き方』 著:ウラノ より抜粋


 』







 この日、アマタの街の門をくぐる青年が一人いた。

 青年の名前は『ガット』アマタの街より東に位置する、『サガネ村』の出身である。


 ガットはサガネ村の農家の生まれであったが、ある時依頼で訪れた冒険者に出会った。

 本来、家の農家を次ぐ予定であったガットは初めて出会った冒険者というものに憧れ、目指すことを決意した。

 それから7年、両親を説得し、その冒険者に協力を仰ぎ、15歳になってようやく、冒険者登録をしに来たのだ。


「ありがとうございますゲイルさん。俺のわがままに付き合って貰って」


 今までのことを振り返っていたガットは隣を歩く男性にお礼を言う。

 ゲイルと呼ばれた男性は体の動きを邪魔しない程度の金属製の鎧をガチャりとならした。


「ガッハッハッ!まだ礼には早ぇだろうが坊主!」


 バンッ、とガットの肩を叩きゲイルは笑う。

 それにつられてガットも笑う。

 ガットはゲイルの笑う姿が好きだった。

 短髪に無精髭といういかにもな格好で、豪快な笑い方をする、そんなゲイルに憧れて冒険者になりたいと思ったのだ。


「まあ、あの鼻たれ坊主がよくここまででかくなったもんだ」

「昔の俺とは違うんです!」

「まだ俺と比べたらちっせぇけどな!」


 ゲイルは頭一つ分違う両者の身長を比べまた豪快に笑う。


「いつか絶対抜きます!」

「そうだな、言ってるまに···ほら見えたぞ」

「あ、」


 ガットの目の前にはじまりの樹と書かれた門が現れた。

 全ての冒険者の始まり、その場所にこられた喜びにガットは笑みを隠しきれない。


「おいーっす」

「あっ、ゲイルさん待ってくださいよ!」


 喜びを噛み締めているとゲイルがさっさと入ってしまったので慌てて追いかけた。


(ここから俺の冒険者としての生活が始まるんだ!)


 門をくぐる二人の顔には笑みが浮かんでいた。






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