1 おや?私はあなたの物ですか?
前に書きかけたのをひとまず乗せてみました。主人公のキャラが・・・・
「おお!成功したぞ!」
気がつくと目の前にコスプレ集団がいた。
いやいや、ちょっと待てよ?
何だこれ?
私はいつの間にコミケの会場に来たんだ?
私の隣には同じ学校のクラスメイトで美少女の東福寺さんが目を丸くしていた。
そんな唖然とした仕草さえ可愛い美少女は平凡な私からすれば羨ましい・・・よりもヤバイ!抱き締めたいという感情の方が強い。
「しかし・・・二人もいるがどっちだ?」
そんなことを考えていると目の前のコスプレ男がそう呟いた。
周りには様々なコスプレの人間がいた。
王子コスに、魔法使いコス、騎士のコスなどなど多彩だ。
ただ・・・クオリティーが妙に高いというかリアルなのは何故だろう?
そういえば、さっきまで教室にいたのに回りは森なんだけどなんなの?
「おそらく、そちらの娘が《聖女》様かと。」
「ほう。そちらの愛らしいのがそうか。」
ちょっと、王子コスのお兄さん?なんでそんな残念な表情を私に向けたの?
まあ、確かに東福寺さんが可愛いのはわかるけど、比べないでよ。
アイデンティティーが必要よ?
普通な私は普通が一番。
普通や平凡なんて一番難しいものなのよ?
「まあ、とにかく聖女様を早く父上の元へ連れていかねばな。」
「そちらの巻き込まれらしき娘はいかがいたしますか?」
「連れていけば儀式の失敗とも責められかねんからな。捨てておけ。」
「御意。では、聖女様。行きましょう。」
「え?え?何?どういうこと?」
目を白黒させている東福寺さんはそのままコスプレ集団に連れてかれた。
・・・・・・私を放置して。
「劇・・・にしてはなんだか妙だし違うか。さっき聖女って東福寺さんは呼ばれてたし、なんだか見覚えのない場所だし俗に言う異世界転移かしら?でも、まさか置いてかれるとは・・・」
いえね。まあ、ありがちな展開ですよね。
巻き込まれた人間は放置しておくって。
でも、実際にやられるとどうしたものか・・・・
多分、東福寺さんはこの後城とかで聖女とやらになって逆ハー築いたりするのかしら?
東福寺さんて、可愛いけど男癖はあまりよくないって評判だしなー。
「さて、見知らぬ場所への拉致に放置・・・どうしたものかしら。」
「存外落ち着いているな。」
独り言のはずの言葉に返事が返ってくるとは・・・
いや、もしかしたら私にはもう一人の人格があって、この状況が寂しくて聞こえたのかも。
つまりは・・・
「ふふ・・・そうか。幻聴が聞こえるほどに男に飢えていたのか私は・・・」
「馬鹿なこと言ってないでこちらを向け。」
あら?また聞こえた。
なんだか後ろから聞こえた気がして振り向くとそこにはえらい大柄イケメンさんがいた。
私好みの筋肉質な体と鋭い視線が密かにMっ気のある私の心にぞくぞくくるような理想的な男。
「とうとう幻覚まで・・・こんな理想的なイケメンいるわけないもんね。夢かな?」
「誉めるのはいいが、幻覚ではないぞ?頬をつねってみるか?」
「私、物理よりも言葉攻めがいいな。最初はライトな感じのプレイでお願いします。」
「プレイってなんだ!いい加減現実をみろ!」
そう言われても・・・
「とりあえず自己紹介した方がいいかしら?私は松崎千穂よ。イケメンさん」
「お前は・・・この状況でその反応か・・・くく・・・面白いな気に入ったぞ!」
「それはどうも」
イケメンさんは何やらひとしきり笑った後に私の頭にぽんとその大きな手を乗せて言った。
「俺の名前はエデンだ。お前は今日から俺のものでいいな?」
「あら?いきなり所有物宣言かしら?私初めてだから優しくしてね?」
「ふふ・・・おかしなやつだな」
これが異世界に転移してすぐの出来事・・・普通の学生だった私、松崎千穂がエデンと出会った瞬間だった。