sfなクリスマス
HAKの他のメンバーあげてたので急いで書きました。ショート・ショート(?)です。
クリスマス。
今から150年前の地球では今日のことをそう読んで祝う風習があったらしい。らしいというのも僕は地球人の血を引いてはいるけれど純血の地球人ではない。でも、2年前に亡くなった祖母が僕の小さい頃、脳内年齢5歳くらいの時に話してくれたのだ。その話をふと先日思い出して、何となくそのクリスマスという風習を試してみようと思ったから僕はとりあえず、親友に声をかけて昨日から気合を入れてパーティーの準備した僕のプライベートVR空間に招待した。
「やぁ」
「こんばんは」
脳内年齢が成人に達し丁度今年から僕と親友は就職した僕らは基本的に忙しい。僕はたまたま昨日も休みだったが、普段なら2連休なんて長期休暇でもない限りありえない。だから親友の時間に合わせて夜から始めることにした。
「さぁさぁ座って、乾杯しよう」
「うん」
僕は親友を促し席について地球人が嗜んだと言われるワインを手に取った。
「乾杯。」
「乾杯」
地球人のしきたりに従ってワインを注いだグラスというものを軽くぶつける。そして最近はどうだと世間話をしながら食事をとった。食事の後はプレゼント交換というものを行う……つもりだったが、親友から疑問を呈されてしまった。
「データベースからクリスマスではサンタと呼ばれる人物が「良い子」とみなされた子供達にだけプレゼントが譲渡されるとあるけれど……?」
「あぁ。それは伝説らしい。だが、過去の地球にサンタという人物が実現したという真実はなく、実際には親が子供にばれないように夜中に子供の枕元や靴下の中に入れていたそうだよ。しょうがないから、他に一般的にパーティーで行われていたというプレゼント交換にしてみたんだ。」
「ふーん……」
親友は僕の話を聞いて少し黙り込むとぽつりと言った。
「じゃあ、私達がサンタになればいいんじゃない」
「え?」
「私達がサンタになるの。過去の地球に跳んで、伝説のサンタの格好をして誰にも見つからずに「良い子」
にプレゼントを届けるの。ここでただ喋ってプレゼントを交換するのもいいけどこっちの方が面白くない?」
親友は片目を瞑って悪戯っぽく笑った。
「そうだね。そうしよう。」
僕は親友の問いに即答してすぐに過去管理センターに連絡を取った。
過去に行くのはたやすい、過去での少しの接触は未来に影響を及ぼすこともない。だからすぐに許可は下りた。
僕と親友は「プリンター」を使ってそりとかトナカイとか衣装とか必要なものを作成してすぐに過去のクリスマスの夜に跳んだ。
雪の降る聖夜。過去の地球人の元へプレゼントを届けるサンタ達は夜空をかける。クリスマスの夜はまだ長い。