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復讐のインテリジェンスソード  作者: 川越トーマ
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出発

「ふん、まあいい。仕事に戻るぞ、早く馬に乗れ」

 マオは冷たい視線をパクに送ると、馬首を巡らせて、小石の転がる赤い荒野を駆けだした。

 パクは慌てて馬にまたがり、マオの後を追った。

 二人の遥か後方にはアルシア山、パヴォニス山、アスクレウス山からなるタルシス三山がそびえていた。

 そして、パヴォニス、アスクレウス両山の後ろでは火星の最高峰である標高二十七キロの巨大なオリンポス山が圧倒的な存在感を放っていた。

風景から考えると、どうもアルギレ湖の北を隣国であるマーズ連邦との国境地帯に向けて馬を走らせているらしかった。


「パク、どっかにいいカモはいないか」

まともな奴らじゃないとは思っていたが、やはり野盗の類だった。

マオは『思念波』をサーチして襲撃対象を見つけるようパクに命じていた。

「やや右手二キロくらいのところに三人連れがいますぜ」

 そんな遠い距離の『思念波』を感知できるなんて相当なものだ。

 パクは、真面目に軍人をやっていれば優秀な索敵担当になれただろう。

「三人てことは、マーズ連邦軍や我が国の軍隊じゃねえな。行ってみるか」

 マオは馬の向きを変えた。


 俺が沼の底にいる間に世界情勢が変わっていなければ、わがアレス共和国と隣国マーズ連邦は戦争状態にあるはずだった。

 もともと地球の植民地として位置づけられていた火星には国家としての主権はなかった。

 それが代を重ねることによって地球からの独立を望むようになり、その過程でマーズ連邦が誕生した。

 地球とマーズ連邦は独立を巡って長い間争っていたが、結局、正式には決着がつかなかった。

 地球内部の国家間の戦争により地球の文明が崩壊してしまったからだ。

 地球からは誰も来なくなった。

 今、地球がどうなっているのかは全く分からない。


 マーズ連邦は念願の独立を果たすことができたが、精密機械の製造をすべて地球に依存し、輸入に頼っていたため、地球との関係が断ち切られると、機械文明が徐々に衰退した。

 『宇宙船』も『コンピュータ』も知識として知ってはいても製造はできなかった。

 かくして、火星の機械文明は地球の中世レベルに逆戻りしてしまった。


 そんな中、世代を重ねた火星の人類に多くの超能力者が誕生するようになった。

 まるで衰退した機械文明を肩代わりするように超能力者は社会の中で活躍した。

 テレパシーやテレポートは電気通信の代わりとなり、サイコキネシスは重機や遠隔操作の代わりとなった。

 しかし、マーズ連邦の為政者たちは彼らの能力を恐れ、彼らを登録し、管理し、迫害した。

 超能力者たちは、そんなマーズ連邦に反発し、逃げ出して未開の地に国を作った。

 それがアレス共和国だった。

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