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私も一応神である  作者: shakingshook
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これは始まりである


そこには布1枚がぴったりと肌にくっついてしまっているお色気満載の女神様が居たとさ。

覗き込んでも仕方ないよねっ!


 今年も夏がやってきた。

滝の下にある水のたまり場には女神様が楽しそうにお話をしている。

―アハハハッ

愉快で可愛らしい声に私は癒されていく。

ここはいわゆる神々の世界と言ったところだ。

そう。つまり私も神様である。

だが私は名も無き神。周りの皆は人間界でワッショイされている。

私は周りからバカにされている。


 神様らしくない神様。偽りの神。神様(笑)。等々


 KAMISAMA新聞にも、常に私の話題が隅っこの方に取り上げられている。

とても嬉しいと言える内容ではないのだが、最近はKAMISAMA新聞に載れるだけ素晴らしいことであると思い始めてきている。


 さて、女神の水浴びを覗き見している自分の姿を考えると惨めになってくるのでお家に帰るとしよう。

―おい

「わっ!?...コホンっ。君か。アデロン。」

心臓が飛び出るかと思ったのは、ここだけの秘密。心臓なんて無いんだけどね!

「ムルテストス。またお前は女の裸姿見て興奮してんのか。」

ムルテストス。名も無き神様の私に一応付いてるあだ名だ。

「興奮しているんじゃない。熱を冷ましているんだ。」

「は?お前...。は?」

「凡神には分からぬだろう。」

「はいはい。ところで最高神の伝達聞いたか?」

「ああ聞いた。隣国との戦争が始まるかもしれないのであろう?」

神の世界【ミルディスウィリス領域】では5つの国が存在する。

ちなみに先ほども話した最高神だが、各国に存在する為5柱居る。

綺麗に横に整列しているので、端っこと端っこ同士ではあまり関わりが無いかと思いきや端っこに行き過ぎると反対側の端っこに行くのだ。だがそこを通るにも、特別な紋章が必要なので一般神は通れなくなっている。


 ここで国の紹介をしていこう。

正面から見て右から説明していく!正面が分からないって?私も分からない!とりあえず右からだ。

罪の国【シャルデンゼ】こちらの最高神は罪の神ゴズマだ。

続いて右から2番目、

涙の国【マカリーシュ】こちらの最高神は涙の神ニュルンディーシュだ。

続いて左端。

力の国【ゴッツベルク】こちらの最高神は力の神ディラルンデだ。

お次は左から2番目、我らが愛すべき故郷。

愛の国【エロッシュール】最高神は愛の神エチロンヌだ!

最後に中央。

征服の国【ジャプサロイアル】最高神は征服神モザス。


 「ムルテストス。お前の父親がゴッツベルクの最高神って記事本当なのか?皆冗談を楽しむようにKAMISAMA新聞読んでたぞ。」

「お前には話しておこう...。まったくの冗談だ。」

「だよな。そうだと思ったよ(笑)」

本当の事を話すと私はディラルンデの息子だ。いわゆる隠し子ってやつだがな。

このことは、いくら神友のアデロンでも話すことは出来ない。

「そういえば昨日、武器神から武器の贈与があっただろう?アデロンは何を貰ったんだ?」

「俺は伝説の神話に登場する神ゼウスが使っていたとされる雷霆の下位互換である霧の槍【シュクス】だ。」

「シュクスか。あれの鋭さは凄まじいものがあるからな。頼むから乱暴に扱わないでくれたまえよ。」

「任せとけって(笑)ムルテストスは何を貰ったんだ?」

「私は【テュルソス】だ。」

「テュルソス(笑)お似合いだな。」

「これから仲良くしていくから温かい目で見てくれ。」

テュルソスは素朴ながらも可愛らしい装飾が施された杖だ。

特にこれといった能力があるわけではない。ただの鈍器だ。壊れないただの鈍器だ。

実のところ、最初は適正武器として、ゼウスの雷霆をも凌ぐ強さを誇る存在しないと思われていた【ガジュミタ】という私の背ほどある特大の剣が出てしまったのだ。

しかしさすがにそんな武器を手に入れてしまったら、父上の子供だとバレてしまうのでテュルソスに変えてもらった訳だ。


 だが、困ったことにガジュミタが私の手から離れようとしないのだ。

しかしだ。私はどうやら特殊能力で武器を2つ持てるらしい。

ガジュミタは隠し持ち、これからはテュルソスを主要武器として使っていく。

これでよいのだ。


「ムルテストス。これから一緒に風呂行かないか?」

「ああ。行こうではないか。入浴後はコーヒー牛乳を奢ってくれたまえ。」

「何言ってんだ!風呂入った後はフルーツ牛乳だろうが!」

「それでも構わんぞ。」

「よしそれじゃいっこー!」

入浴後の火照った顔の女神様を見たいが為についていくのではない。決してない!


―ガコンガコン

「ふぅー。気持ちいいなあ!」

「そうだな。浴場は癒しの空間だ。」

「こうして風呂入ってるとあの頃の事を思い出すな。俺とムルテストス、そしてマーテスで水遊びをした後一緒に風呂入ったのをよ。」

「そうだな。」

マーテスは近所に居た女の子だ。

今頃どうしてるかな。おそらく立派な女神になってるだろうなあ。

―ガラララララ!

「あんたら何時まで入ってるんだい!もう閉店の時間だよ!」

気づくと二人とも寝ていた。なんということだ!

「よし、出よう。」

「じゃあ約束通りフルーツ牛乳を奢ってやろう!」

「すまないな。ありがとう。」


―ゴクッゴクッ

「なんだこれは!?美味すぎて癖になるぞ!」

「だろう?これは禁断っぽい果実の果汁が入っているんだ!」

「確かに禁断っぽい味がする。美味い。」

「今度からはここの風呂場しか来れなくなるな!」

「ああ。常連になるだろうな。」

「そんじゃ帰るか。」

「ああ帰ろう。」

―バシッ

「またおいでな!色男さん!」

「おうまた来るぜばあちゃん!」

「これからお世話になるぞ。」

―ガシャン


ムルテストス、アデロン、マーテス。

幼馴染である。


禁断っぽい果実、きっと美味しいはず。

だって禁断っぽいんだもん!

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