第七話 ソビエツキー・ソユーズ追撃戦 その1
北海道近海の冬の海の濃霧の中を二隻の戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」と「ヤマト」が航海していた。
先頭を「プリンス・オブ・ウェールズ」が航行し、少し離れて後ろを「ヤマト」が航行している。
護衛の駆逐艦四隻はイギリス海軍の「エレクトラ」「エクスプレス」「テネドス」「バンパイア」であった。
六隻からなる艦隊は、ソ連海軍戦艦「ソビエツキー・ソユーズ」を求めて、濃霧の中を航海していた。
「まさしく、ミルク粥のような濃霧だな。『ヤマト』はちゃんと付いて来ているか?」
英日臨時合同北方艦隊の指揮官を務めるフリップス提督は、「プリンス・オブ・ウェールズ」の艦橋でリーチ艦長に尋ねた。
「はい、霧により目視は不可能ですが、レーダーの反応では『ヤマト』は定位置にいます。駆逐艦四隻も同様です」
「うむ、航海用レーダーが無ければ、この濃霧の中を艦隊を組んで航行するなど不可能だったな。下手をしたら味方同士で衝突しかねん」
「日本海軍ではレーダーを搭載した艦はまだ少ないですからね。『闇夜のチョーチン』だと嫌う海軍士官も少なくないそうですから」
「チョーチンとはランタンのことだったな。確かに闇夜の中で灯りをともしたら目立ってしまう。戦場では自らを危機にしてしまう行為とも言えるな」
「日本海軍の見張り員は特殊な訓練をしていて、レーダーより遠くを目視できるという話です」
「信憑性の低い話だとは思うが、それが本当なら日本海軍がレーダーの導入に消極的なのも分かるな。だが……」
フィリップス提督はいったん言葉を切ると窓の外の濃霧に目を向けた。
「この濃霧の中では、ご自慢の視力も役に立たない。結局はレーダーを積んだ艦が必要だったということだったな」
「『ヤマト』には実験的に我が英国が日本に技術提供したレーダーが装備されていますからね。そうでなければ、この濃霧の中を一緒に出撃することはできなかったでしょう。しかし……」
「しかし……、何だね?リーチ艦長」
「確か、ナガト型戦艦二隻にもレーダーを搭載してあるはずです。砲撃力では日本海軍で一番強力な十六インチ砲なのですから、『ナガト』か『ムツ』を今回の作戦に投入するべきだったのでは?速度の違いから本艦と同行するのは無理でも別働隊としてならできたはずです」
「私と会った日本海軍の連合艦隊司令部の参謀は、『ナガト』『ムツ』が今回の作戦に参加できない理由をいろいろと話していたが、要するに日本の子供向けのカードゲームに『ナガトとムツは日本の誇り』と書かれているくらいだから『日本の誇り』を傷つけられる危険は避けたいらしい」
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