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第四話 ヒトラーの主張

世界的に有名な映画俳優となったヒトラーは、アメリカやイギリス本国、カナダやオーストラリアなどの英連邦諸国を訪問し、各国の民衆に大歓迎された。


そこでヒトラーは「世界平和のための戦艦の廃棄」を唱える演説をしたのであった。


すでに世界史上初の軍縮条約であるワシントン条約により、主力艦である戦艦の建造・保有の制限はされていたが、ヒトラーはさらにそれを徹底して「すべての戦艦の廃棄」を提案したのであった。


「かつてドイツは多数の戦艦からなる大艦隊を持っていたが、それこそが先の欧州大戦を引き起こす原因の一つとなった。あのような悲惨な戦争を再び引き起こさないために各国は自主的に戦艦を放棄すべきである」と、ヒトラーは主張したのだ。


当初、各国の政府・軍の高官はヒトラーの主張に対してたかをくくっていた。


世界的に有名な映画俳優とはいえ政治家ではないヒトラーの主張など影響力は少ないと考えていたのだ。


「しかし、それは、とんでもない間違いだったな。リーチ艦長」


「はい、フリップス提督、まさか我がイギリスや英連邦諸国、アメリカでヒトラーの主張があれほど支持されることになるとは……」


ヒトラーの「世界平和のための戦艦の廃棄」の演説は、ニュース映画として何度も映画館で上映された。


当時、映画は民衆にとっての主要な娯楽であり、イギリスやアメリカの大多数の民衆にとってヒトラーは地元選出の議員よりも身近に感じられる存在になったのである。


ヒトラーは「平和の伝道師」と呼ばれるようになった。


「それで、我がイギリスやアメリカでは人気取りのために落選寸前の議員がヒトラーの主張を支持する者が多く出た」


「はい、フリップス提督、それで我がイギリスでもアメリカでもヒトラーを支持する議員が議会で一大勢力を築くことになりました」


「さすがに『戦艦すべての廃棄』は現実として無理だと、議会は分かっていたからな。だが、民衆の支持を得続けるために、旧式戦艦のほとんどを予備艦にしなければならなかったからな。そして、ワシントン条約の期限が切れても戦艦の新造が難しくなった。一歩間違えれば『プリンス・オブ・ウェールズ』の建造も認められなかったかもしれん」


「ヒトラーに海軍の整備が振り回されなかったという点では、日本がうらやましいです」


「まったくだ。ヒトラーの映画が日本ではまったくヒットせず。ヒトラーは日本では不人気だからな」


ヒトラーの映画が日本でヒットしなかったのには、いくつかの理由がある。

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