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第十六話 アメリカの事情 その1

しばらくの間、フィリップス提督とリーチ艦長が書類の束をめくる音が執務室の中で響いた。


書類を最後の一枚まで目を通すと、フィリップス提督は口を開いた。


「かつて、我らが父祖が開拓し、我が英国から独立した土地が、そのようになっているとは……、今まで知らなかったが、アメリカ合衆国は、かなり複雑な状況になっているようだな。リーチ艦長」


「はい、この状況で、我々が『ソビエツキー・ソユーズ』を撃沈したことをアメリカの一般市民に知られたら火に油を注ぐことになりかねませんからね。報道しない理由は分かります」






この時期のアメリカ合衆国政府は、戦争に対して「中立」を宣言しており、欧州おいても極東においても「不干渉」を方針としている。


警戒のために大西洋の哨戒を強化したり、アジアの植民地であるフィリピンの兵力を増強したりしているだけである。


戦争の惨禍に見舞われている世界に対して、アメリカ合衆国市民は平和を謳歌している……というわけではなかった。


アメリカ国内は、南北戦争以来の「内戦」の一歩手前の状態にあると言われている。


南北戦争では、アメリカは北部と南部に分かれて戦ったが、今回は地域で分かれているのてはなかった。


貧富の格差・人種・民族など様々な理由で分裂・対立が起きている。


「混沌」「カオス」と言える状態にある。


そのきっかけは世界大恐慌であった。


世界大恐慌により大量の失業者が発生した。


それまで好景気で、靴磨きの少年まで株に投資するようになっていたアメリカ社会には大打撃であった。


デモ隊がホワイトハウスを取り囲むようなこともあり、その鎮圧に軍隊まで投入したのだった。


鎮圧のために指揮をしたのは、コーンパイプがトレードマークのマッカーサー将軍であった。


マッカーサーは「混沌とした状態を解決するには強い力が必要である」と大統領選挙に立候補した。


対立候補は親族が過去に大統領になっている有名な政治家で、マッカーサーも当初は苦戦した。


しかし、対立候補が持病があることを隠していることが明らかになると、「持病があるのでは大統領の激務に耐えられない」と、その点を突いて反撃した。


選挙の結果、マッカーサーが勝利し、アメリカ合衆国大統領に就任した。


しかし、マッカーサーが大統領に就任したことが、さらにアメリカ国内を混沌の渦に叩き込むことになった。


マッカーサーは大統領選挙に勝利したが、僅差の勝利で、マッカーサーに反対する勢力も多かった。


反対勢力に対してマッカーサー大統領は強硬姿勢でのぞんだのであった。

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