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思いがけない称賛

「独り立ちしなくっちゃ」という決意を受け、それからの私は、汚名返上とばかりに無心でキーボードを叩いた。

私の夢洲商事の端末管理センターでの日々の仕事は、まずは、端末トラブルの受電とSEへの取り次ぎ、端末のリース契約書を夢洲商事の偉い社員さんに捺印依頼、リース契約書のデータをExcelへ入力、リース契約書のファイリング、会議資料のコピー、シュレッダー、FAX送信、等々。

パソコンを覚えたくて転職してきた会社でも、システムについて勉強する機会などは無く、それでも、Excelへデータ入力、集計の仕事はやり甲斐があり楽しかった。

大迫さんとは、怒鳴られ泣いた日以来、特にトラブルも無く、良好な関係だったが、ある日、Excelで入力作業をしていると、大迫さんから声をかけられ、びっくりした。

「木内の仕事は正確で助かってるよ!VLOOKUPを使いこなしてるな。前任者より入力ミスが格段に減った。その正確さは自信持っていいぞ!」

私は嬉しくて言葉にならなかった。大迫さんに褒められた!心が躍った。

ふと、気が付くと、三芳さんと都留野さんが私の傍らにいた。

三芳さんが、「木内さん、すごいじゃない。見直したわ。頑張ってね。」

都留野さんが、「ふぅ~ん、木内さん、意外とやるのね〜。」

2人は優しく言葉をかけてくれた。私が大迫さんから褒められた事など、仕事のできる2人にとっては取るに足らぬ事なのだ。

内心、きっと、「たまたまでしょう。調子に乗って何か失敗しなきゃいいけど。」だろう。

二人は微笑んでいたが、その視線は私のパソコン画面ではなく、壁の向こうの「もっと大きな仕事」を見ているようだった。

だが、その時を境に、私の仕事への意欲はホンモノに近付いていった。「せっかくシステムの会社に入ったのだから、システムについて学びたい」とも思っていた。だが、そんな機会は待てど待てど訪れない。やっぱり女は仕事の場で活躍できないようにできているのね。私は諦めながらも、一方で会社の体制へ不満を持ち始めた。

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