とんだ失態でダブルパンチ
大迫さんはとても優秀なSEさんで、商社の社員さん達からも一目置かれていた。バスケ部だった綺麗な奥さまがいたがお子さんはなく、自らDINKSだと豪語していた。ちょっぴり厳しい人ではあったが私は尊敬していた。
その大迫さんからいきなり怒鳴られた。SEさん達が会議中に、私は先輩の三芳さんとずっとおしゃべりしていた。特に私の方から三芳さんに話しかけていた。人のよい三芳さんは私を制することができずにいたのだ。そのことで注意を受けた。私の声が隣の会議室に筒抜けだったそうだ。
「仕事中にずっと私語か。会社に遊びに来てるのか!」鬼のような形相だった。私は一瞬面食らい頭が真っ白になった。次の瞬間、泣き出しそうになり、急いでトイレに駆け込んだ。トイレに籠ってぐしょぐしょになって泣いた。泣きながら考えた。「きっと、私が、日頃、ことあるごとにツラく当たってしまっていた大阪出身の上司、穏やかでのんびりした性格だが赤ちゃんのまま大人になったかのように見えた頼りない仕事ぶりの林田さんのことでも怒っているんだ。なんてことをしてしまったんだろう。」取り返しのつかない自分の過ちをどうすれば白紙に戻せるのだろう。どうすれば、と途方に暮れているところへ、三芳さんが来てくれて、大丈夫?と声をかけてくれた。私は思わず「私、大迫さんから嫌われているから」と漏らすと、三芳さんは、「そんなことないわよ。嫌われてなんていない、思い過ごしよ。一緒に謝ってあげるから、戻ろう。」その時の三芳さんは神に見えた。




