両方だろ!
ホイッスルの音が響き、前半戦はそのまま終了した。
スコアは互角。しかし、テイコウイレブンはひとり少ない状態――いや、正確には「頭がない」トマーティオを抱え、十人と半身で戦っていた。
「さて……問題はトマーティオだな」
ベンチに戻るや否や、ザグが腕を組んで言う。
「とにかく頭を取り返そう!」
翔真が強く訴える。
「頭さえ戻ってくれば、トマーティオは復活して十一人で戦えるはずだ!」
だが、リオーナは即座に首を振った。
「いいえ。頭はもう諦めて、交代させましょう。このまま“半分”のトマーティオを引きずる方がリスクよ」
「……でもさ」
ザグが真剣な顔で問いかける。
「頭のない身体だけで“交代”なんて出来るのか?」
その場に沈黙が走った。
「……」
翔真も言葉に詰まる。
そして、ふと口を開いた。
「……頭と身体……どっちが“トマーティオ”なんだ?」
「「「……!」」」
リオーナも、ザグも、控えの仲間たちも、一斉にざわついた。
「どっち……?」
「そりゃ、どっちでも良いといえば良いけど……」
「いやでも……どっち?」
困惑がチームを覆うその時――。
「両方だろ!」
豪快な声が割り込んだ。
振り返ると、そこには酒瓶を片手に立つローマリオの姿があった。
「くだらんことで悩んでる暇があるなら、後半の戦術を考えろ! 頭も身体も両方トマーティオに決まってんだろ!」
「「「……!」」」
テイコウイレブン全員が息を呑む。
「ローマリオが……珍しくまともなことを言ってる……」
誰からともなく漏れたその言葉に、ベンチは一瞬だけ静まり返った。
そして次の瞬間、笑いと緊張が入り混じった空気が生まれるのだった。




