表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生サッカー これがサッカーなのか・・・?  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/47

世界がキラキラと色を乱反射している

 後半が始まった。

 俺はベンチで交代を告げたものの、胸の奥はざわざわして落ち着かない。……本当に大丈夫か? トマーティオなんかに任せて。


 そんな俺の不安をよそに、試合は再開する。

 ソーダスジュニアのシンが素早くドリブルで駆け上がり、ゴールを狙って一直線に突っ込んできた。


「行かせるかよ」


 低く呟いたトマーティオが、前線へと歩み出る。


「――《火炎槍蒼ファイアーアロー》」


 詠唱と同時に、空気を裂いて炎の槍が飛び出した。轟音と共に赤い光がシンを包み込みそうになる。


「なっ!?」

 シンは慌てて身をひねり、かろうじてかわす。だが、その動きは無理があり、体勢は完全に崩れていた。


 次の瞬間――。


「もらった」


 トマーティオはあっさりとシンの足元からボールをかすめ取り、そのままスッと前へ運んでいく。


 ……嘘だろ。

 俺の中の不安が、一瞬で驚きに変わった。

トマーティオは迷いなく前へと駆け出した。

「【火炎走撃蹴脚】!」


 彼の足元から炎が噴き上がる。瞬間、ボールに触れるたびに火花が散り、芝を焦がしながら疾走していった。


「な、なんだあれは!?」

 ソーダスジュニアのドーズとギブが慌てて立ちはだかる。


 だが、次の瞬間――。


 ゴォッ!!

 炎をまとったトマーティオの脚が二人を薙ぎ払うようにすり抜けた。ドーズは地面に尻もちをつき、ギブはバランスを崩して倒れ込む。


「……独壇場だな」

 俺は思わず唾を飲み込む。圧倒的すぎる突破力に、チームプレーなんて必要ないんじゃないかと思えてくる。……でも、それじゃ駄目だ。俺たちは“チーム”で勝たなくちゃいけないんだ。


 その不安が胸をよぎった瞬間、ソーダスジュニアのディフェンス陣が一斉にトマーティオを囲みにかかる。

 さすがにこれ以上は無理だろ――そう思った矢先。


「ふん、そっちに任せたぜ」


 トマーティオが放ったのは、炎の残滓を纏うスルーパスだった。


「えっ……パス!?」

 俺は思わず声を上げる。


 そのボールの先には、駆け上がっていたリオーナの姿があった。

 リオーナは迷いなく走り込み、トマーティオのスルーパスを受けた。

「【雷光爆裂弾】!!」


 振り抜かれた瞬間、ボールは雷をまとい、稲光の矢のようにゴールへと突き刺さっていく。


 眩い閃光――ゴォンッ!!


 キーパーは一歩も動けなかった。ただ呆然と、その雷光を目で追うしかない。


「ゴォォォール!!!」


 スタンドが揺れる。

 これは間違いなく、俺たち全員の力で奪った得点だ。

 パスを選んだトマーティオ。走り込んだリオーナ。そして、それを支えたみんな。


 ……トマーティオが、本当に俺たちのチームメイトになった瞬間だった。


「やったぞ!!」

 ザグやリオーナ、仲間たちが歓喜の声を上げながらトマーティオに駆け寄る。


 しかし当の本人は、ふてぶてしい笑みを浮かべると――

「まあ、凡人にしてはよく決めたかな?」


「なんだと!?」

 ザグの怒号が響く。


 周りは笑って盛り上がるけど……俺だけは胸の奥に小さな影を感じていた。

(ほんとに、大丈夫かよ……先行き不安しかないんだけど)



試合終了の笛が鳴り響いた。

「――よっしゃあああ!!!」

 ザグの雄叫びがグラウンドに響き渡る。


 テイコウイレブン、勝利!!


 みんなが互いに抱き合い、喜びを分かち合う。リオーナも笑顔でハイタッチを交わし、トマーティオでさえ鼻で笑いながらも、ほんの少しだけ口角を上げていた。


 ……けど、俺は浮かれきれなかった。

(勝ったのは嬉しいけど……この目、虹色のままなんだよな)


 視界の中で、世界がキラキラと色を乱反射している。綺麗っちゃ綺麗だけど、どう考えても正常じゃない。

(大丈夫か、俺……)


 そんな時だった。

「――あーっ!!」


 ローナルドの悲鳴が響いた。


「どうした!?」「何があった!?」

 俺たちは慌ててローナルドのもとへ駆け寄る。


 ローナルドは手にした小瓶をまじまじと見つめ、青ざめた顔で裏の説明書きを指差した。

「す、すまん!! この目薬……! 目を虹色にするだけで、他に効果が何もない目薬だった!!」


「……は?」


 頭の中が真っ白になる。


「なんだよそれ!! なんでそんなもんあんだよ!!」

 俺は叫んだ。


 勝利の余韻に包まれたグラウンドに、俺のツッコミが虚しく響いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ