表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お姫様は恋のために激変する

 大きな格闘リングの上で、2人の男性がにらみ合っていた。観客席の熱気は凄まじい。

 ここは地球より重力が強く地球から遠いファイト星という。ファイト星と同じ銀河にはエンペラー星をはじめとした友好的な星々があり、それぞれ同盟を結んでいる。エンペラー星人もファイト星人も地球人も年齢の感覚は同じだ。

 格闘リングには主賓席があり、エンペラー星の皇女であるエレアが座っていた。 エレアは格闘リングの上にいるガルダというファイト星人に一目惚れした。ガルダはエレアと同い年の29歳で筋骨隆々のキリっとしたイケメンの青年である。

 いきなりエレアは立ち上がり叫んだ。

「ガルダ様、私と結婚してください!」

 ガルダはため息をつき、 ぶっきらぼうな口調で答えた。

「デブな女とは結婚したくない」

 エレアが丸々と太っているのは事実だ。エレアはあまりにもショックで、大泣きした。エレアは家族だけではなく、エンペラー星の住民からちやほやされながら生きてきたのだから当然だ。


 エレアはエンペラー星の居城に帰ってくるとすぐに、 父である皇帝ジーヌに言った。

「ガルダ様に太っている人とは結婚したくないと言われました」

ジーヌも同じく丸々と太っている。 ジーヌは激怒して言った。

「エレアと結婚したくないだと!ファイト星を滅ぼしてやる」

何としてもガルダと結婚したいと思っているエレアは、ジーヌをなだめて言った。

「お父様、いけません。 私はどうしてもガルダ様と結婚したいのです」

 そこでエレアは体重を減量する努力をしようと決心した。

 

 エレアは好きでもないマラソンで全力疾走する習慣をつけた。最初は500メートルにも満たないところで息が切れ、倒れた。翌日は筋肉痛がひどくなり湿布を貼った。

 さらに断食もした。食べることが好きなエレアには辛かった。

 お腹が空きすぎて眠れない日も続いた。

 日に日にエレアはやせ細り、3か月後には細くやつれた姿になった。そんなエレアを見たエンペラー星の住民たちは心配していた。


 エレアはガルダをエンペラー星の居城に招いた。居城は金色の屋根で壁が白い西洋的な城である。城の中の大広間には、シャンデリアが輝き、 ふかふかした赤い絨毯が敷いてある。

 大広間でエレアは言った。

「ガルダ様、私と結婚してください」

 それを聞いたガルダはため息をつき、ぶっきらぼうな口調で答えた。

「もやしみたいな女とは結婚したくない」

 エレアは頭を抱え、姉のレミーに相談した。レミーはエレアとは似ず、胸とお尻は大きくウエストがくびれている。

「どうすれば、ガルダ様に振り向いてもらえるのかしら?」

 レミーは答えた。

「多くの殿方は胸とお尻が大きくて、お腹が細い女性が好きなのよ」


 レミーのアドバイスを聞いたエレアは、さっそく内科の侍医に体形のことを相談した。内科の侍医は言った。

「私はふくよかな方が好きですよ。触り心地もいいですし」

 エレアは怒った。

「あなたの意見なんかどうでもいい!」

 次に整形外科の侍医に体形のことを相談した。

「美容目的なら逆です。」

「え?」

「形成外科です」

 そこで、形成外科に行って美容整形の手術をしようと決めた。

 形成外科はエレアの希望を受けて、豊胸手術と豊尻手術を行うこととした。手術は無事成功し、エレアはお腹が細いまま胸と尻が大きいナイスバディの体型になった。


 エレアは再度、ガルダを城の中の大広間に招いた。

「ガルダ様、私と結婚してください!」

 エレアは自信満々に求婚した。しかし、ガルダは急にエレアの頬に平手打ちを食らわせた。

 ただしその平手打ちは、エレアにはガルダの本気とは感じられなかった。

「反射神経が鈍い女とは結婚したくない」

 エレアは平手打ちを食らった頬を触りながら、唖然とした。


 そこでエレアは反射神経を良くするトレーニングをしようと思い、ファイト星から一流のトレーナーを呼び寄せた。トレーナーはエレアに尋ねた。

「ご要望は何でしょうか?」

「ガルダ様が繰り出す平手打ちを確実によけたいです」

「あのガルダですね…….まずは動体視力と俊敏さを鍛えてはいかがでしょうか?」

「そうします」

 エレアは、トレーナーがあらゆる方向から繰り出す平手をよける訓練をこなした。最初のうちはエレアは平手をよけられず苦戦した。見かねたトレーナーがエレアにアドバイスした。

「平手をよけるには、手だけではなく相手の視線も観察してみましょう」

「ガルダ様と目があったらドキドキしてしまうわ」

「それは割り切ってください」

 数か月の訓練を続けると、トレーナーの平手のスピードがだんだんと速くなっていった。平手のスピードが最大になったら、エレアは体全体に重りをつけて平手をよける訓練をした。

 さらにエレナは訓練だけではなく、食事にも気をつけることにした。ファイト星でガルダに求婚した時よりは少なくしているが、断食まではしていない。


 自信がついたエレアは、再びファイト星にガルダに会いに行った。エレアはガルダ専用のトレーニング室に招かれた。

 様々な専用トレーニング機器に埋もれた空間でエレアはあきらめずに求婚した。

「ガルダ様、私と結婚してください!」

 またしてもガルダは、急にエレアの頬に平手打ちを食らわせようとした。しかし、エレアはその平手打ちをとっさに避けた。するとガルダは答えた。

「いいだろう」

 さらにガルダは続けた。

「何度もプロポーズを断って悪かった。俺には過激な女のファンがたくさんいるから、妻は強い女ではないといけないと思っていたんだ」

 エレアとガルダは、めでたく婚約した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ