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魔女裁判


熱を感じるほど多く掲げられた松明から立ち昇る火が天へ戻ろうと揺れている。


「お前が、お前がベスを殺したのか!!地獄に堕ちろ!」

「姉さんを返してッ返してよ……!」


泣き崩れる女を、隣の男が抱き支えながら全てを焼きつくしてしまうほどの怒りを見せた。


「この人殺し!うわあああ!!」


幼子の声、そうだそうだと勢いを増していく観衆。


────ここは処刑場だ。


「娘に、なんの恨みがあった……なぜ、この子で無ければいけなかった……教えてくれ」


老父のしゃがれた声だけが妙に耳に届いた。


返せ、返せ、殺せ、殺せ


四方八方から石が投げられ、足元に積みあがっていた薪に炎が移った。


ぶわりと炎が威力を増していく。

ふわりと熱風が天へ舞い上がる。


殺せ、殺せ、燃やせ!燃やせ!

取り囲む観衆の熱気や怒号が炎を追い立てる。


「魔女を殺せ!」


しかし、魔女を狙った石は不自然に力を失い地面にボトリと落ちた。

異変を感じ取った者から勢いが削がれていく。


渦巻く炎は魔女を恐れたように煙と消えた。


その様子を見ていた観客の興奮が、戸惑いと恐怖に塗り替わっていくのは一瞬だった。


「ぅ、うわあああああああああ!!!」


残ったのは悲鳴だった。



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