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あとがきお気をつけて。
私の挨拶を受けて、すすっと此方まで歩み寄ると黙って見下ろした。鈍色の髪、くすんだ黄色瞳。虚ろそうに見えて、目の奥には仄かな優しさが滲んでいる。よかった良い人そう。そう思って満面の笑みを浮かべると、相手さんも僅かに口角を上げた。
「改めて、ここの大家の仁琵だ。宜しく。嬢ちゃん」
「宜しくお願いします!!」
仁琵さんは両手を上げて、喜びを表現する私を見て、クスッと笑った。それからぽふっと骨張った手で頭を撫でた。何となくお爺ちゃんに頭を撫でられた気分になる。そして得意気な顔のまま、私は手土産を渡した。
「これ、うちの近所にある和菓子屋さんのお菓子です。お口に合うと嬉しいです」
「あぁ。有難う」
紙袋の中身は花柄の上生菓子。通っていた神社の近所にあった和菓子屋から調達したものだ。見た目が可愛く、買ってみて味も上質であった為、挨拶品として購入した。
どうやら大家さんも気に入ってくれたらしい。空気がより甘い、仄かな桃色へと変化した。両手で包むように抱えると、一度部屋の奥へ引っ込んで、茶菓子を置いてきた。
「実は大家さんに聞きたいことがありまして..............。昔この辺りに住んでいたんです。今も祠って残ってますかね」
「ほう。じゃ、 様の事も知ってそうだな」
困ったように視線を動かす私を見て、彼は閃いたように顎を撫でた。どうやらその祠に関係のある方とお知り合いらしい。私は男の子しか知らないけれど。そう思って疑問符を頭に浮かべていると、渡りに船のような一言。
「俺も顔合わせに行こうと思ってんだ。案内してやろうか?」
私が目を輝かせたのは言うまでもない。
仁琵がこの姿、煙管持ちなのには理由があります。
とりあえず、凄い音痴です。音程は外しまくりです。
でもその分、画力に振ってます。ベリー上手い。
ただただ好き。
虚ろそうに見えて優しいとか、煙管吹きながら絵を描くところとか、嬢ちゃん呼びとか、ただただ好き。
(私の中では数少ない真っ当枠。あ、でも人の話聞かない.......)




