氏神
私は車内から姿を消した後、森の奥にある祠に向かって足を運んでいた。歩みを進める事に纏っていた白い布地が姿を変え、赤に近い色をした着物に変化する。洋装も洋装で小洒落ていて悪くないが、着慣れた和装のがやはり落ち着く。
そんな中、漸く帰る場所である小さな祠を発見した。その前には少年がぽつんと立っていた。私の足音に気が付くと、くるりと振り返る。
「舞楽様」
「ん」
「今日は何方にお出でになったんですか?」
私とは異なった白いシャツに、脚にぴったりと沿うように作られた絝。サラサラした白髪の下に除くのは黄色の目。この涼やかな美人は私のお使いの澪月だ。
彼は手に持っていた丸い鏡を一撫ですると、僅かに小首を傾けた。そよ風が私達の間を吹き抜ける。
「君の想い人を見てきたんだよ」
「..............!! 此方に来るのですか?」
「あぁ」
祠の近くにある切り株に腰掛けると、澪月は瞳輝かせた。食い気味に顔を近づける。そんなに急くな。慌てんでもちゃんと話してやるから。
そう思ってもう一つの切り株を差して、腰掛けるように指示した。 は足早に座り込むと、毛を逆立てて、興奮の意を示した。
「変わってなかったよ。何一つ」
その一言に安心したのだろう。この静謐な空間に彼の吐息が僅かに聞こえた。あの子の前に姿を現したのは電車での出来事が初めてだけど、幼い頃に見守って来たから分かる。全く変わっていない。それが良い事か、悪いことかは置いといて。
舞楽様、次の次では結構性格違います。
此処では結構気張ってるので、こんな感じ。
乙女度上がると、もうちょい女の子っぽい感じ。