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身長百四十センチ。すれ違う人からはその低身長故に中学生はおろか、小学生に間違えられる。この方も恐らく私を小学生だと思っている事だろう。
全く気にしてないかと言えば嘘になる。出来ればもう少し身長が欲しいとも思う。けれども不思議な事に全く伸びない。私の成長期はどうやら小学生がピークであったようだ。だがまぁ、人生はまだ序盤。期待を掛けたって良いだろう。
「貴方は何方でお降りになるのかしら?」
「□□駅です」
「そう。私の知人もそこに住んでいるの。小さな街だし、もしかしたら会うかも知れないわ」
彼女はそう手短に言うと。私と同じように。車窓に目を向けた。濡羽色の髪がサラリと風に靡いて揺れた。同性の私から見ても綺麗な大人の女性だ。
私も、大きくなったらこんな綺麗な女性になれるかな..............? そう思っていると、不意にアナウンスが鳴った。
――次は□□ー。□□ー。
「はわっ」
少し眠っていたらしい。気が付くと目の前の女性は居なくなっていた。
凛は紡の事、絶対「おチビ」って呼ぶだろうなぁと。
ちなみに、紡の事をそう言いそうなのは、育ての父親の影響。
慧と凛は父親から「おチビ」と呼ばれてました。