神使え、見習い
若い生き物が愛を確かめ合っているのを、野次馬根性剥き出しで、見るのも野暮だろう。だから俺はその二つの綺麗な生き物から距離をとって、木影に隠れていた主に声をかける。
「舞楽様」
「う.......。隠れていたんだけどな.......」
声に反応して、僅かにビクッと肩を震わせた。それから渋々此方を振り返った。供給する必要が無くなったせいか、以前よりも身長が伸びている。純白の髪と、硝子玉の瞳は以前よりも輝きを増したように思えた。
俺は煙管に口を付けると、ゆっくりと吐き出した。目上の方と話すんだ。お前らはもう少し質を上げて、視界を明るくしろ。
「顔をお出しにならないのです」
「.......妙な感情で彼奴らの邪魔をする訳にはいかないからな」
不貞腐れたように、琵琶を抱え込んだままそっぽを向いた。表情は僅かしか確認していないが、何とも複雑であった。
意外と嫉妬深いのだ。この方は。男女問わず、自分が愛したものが他の者に目を向けるのを良しとしない。それは神としての在り方から来るはずのものなのに、皮肉にも人間臭さを際立たさている。
舞楽様は背を向けたまま、地べたに向けてごろんと横になった。白髪が川を作る。
「.......いや、申し訳ないことをしたな。ってさ」
「それは俺が一番言わなきゃいけない事ですよ」
さっきも言った通り、道は無数にあった。分社や他の神々に頭を下げ、霊気を分けて戴く事も出来た。それでも常に供給される訳ではない。だから一番即効性かつ確実性のあるものを提示して、誘導した。全く、自分の底意地の悪さに嗤えてくる。
分けてもらうのだって楽じゃないでしょーに。
安定供給を見込むには、やはりこれが一番。
仁琵のそーゆーとこ、好きですよ。
明日で最終回です。
そしてキャラページとあとがき。
宜しければお付き合い下さい。




