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「これには君の大切な思い出が詰まっているだろう?」
指を引き離すと鏡が落ちて割れてしまう為、手首を握って引き離す。此処で漸く目が合った。丸こい人間のような双眸。鮮やかだった透明感のある黄色の双眸がくすんでいた。そしてその目にはいっぱいの涙が溜まっていた。
あぁ、相談の一つでもして欲しかったよ。一人で抱え込むんじゃなくて。それにさ、この思い出は私のものだけじゃ無いんだ。だから。
「私が持っていなくても、君の中で生き続けていれば良い」
もう良いんだ。過去に執着するのを辞めた。人間として成長するんだ。しかし澪月はまだ受け取るのを拒否するように、師匠の顔を見た。
「仁琵さん。これ以外に道は無いんですか?」
「無いわけじゃない。だが時間は有限だ。騙し騙しやって行ったって、何れ底が見える。それはお前も舞楽様も感じてるだろ?」
師匠は煙管を吸い上げると、私達の間を抜けるように煙を吐き出した。
澪月は長い溜息をついた後、鏡を包んだ私の手を両手で上下から包み込んだ。それから手首を回転させるように手の甲を上に向かせると、そっとキスを一つ落とした。
「..............分かりました。有難く、頂戴致します」
澪月は丸こい鏡を受け取ると、そのまま大口を開けて思い鏡をねじ込んだ。丁度蛇が丸呑みをするように。それから、ごくんという音を立てて、喉を下っていく。
変化はあっという間だった。くすんだ黄色の双眸が透き通るような檸檬色に戻り、縦に割れた瞳孔になる。首周りの皮膚から鱗が出来て、それが表面全てを覆っていく。瞬きをした後、目の前にいたのは、一匹の巨大な白い大蛇だった。
――あぁ、この姿、君は怖がってしまうかな.......?
「そんな事ない.......。そんな事ないよ.......」
その言葉を受け、私は泣きながら白蛇になった澪月に抱き着いた。君が思い出を大切にしてくれるだけで良い。
つるつるした鱗を掌で撫でながら、脳裏に直接聞こえる声を受ける。
――くすんでいた。思い出がはっきりと思い出せる。有難う。
注目して欲しいのが、仁琵と澪月の外見です。
くすんでいるって事は霊力が減少していたから。
人間に近づいていたから。
追伸
そろそろ、あとがきとキャラページ作りますかね。




