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聞かずには居られなかった。結果が幸福であれ、残酷であれ、聞かずには居られなかった。師匠は怒りのような、気だるいようなとても不思議な顔をして、一つの結末を示した。
「今は俺からの供給で取り持っているが、いずれ消滅する。所謂、飢餓状態だ。それでも納得してすり減らしてる」
「.......。舞楽様を消滅させないで、澪月を言って使いで居させられる方法、無いんですか?」
唇を噛み締めたまま真下を向く。言葉を紡ぐのに、長い時間がかかった。気持ちを整理するにも上手く纏められなかった。けれど、最終的には言葉に出していた。
「あるよ。その前に、俺との約束、覚えてるか?」
「納得行かない事を強制されていると感じたら、きちんと言葉に出せ」
私のその一言に師匠は満足気に頷いた。それからまた煙管に口をつけて、今度はゆっくりと吸い込んで行く。気分が落ち着いたのだろう。焦りは感じなかった。
「よし。手段は無数にある。俺が今から提示するのは、一番手っ取り早く、即効性がある方法だ」
くるりと煙管を一回しすると、つぃっと此方に向けてきた。
「その思い鏡を澪月に取り込ませればいい」
「これですか? 分かりました」
恐らく、思い鏡を失う方法以外にも手段はあるのだろう。でも彼は私がこの思い出、鏡を大切にしている事を知っている。それをわざわざ引っ張り出して、差し出すように言ったのは、本当に数多のルートの中でこれが一番手っ取り早いのだろう。
「後悔は無いか?」
「彼が覚悟を決めたならば、私も覚悟を決めます」
この思い出は私だけのものでは無い。澪月と共に紡いだものだ。だから私が持っていなくとも、澪月が持ってくれればそれで良い。
真っ直ぐに師匠を見据えると、にぃっと此方を見詰め返していた。それから一度立ち上がると、戸棚をゴソゴソを漁り出す。取り出したのは今口に咥えているのとは別の煙管。
「それでこそだ。行くぞ」
覚悟決めてくれたのは紡でした。
いやほんと、両思いだなーとか思いながら。
こういう関係があっても良いんじゃないかなーとか。




