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力の代償

私は自分の社を離れて、仁琵の工房に来た。庭先から窓を覗くように顔を出すと、仁琵が凍りついた。持ってい煙管が傾きかけ、それを抑えるように指に力を込める。

突然現れた事に驚いている。というよりかは、この散らかった惨状を私に見られる事が嫌なのだろう。仁琵は無表情ながらも視線だけを戸惑わせ、カラカラと硝子戸を開いた。

「お呼び戴ければ此方から向かいましたよ.......」

「良いじゃないか、偶には。それに向こうじゃあんまり話したくないんだ」

仁琵は煙管をくるりと回し、手首を額に押し付けた。それから薄目を開けて、チラリと部屋を見渡した。やはり散らばった画材を達を見て、小言を貰うのが嫌そうに見える。ま、そんなに嫌なら庭先で話せば良いだけの話だ。

私は部屋に足を踏み入れる事無く、草の生い茂る長椅子に腰掛けた。以前は座った際、両足を付けても膝が余った程なのに、今は丁度地面に着く。聡い仁琵は目敏くその事に気が付いたようだった。

「舞楽様? なんだか先日はお会いした時に比べて縮んでおります?」

「紡相手には誤魔化せたんだけどなぁ」

この間話しをした際には、紡は大して気にも止めていないようだった。が、それも時間の問題だ。このまま供給を続けていたら、間違いなく..............。

「..............お使いの為に力を割きすぎるのは、得策とは言えませんね」

私が考えていた事を見通したように、寂しげな眼を此方に向ける。分かってはいる。此奴なりに気を使って牽制をしていると。だが私にだってお使いの願い位は叶えてやりたい。その思いが思いの外大きかったらしい。気が付いたら叫んでいた。

あの時胡座をかいていたのも、バレたくないからなんだろうなーと。

琵琶持っていたのも、誤魔化す為な気がします。


※琵琶の弾き方分かってない人間が書いてます。

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