理想の形
長くうねった木々の間の道を抜け、私は祠に向かっている。緑が多いせいか、空気が澄んでいて、気温もひんやりしている。とても気持ちが良い。歩みを進めていると、ぱらぱらと落葉が降ってきた。その中の一つがコツンと前髪に当たった。
先日は澪月に会えなかったけれど、今日はどうだろう。舞楽様は元気にしているかな。そんな事を考えていると、奥まった空間に白髪の女性が現れた。彼女は切り株に座り、洋梨のような楽器を弾いている。
「こ……こんにちは。舞楽様」
「ん、あぁ、紡か」
何時ものように、元気一杯に挨拶をしようと思って無理に留める。落ち着くように言われたばかりじゃないか。出来うる限り、大人びた行動に意識を向けて、ゆっくりと深呼吸した。
舞楽様はその姿に涼やかに微笑んだ後、空いている方の切り株を指刺した。どうやら座って話をしようという事らしい。
「今、師匠の元で修行中です」
「ほう」
顔を突き合わせて話をする様で、持っていた楽器を置き、澄んだ黄色の目を此方に向けてくる。前までは両足を地に付けていたが、今回は胡座をかいている。神様相手に失礼だが、お茶目で可愛いと思う。瞳には輝き。私の話の内容に興味があるようで、好奇心が見え隠れしている。
今までは大家さんという呼び方をしていたが、私に神使えとしての知識を教える先生のような存在の為、師匠と呼ぶことにした。
「『どんな大人になりたいか』って事が重要らしいので、大人な女性をイメージする事にしました」
基本的に気遣いが出来るいい子だし、素直なので、仁琵の言うことをきちんと守ってます。
思いとどまったのも、ちょっと子供っぽいと感じたから。




