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「神々から依頼を貰う。祠を綺麗にして欲しいとか。仲介をして欲しいとか。その前にお勉強だがな」
此処で漸く大家さんは此方を見た。万物から選りすぐりの一点を見つけたような顔。先程見せた得意気な笑顔だ。そこに何かを憂うような悲しさはない。 此処まで来て、一つの疑問が浮かんだ。 様の事。人と一線を期する鈍の髪と黄色の目。
「大家さんも神使えなのでしょうか?」
「あぁ。 様直々の。今もあんたの面倒を見るように仰せつかってる」
どうやら舞楽様も気が付いて居たらしい。もしかして、私の知らぬ所で色んな人が気を揉んでいた? 何だか申し訳ないな..............。
「成程.......」
「嬢ちゃんが不要だと思えば、此処で切ったって良いんだ」
吹き出された煙が雲を作る。でもその形も長くは持たずに薄れて消えていく。こうなる筈だったのだ。私の思い出も。大気に溶け込むようにして、薄らいで行く。セピアの色を重ねていく。こうなる.......筈だったのだ。
「いえ、学ばせて下さい。お願いします」
まぁ、仁琵も才能じゃなくて努力で勝ち得たものなので、その前にお勉強って言ってます。
他の子達よりも知識陣なんで。