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あとがき、お気を付けて。
それを受けた彼は、一度虚をつかれたような顔をして、すっと額を近づけた。お気に入りの玩具に頬擦りをするように。それからから自らの指に髪を絡めるようにして、ゆっくりと撫でる。
「ん..............」
「君の門出が満ちたものになりますように」
どうやらお呪いのようだった。辺りを立ち込める馨しい香りが、とろりと脳内を掻き回す。深い酩酊感に襲われ、くらりとした。まずい、寝る..............。
そう意識を遠くに飛ばそうとしたとき、目を覚まさせるように彼の声が聞こえた。
「でも、向こうでもまた会えそうな気がするなぁ」
「そうなのです?」
思わずまた目を見開く。偶然とご縁で巡り会った事を運命と言う。世界は広いようでいて、狭い。彼の言うことも最もかも知れない。ならば何もメソメソしなくても良い。また会えると言って下さった。だから未来はきっと明るい。また、向こうでもお会いしたいなぁ。
「ふふ。また会ったら宜しくね」
「はい!!」
「私の名前、覚えておいてね。親しい者は皆こう呼ぶ。『飛梅』と」
梅の花弁が辺りを包み込む。桜吹雪のように。またお会いしましょう。飛梅様。そう心の中でお名前を述べた後、瞼を閉ざす。次に目を覚ました瞬間には、賑やかな境内。麗人の姿は消え去っていた。
最近この呼び名で呼んでないなーと思う今日この頃。
専ら『梅香の君』と呼んでます。
大切な存在である事には変わりないんですけど。
梅の花の匂いって、ジャスミンと似てるんですって。
アロマ専門店で、ジャスミンの匂いを延々と嗅ぐヤバい行為をしてました。
購入考えたんですけど、なかなかシビアなお値段でお暇しました。